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自動車整備業&車両販売業のCS経営をコンサルタントする TIO21ブログ

自動車整備業、車両販売業のCS経営のためのコンサルティング、現場改善指導、制度設計、社員教育、各種セミナー・講演

自己啓発で成長をー4.自己啓発で大事なこと

2011年12月22日 | 人事・労務全般


おはようございます。株式会社ティオ代表、motown21主宰の山本です。
今日は、自己啓発で成長をー4.自己啓発で大事なこと、です。

自己啓発で大事なことは、以下の通り3つある。
・自己啓発を「宣言」すること
・推進状況を「報告」すること
・活動を「振り返る」こと

自己啓発を「宣言」することは、同僚など職場の周囲の仲間に対して、
理解と協力を得るためである。

自己啓発のために、時には講習会出席のために早退が必要な場合もある。
あるいは、お昼休みなどの時間に、普段は仲間と雑談する時間も、本を読むこともある。

こうした時に、宣言していれば「自己啓発」に対する理解や協力が違ってくる。
ややもすると、自己啓発は「個人的」なこと、として捉えて、密かに行う人もいる。

これも一つのやり方でもあるが、私は、周囲も巻き込んで自己啓発を行うものと考えている。
それは、自己啓発が達成できれば、職場の仕事も円滑かつレベルアップができる。

これは、仲間に対して協力したことになる。
だから、一時仲間に自己啓発について理解と協力を得るために「宣言」をするのだ。

推進状況の「報告」も大事なことである。
それは、実行レベルを知ってもらい、必要に応じてアドバイスや何らかの支援を得られる
ことがあるからだ。

だからと言って、過度の期待をしてはならない。
あくまでも「自己」の「啓発」であって、自分自身で推進することが前提だからだ。

変に期待して、アドバイスがなかったり支援が得られないと、わだかまりや誤解が生まれて、
職場の雰囲気が壊れてしまうこともある。だから、アドバイスなどがなくても、当たり前ぐらいの
気持ちの持ちようが必要だ。

アドバイスなどが受けられれば、内容よりも、そのこと自体に感謝しすることだ。
感謝の気持ちが、アドバイスなどを引き出し、呼び込むことになる。

そして、期日が来たら「振り返り」をすること。
いわゆる「反省」である。ただし、反省で終わることなく、反省した内容を次に活かしてこそ、
振り返りになる。

後10日余りで2012年、平成24年である。
新年は、「自己啓発」をスタートさせるには、縁起がいいし決まりもいい。
ゼヒ、来年は新しい「テーマを設定して、推進し自己を高めていただきたい。


株式会社ティオ
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自己啓発で成長をー3.自己啓発の進め方

2011年12月21日 | 人事・労務全般

おはようございます。株式会社ティオ代表、motown21主宰の山本です。
今日は、自己啓発で成長をー3.自己啓発の進め方、です。

自己啓発テーマが設定出来たら、スケジュールを決めることだ。
先ずは、達成率をスケジュール化する。

3カ月後に50%、5カ月後80%などのように、どの時点で何パーセントの達成を目指すかを決める
ことだ。これは、自己啓発テーマを成就させるためには、とても大切なことなので、飛ばさないこと。

次に、達成率目標に合わせて、推進方法を決める。
例えば、3カ月後に50%の達成を目指すのであれば、1カ月後に25%、2カ月後に40%の達成が
必要になるとすれば、そのために「何を」「どうするのか」といった、推進のための活動を具体化する。

本を読む、講習会に参加するなどでもいい。ただ、こうしたことは、実行度を上げるためにも、
本のタイトルや、講習会の講座名、受講料なども具体的に書き出すといい。

スケジュールは、具体的であればあるほど、実行度はあがる。ということは、目標達成度の確率は
上がることになる。

だから、スケジュールは、できるだけ細かく、丁寧に作ることをお勧めする。
大雑把だと、いざその時になると、面倒くさくなってしまい、一つ飛ばし、二つ飛ばしとだんだん実行が
伴わなくなり、途中で挫折してしまうことになる。

私は、スケジュールを細かく作ることも「自己啓発」だと考えている。
本を読んだり、講習会に出席するなどの具体的な行動だけが自己啓発だけではなく、
テーマを決めていくことから、自己啓発は始まっているのだ。

こうしたことが、自己啓発が特別なことではなく、普段の活動と言われる部分でもある。
スケジュールを作ることが苦手であれば、作ることで「向上」したことになる。

どこからでも、その気になれば「自己啓発」ができることが、自己啓発なのだ。
ただし、「その気」があることが前提になることだけは、忘れないでほしい。

自己啓発の手段としては、
・仕事から学ぶ
・他人から学ぶ
・読書(図書館の活用も含め)
・社内外のセミナー
・資格の取得
・余暇の活用
などがあるので、テーマに応じて手段を選んで、達成の確度を上げることだ。


株式会社ティオ
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自己啓発で成長をー2.自己啓発のテーマ探し

2011年12月20日 | 人事・労務全般

おはようございます。株式会社ティオ代表、motown21主宰の山本です。
今日は、自己啓発で成長をー2.自己啓発のテーマ探し、です。

自己啓発を実行するためには、挑戦する目標が必要だ。
テーマと言ってもいい。

いきなりテーマを掲げてもいいが、少し効率的に効果的なテーマを設定するには、
目先の思い付きのテーマではなく、もう少し先のことを見据えたテーマが理想だ。

そこで、先ずはキャリアアップ目標を設定することを提案したい。
キャリアアップ、つまり「自己ビジョン」だ。

10年先(5年先でも構わない)の自分の「到達点=会社におけるポジション」を設定すること。
例えば、フロント責任者になる、工場管理者になる、営業拠点長になる、
などの職位の目標を設定する。その上で、どれくらいの年収が欲しいか
も金額ベースで数値を決める。

次に、人生の設計を作る。例えば、5年後に結婚。6年後にパパorママになる。
10年後にはマイハウスを持つ、などといった人生のイベントを作るのだ。

こうしたキャリアアッププランが出来上がったら、いよいよ自己啓発目標=テーマ
を設定する。

キーワードは「仕事の質」「対お客さま」「対職場コミュニケーション」だ。
このキーワードに対して、欠けている部分を列挙していく。また、より伸ばしたい
部分でもいい。

列挙するときに意識して欲しいのは、キャリアアッププラン内容である。
自己啓発の最終的な目標は、キャリアアップの成就だからだ。

次に、書きだした欠けている部分、または伸ばしたい部分に対して、どうすべきかを
列挙する。この「どうすべき」かがテーマのベースになる。

書きだした「どうすべきか」を、テーマ的に言葉を纏め、優先順位をつける。
最後に、優先順位の1~3位までを、実行するテーマとして最終決定する。


株式会社ティオ
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自己啓発で成長をー1.自己啓発とは

2011年12月19日 | 人事・労務全般

おはようございます。株式会社ティオ代表、motown21主宰の山本です。
今日は、自己啓発で成長をー1.自己啓発とは、です。

2011年も残すところ11日となった。
会社の経営実績が、予想から確定する時期である。

もう一つ確定するのが「自己目標」である。
正月に立てた「挑戦」の結果が出るころだ。

この「挑戦」することは、「自己啓発」と捉えることができる。
自己啓発、なんだか四文字熟語の様で、小難しいように思えるのだが、
特別なことではない。

自己啓発の啓発とは、大辞林などによると、「人が気づかずにいるところを教え示して、
より高い認識・理解に導くこと」と書いてある。この啓発を、己のために行うのが自己啓発だ。

「人が気づかずにいるところを教え示して」、という部分は、組織人として「出来ていないところ、
不足しているところ」、と置き換え、それを目標にすること。

そして、「より高い認識・理解に導く」とは、目標達成に必要な知識、スキルを高め磨くことである。
つまり、自己啓発とは「自己を高めること」である。だから、特別なことではなく、普段的なことである。

なんだか自己啓発などと聞くと、資格を習得するなど、必死に取り組むべきこと、と思ってしまうが、
なんらかの目的をもって、見学に行くことも自己啓発の一環なのだ。

クルマの現状と未来といったことで「東京モーターショー」に出かけていくことも、
立派な自己啓発である。キャンペーンガールの写真だけを撮りに行くのは、どうかと思うが・・・・。

あるいは、お客さまとの会話をより活発かつ豊富にしたいといった目的で、毎朝新聞を
読むことも自己啓発になる。今日の運勢だけを読むのはどうかと思うが・・・・。

自己啓発を行うには、目標が必要になる。
この目標は、キャリアアップ目標から出発する。5年後に工場長になる、フロントマンになる、
あるいは、拠点長になるなど、現在より上級の職歴を高めるという成長目標だ。

もっと大きく言えば「どんな人生を送りたい」と思っているのか、願っているのか。
あるいは、「どんな人間になりたい」と思っているのか、願っているのかである。

自己啓発は、結局のところ本人の気持ちと努力次第である。「天は自ら助けるものを助く」、と
諺にある通り、「なりたい自分」になるのも、「理想とする仕事」ができるようになるのも、
自分次第である。

だから、自己啓発を義務として行うのではなく、自らに与えられたチャンスとして捉え、
前向きに挑戦しすることだ。


株式会社ティオ
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整備業の賃金制度のあるべき姿4.理想とする賃金制度とは

2011年11月04日 | 人事・労務全般

おはようございます。株式会社ティオ代表、motown21主宰の山本です。
今日は、整備業の賃金制度のあるべき姿ー4.理想とする賃金制度とは、です。

さて、整備業の賃金制度はどのような設計が必要なのかを探ってみたい。
今後の賃金制度の方向性として、
1.成果主義的な色彩が強い賃金制度へ移行する
2.役割や職種に応じて複数の賃金テーブルを用意する
3.目標達成に対する「成果配分」と連動させる
4.シンプルかつ分かりやすい
などではないだろうか。

こうしたことから賃金制度の基本は、前回のも書いた「職務給=役割給」だろう。
職能給のように、何を習得(保有)しているかが評価の対象ではなく、職務給の場合は、
「何がどれほどできたか」が評価の対象になる。

この職務給に「成果配分」の要素を加味した賃金制度が適切ではないかと
考えている。

職務は、高いポジション=役割ほど「どれほど」が評価されることになる。
また、ポジションが変わるか、ポジションのランクが変わらない限り、固定給は変わらない。

評価は昇給基準と連動させる。「非常に貢献した」という最高の評価の場合は、3から5号俸
昇給する。以下、貢献した=2から3号俸アップ、やや貢献した=1号俸アップ、従来と同じ=
昇給なし、やや低下した=1号俸ダウン、非常に低下した=2から3号俸ダウンというように、
評価によっては、減給もある。

賃金の体系は、基本給が「役割給」」と「業績給」の二本立てとなる。
この他、諸手当が支給されることになる。

諸手当は、管理職手当、家族手当(子供の教育費の補助として)、
通勤手当などでいい。住宅手当は基本的に不要と考える。

役割は基準表を設ける。整備の場合は、以下の例になる。
 ・1級=定型的な車検・点検ができる、ポスティング活動ができる
 ・2級=やや複雑なトラブルシューティングができる、アフターコールができる
 ・3級=作業効率120%以上発揮できる、立会い車検の説明ができる
 ・4級=作業コントロールができる、点検カバー率60%以上の入庫確保ができる
などとなる。

役割賃金テーブルは、各級10号俸とし、1号俸の金額は3千円前後とする。
同じ級内でも、3万円(1号俸3千円とした場合)の差が付くことになる。

業績給は、「役割給×会社または部門業績係数×役割給係数」で決まる。
業績係数は、達成率100~104%=1.0とし、達成率が100%を超えれば係数が1.1や1.2
などとなる。

逆に100%以下であれば、係数は0.8とか0.6などとなっていく。
役割係数は、1級はナシ、2級は1/5、3級は1/4、4級は1/3となり、級=ポジションが上になるほど
係数が大きくなる。責任が重くなるという意味にもとれる。

職務給=役割給の設計に当たってのポイントは、役割基準表と賃金テーブルおよび業績給の各係数の
決め方である。これらによって、役割の重さと言うか責任の取り方が決まることになる。

労働分配率が限界にきている整備業界は、何らかの形でメリハリが効いた賃金制度を採用し、
賃金総額を抑える中で、成果を発揮した社員に手厚い報酬を支給する賃金制度を、採用する
時期に来ている。


株式会社ティオ
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整備業の賃金制度のあるべき姿-3.職務給は業界にフィットするか

2011年11月02日 | 人事・労務全般



おはようございます。株式会社ティオ代表、motown21主宰の山本です。
今日は、整備業の賃金制度のあるべき姿ー3.職務給は業界にフィットするか、です。

バブル以降に注目されているのが「職務給=役割給」である。
職務給とは、担当する業務内容で処遇を決める制度で、人(能力)ではなく「仕事で金額が決まる」賃金制度である。

詳しくは、従業員それぞれが担当する「仕事の価値」を、そのポジションの重要度や仕事の難易度、
仕事の量や大きさなどをポイントで評価、あるいは等級に分類序列化して、
その仕事の賃金を決めるものだ。


単純に仕事ベースなので、勤続年数や過去の経歴、年齢、性別はほとんど関係ない。

例えば、メカニックの車検担当は〇〇万円、高難度整備担当は〇〇万円、フロントは〇〇万円などと
担当する仕事の内容によって賃金が決まる。

給与を決定する要素を、評価しにくい能力から、より評価しやすい「成果(アウトプット)」に
置き換えようというのが、成果賃金だ。

職務給は、担当する職務を通じた具体的な成果に基づき、給与を決定する制度であり、
成果賃金そのもと言える。

職務給は、仕事(役割)が変わらない限り賃金は上がらないし、下がらない。
習熟という考え方は基本的に馴染まないので、定期昇給は原則としてなし。

したがって、人件費が一定で、誰が見てもわかる賃金となる。とはいえ、仕事の出来・不出来があるので、
人事考課(査定)による格差を設ける事ができるが、原則単年度クリアーで積み上げはない。

職務給の弊害として、個人の職務成果にこだわるあまり、チームワークや後輩の育成が疎かになったり、
新しい仕事の開拓よりも、目先の成果の追求が重視されすぎるなどが指摘されている。

その他に、以下のデメリットも見受けられるようだ。
・職務評価が先行して賃金の大部分が決まり、個人の意欲や業績を賃金に反映しにくい
・賃金が変わらないために、仕事の改善や変化を嫌うようになる
・仕事が変わると賃金が変わるため、柔軟な人事配置を阻害するようになる
・仕事の縄張り意識を助長し、他の仕事と強調・連携しなくなる傾向がある
・定義してある職務以上の仕事をすることに対して後ろ向きになる

さて、職務給が整備業にフィットするかだが、マニュアルの不備やサービス業と言うことから
職能給、つまり年功を加味した職務給に変化させた制度が相応しいと考える。

整備技術は、経験がモノをいうケースも多々ある。また、接客においても積み重ねたお持て成し
技能は一夜にして習得できない。整備業には、職務給一本の賃金制度は、馴染まないと考える。

したがって、基本は職務給とし、持っている能力(技能)を評価の対象に加えた「職務能力給」を
検討することが必要だ。


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整備業の賃金制度のあるべき姿2.脱・年功序列賃金制度

2011年11月01日 | 人事・労務全般

おはようございます。株式会社ティオ代表、motown21主宰の山本です。
今日は、整備業の賃金制度のあるべき姿ー2.脱・年功序列賃金制度、です。

ここ数年、振興会や損保会社などが開催する「HV研修」や「低電圧取扱い講習」などに
多くの参加者がある。

年々クルマが高度化し、コンピュータ制御が当たり前になったクルマを点検し整備するには、
メカニックに相応の技能が求められる。

こうした技能の習得には、自己啓発意欲もさることながら、
年齢が大きく左右する。

どうだろうか35歳までに習得しないと、それ以降の年齢になるとマスターするには、
倍以上の努力と時間が必要である。

今までに経験したことがない機能や構造になってくると、
過去の経験や技能だけでは、点検・修理の役に立たなくなっているのだ。こうしたことから、
年功型の賃金が不合理になり、「脱・年功序列賃金制度」を本格的に改める必要に迫られている。

また、時代が右肩上がりではなくなっていることも、脱・年功序列給の要因として挙げられる。
景気が上向き⇒売上が上向き⇒賃金アップ、という図式が成り立たなくなっている。

さらに、年功は有している能力の価値を前提に給与が支払われるが、昨今のように技能が
追いつかないというケースになれば、働きは「0」になってしまう。つまり、年功が働きと
イコールにならないのだ。

だからこそ、年功序列賃金が成り立たなくなってきているのだ。

脱・年功序列賃金には、やる気のある社員、能力のある社員に対して、
職務への公平なチャレンジのチャンスを与えることができる。

とはいえ年功序列給が、全てがデメリットではない。メリット、よい点もある。
例えば、年齢や勤続は合理的で客観的な「能力」の判断基準のため、運用がシンプルである。

また、経験を積むことで人間形成になり、正しい判断や行動がとれるようになることで、
コンプライアンスや対顧客の上でも利点がある。

さらに、危険予知などのリスクを減らすことなどにも、経験は役に立つ。
もう一つ上げれば、長年勤続してくれるケースが多く、人材難に対応できることなどが挙げられる。

年功序列賃金は、右肩上がりの経済や売上が続いていく保証があるのであれば、
けっして悪い制度ではないので、続けていくことができる日本が生んだ賃金制度なのだ。

が、残念ながら時代と経営が許さない昨今である。
こうしたことから、年功序列賃金を脱ぎ捨てる時が来ていると言える。


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整備業の賃金制度のあるべき姿1.賃金制度の色々と業界の現状

2011年10月31日 | 人事・労務全般

おはようございます。株式会社ティオ代表、motown21主宰の山本です。
今日は、整備業の賃金制度のあるべき姿ー1.賃金制度の色々と業界の現状、です。

整備業界の売上低迷の主要因は、価格競争による単価の下落である。
このことは、売上だけはなく、最終利益に大きく影響を与えることになる。

価格競争に負けないためには、現在のコスト構造を見直し、ローコスト
運営ができる会社に体質を変えなければならい。

コストの多くを占めるのが「人件費」である。
ごく単純だが、平成22年度版整備白書の整備要員一人あたりの整備売上高と
年間給与から推定した労働分配率を見てみると、何と59.6%にもなる。ザックリ60%だ。

粗利益の60%を人件費に支払い、残り40%で物件費を賄って利益を出すには、よほど物件費
を低く抑えないとならない。または、売上をより高めることが必要だが、価格競争や保有台数の減少
などでこれは、容易くない。

では、人件費を抑えることになるが、整備業界の給与水準は、他産業と比べて高い方ではなく、
むしろ低目と言わざるを得ない。そのような中で、人件費の削減は、人減らし以外は難しい。

しかし、ギリギリの人員で仕事をこなしている多くの工場では、人減らしは仕事の量と同時に、
質の低下を招くことになり、現実的には難しいと言わざるを得ない。そこで、賃金制度の
見直しによって、健全経営と社員満足度の両立を図ることになる。

給与は、動機づけ要因ではなく、不満要因ではあるが、給与水準が低ければ、労働意欲は
削がれてしまう。そうならないためにも、あるいは業界が働く魅力がある職業になるためにも、
給与総額をそのままにしてでも給与水準は、今以上に上げることが必要だ。

では、どうするか?それは、賃金制度の改革にほかならない。

制度の中身の基本は、頑張った社員には手厚く、そうでない社員には、それなりの賃金を支払う制度に
改めること。いわゆる成果型制度である。

賃金制度には、大きくは年功給賃金と能力型賃金の二つがある。
年功給賃金は、日本古来からある賃金制度で、その代表が「年功序列型賃金」である。

もう一つ年功給の変形として「職能給制度」がある。日本の企業の約9割がこの制度だと言われている。
これは、個人が持っている「能力」に対して賃金が支払われる制度で、一見すると能力給に見えるが、
実態は年功給に近い。

仕事の能力は年齢、つまり勤続年数に応じて高まることになる。と言うことは、勤続年数が
長い人ほど能力が高く、賃金が高いことになる。これは、どう見ても年功給に限りなく近い。

年功序列給と職能給の大きな違いは、私に言わすと「人事評価」を実施しているかと「職務基準」が
現場の実態に限りなく近く明確かどうかの二点である。この二点が曖昧だったり、行かされてない
能力給は、能力給と言わざるを得ない。

バブル崩壊以降注目されてきたのが「職務給」といわれるものだ。
これは、同一職種同一賃金の賃金制度で、「職務(役割)」に対して価値をつけ、給与額を決める制度である。
持っている能力ではなく、仕事の役割(価値)に対して賃金を支払う制度である。

年齢が18歳であろうと60歳であろうと、勤続年数が違っても職務が同じであれば、同じ賃金である。
また基本的に定期昇給という概念がなく、同じ仕事をしている間は賃金の上昇はない。

極端に言えば、新社員から定年まで同じ職務についていれば、賃金はこの間同じ額になる。
こうしたことから、定昇を考慮しないですむこともあって、会社にとっては大きなメリットと言える。

考えてみれば、どんなに高い能力を持っていても、それが価値ある仕事になっていなければ、
能力は無いに等しことになる。これでは、賃金制度が不合理なものになってしまう。

そこで、職務給=役割給が注目されているのだ。

日本の風土では、純粋な職務給から、職務を通じた期間の成果と同時に、組織への貢献など、
多面的な要素を評価して給与が決定される方向にある。


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メカニックの適正残業時間とはー4.どうしたら残業が減るか

2011年10月28日 | 人事・労務全般

おはようございます。株式会社ティオ代表、motown21主宰の山本です。
今日は、メカニックの適正残業時間とはー4.どうしたら残業が減るか、です。

適正の残業時間が掴め、それ基づいて残業時間管理を行っていくことで、
トータルとしての残業時間を減らすことになるが、より具体的に減らすには、
直接的な対応が必要になる。

残業時間を減らすには4つの方法がある。
先ずは、作業を早く行える舞台作りである。

作業ロスを減らすのだ。
作業ロスには、「探すロス」「取り出すロス」「集めるロス」「歩くロス」がある。

特に「歩くロス」を減らすことだ。
車検整備で歩くロスを減らした事例として、クルマの外周を8週程度していた
作業を3周で済むように改善した。

これだけで、10~15分程度の時間短縮が出来た。
この他、部品庫・油脂庫の位置、共用工具の位置の見直し。

エア取り出し口、電源コンセントの数と位置などの見直し。
作業前の準備段取りの充実など改善することは沢山ある。

2つ目が「技術力」の向上だ。
技術力とは、診断技術力と修理処置技術力だ。

特に診断技術力は、これからますます重要になる。
これに時間をかけていても、大した診断料が貰えない。だから、技能を上げて短時間で
診断できる技能の習得が必要である。

三つ目が作業時間指示を出すこと。
オイル交換を10分で作業してください、とやるべき作業を指示するだけではなく、
「〇時間で終わらせる」と言う「作業時間」を、メカニックの技能に合わせて
指示することだ。

これは即効性がある。
ある整備工場でこれだけ実施しただけで、残業がなくなったという経験をしている。

設備も何も必要ない。明日からでも実行できる。
ゼヒこれは挑戦して欲しい。

最後の4番目が「ノー残業デー」を設けること。
これは、残業が「ムダなこと」「自分たちで減らせること」などの意識高揚と
意識改革に結びつけるために行う。

そして、前々回に触れた「連れ残業」などを撲滅することだ。

残業を無くすことと営業時間を、17時でシャッターを下ろすこととは、別な意味であることを
付け加えておく。


株式会社ティオ
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メカニックの適正残業時間とはー3.適正残業時間の物差しは何か

2011年10月27日 | 人事・労務全般

おはようございます。株式会社ティオ代表、motown21主宰の山本です。
今日は、メカニックの適正残業時間とはー3.適正残業時間の物差しは何か、です。

さて、残業時間が適正であるかどうかの判断は何によるのだろうか?
仕事量に比例することは間違いないが、単純に仕事量だけで判断していいのだろうか。

また、その仕事量と比例する残業時間に必要な合理的な物差しがあるのだろうか?
推察になるが、多分持ち合わせがないのではないかと思う。

そこで、ティオでは合理的な残業時間、つまり適正残業時間を求める計算式を
作ってみた。

基本的に工賃売上(仕事量)に見合った残業時間になっているかどうが
適正の判断になる。

今月の残業時間(目安)は、工賃売上目標を基準に決めることになる。
工賃売上目標に必要な目安残業時間を求める計算式は、以下のとおり。


(1)工賃売上目標に必要な実労働時間
   (月工賃売上目標÷基準レバレート)÷目標稼働率÷作業効率

(2)計画所定実労働時間
   月平均メカニック数×月出勤日数×出勤率×一日の所定労働時間

(3)工賃売上目標必要残業目安時間
   (1)-(2)

計画所定労働時間は、上記のように工場全体で求める方法と、作業班別(車検班、一般整備班など)で
求める方法がある。どの方法にしても、上記の計算式が基本。

上記の計算で求めた「目安残業時間」をメカニック、フロントなどの関係者に示し、目標意識を持たせること。
目安残業時間に対して残業時間(目安より多い)が不釣り合いと判断できた場合は、以下の項目がどうなっているかを確認し、
必要な措置を講ずる。

 ・稼働率
 ・作業効率
 ・
工程管理
 ・
作業内容
 ・
作業指示時間
 ・
再修理の発生頻度
 ・
メカニックの技能
 ・
勤怠
 ・
仕事の平準化

また、日々の残業時間については、メカニックごとに当日の残業時間の目標を自主申告させ、
翌日に目標と実残業時間の差を管理する。


大きく差がある(1時間以上多い)場合は、差がどうして発生したか本人から原因を確認し、
必要に応じて指導を行う。


株式会社ティオ
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メカニックの適正残業時間とはー2.ムダ残業は風土が作る

2011年10月26日 | 人事・労務全般

おはようございます。株式会社ティオ代表、motown21主宰の山本です。
今日は、メカニックの適正残業時間とはー2.ムダ残業は風土が作る、です。

残業にはどうしてもやらなければならない残業と、ムダな残業がある。
ムダな残業の典型が「連れ残業」だ。

仲間や先輩が残業しているので、帰れない。こうした理由で残業になる。
ある意味、ムリヤリ残業ともいえる。

こうした連れ残業は、組織の風土(職場風土)によって形成される。
職場風土を作り上げていくのはリーダー、つまり、工場長などだ。

工場長が持つ人間観、仕事観、道徳観などが職場に広がり、
いつしか風土として根付いく。


今度の新人は、俺よりも早く帰っても平気な顔をしているな、などと発した一言が
早く帰れない暗黙のルールとなり、風土化していく。

整備作業現場は、職人気質が強い職場で、後輩が先輩を立てることは当たり前になっている。
これはこれで、必要なことだが「立てる」のではなく「敬わられる」に先輩にならないといけない。

強きをくじき弱きを助ける、これが上司の真の姿である。
威張り散らすことではない。むしろ静かに黙々と仕事をこなして、背中と言葉で教え育てるのが上司である。

連れ残業にしても、俺より早く帰って生意気だ。ではなく、自分の仕事が済んだら
さっさと帰宅して、家族と触れ合え、と言うぐらいの度量が欲しい。

ムダな残業を減らしていかないと、価格競争に対応できない。
残業代、つまり割増賃金は25%増しであり、深夜割増は50%(25%+25%)である。

同じ車検を残業して行っていたのでは、25%分コストアップになり、
儲かるものも儲からない。

したがって、目指すは残業「0」である。


株式会社ティオ
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メカニックの適正残業時間とはー1.誰が残業をするか決めるのか

2011年10月25日 | 人事・労務全般

おはようございます。株式会社ティオ代表、motown21主宰の山本です。
今日は、メカニックの適正残業時間とはー1.誰が残業を決めるのか、です。

平成21年版整備白書によると、月の平均残業時間の割合は以下の通りだ。

       0時間 5H未満 5~10H 10~20H 20~30H 30~40H 40~50H 50H以上
・専業工場   32.5     23.1     11.6     18.5     8.5      2.8      1.6      1.5
・兼業工場     21.6     23.1     10.7     22.6    13.4      6.0      1.6      1.0
・ディーラー    1.1      7.7      8.4     27.9    30.4     15.7      6.4      2.4    
・自家工場     24.1     15.2     13.5     19.8    16.0      7.2      1.7      2.5
・平均     19.0     17.1     10.4     22.6    17.6      8.2      3.3      1.8

経営的には、残業は限りなく「0」に近づけることになるが、メカニックに言わせると、残業代が
ないと生活できないなど、残業代が生活給になっているため、無理してでも残業を作っている。

終業の時間に、「工場長、ブレーキフルードの交換が残っているので、今日残って仕上げます。」
と、残業の申請が口頭でなされる。工場長は、「そうか、ご苦労だけどそうしてくれ」と言って
残業を認める。

あるいは、「工場に電気が点いているが、誰か残業しているのか?」
と、申請や許可なく残業をしているケースも見受けらる。
このケースは、どの整備工場に見られる。

これで残業になるのは、いいのだろうか?
組織的にもこうした形で残業を許しているのは、問題である。

工場長など現場の上司たちは、自らも残業して生活を維持してきた経験があり、
無下に残業することを断り切れない現状がある。

とは言え、残業は基本的に下からの申告で許可すべきない。
上司たる者から、残業を「指示する」ことが本来の姿だ。

では誰が指示するのかと言えば、フロントである。
フロントが工程管理を行って納期を管理しているからだ。

フロントは、お客さまに約束した納車日時と作業の進行状況や、翌日の入庫量を睨んで、
どうしても残業が必要と判断した時に、「〇〇さん、今日〇時間の残業をお願いします」と、
業務命令を発するのだ。

これ以外は無許可残業として、認めてはならない。
これを組織のルールとして厳守すること。そうしないと、残業は減らないしなくならない。

生活給として残業が必要で、嫌でも残業しなければならない事情は、十分理解できるが、
それと組織のルールは別問題である。

このことを、会社全体で確認しておくことだ。


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自動車整備の安全作業のすすめー5.ヒヤリハットと安全教育

2011年08月12日 | 人事・労務全般


おはようございます。株式会社ティオ代表、motown21主宰の山本です。
今日は、自動車整備の安全作業のすすめー5.ヒヤリハットと安全教育、です。

ある整備工場のマフラー交換作業で、見ていた私が「ヒヤリ」とした経験がある。
マフラーの取り外しが上手くいかず、メカニックは長さ1mほどのパイプを持ってきて、
マフラーにあてがい、力の限りパイプを押した際に、勢い余ってパイプが飛んで行って、
別なメカニックにぶつかりそうになったのだ。

作業を行ったメカニックは、思わず舌をだし、ほっとした表情を浮かべ、
隣のメカニックに「ごめん、ごめん」と謝っていた。

こうした思わず「ヒヤリ」としやことや「ハット」した経験は、誰しも持っていると思う。
整備作業における労働災害を「0」にするには、こうした小さな出来事を減らすことが必要だ。

昨日のブログで、労働災害をなくすためには「安全・衛生の先取り」が必要だと書いたが、
この「ヒヤリ」「ハット」は、事後対策になるが、結果的には「先取り」と同じ効果がある。

それは、ヒヤリやハットの原因を突き止め、その原因に対策すれば、事後の結果を基にした、
「先取り」になるからだ。したがって、ヒヤリ&ハットを先取りの「原資」として捉え、減らす対策を
講じることだ。

ヒヤリやハットを、「あいつはおっちょこちょいだからな~」とか「注意が散漫だから起きるんだぞー」
などと、起こした本人の性格的なこととして、処理し「以後注意しろよなー」で終わらせてしまう。
これでは、ヒヤリハットは減らない。

確かに本人の性格的なこともあるが、それは裏を返せば、誰でも起こす可能性があることなのだ。
つまり、本人の特性と言うよりも「人間の特性=ヒューマンエラー」、として扱い、
全社で減らすための対策が必要である。

では、ヒューマンエラーとは、どのようなことだだろうか。
ヒューマンエラー(不注意)は、
 1.人間の能力の限界 =見えない、聞こえない、覚えられない
 2.錯誤(スリップ)    =取り違え、思い込み、考え違い
 3.失念           =うっかり、ぼんやり、一時的な物忘れ
 4.知識&技量不足    =知らない、できない

の4つのカテゴリーがある。これに、「違反(めんどうだから、たぶん大丈夫、少しだけだから、
皆もやっているから)」が加わったのが「不安全行動」である。

不安全な行動を減らすこと、なくすことが、労働災害を減らす次のステップになる。
そこで、日常的にあるヒヤリハットを全社員で共有することから、始める。

毎日の終礼時(または朝礼時)に、「今日(昨日)のヒヤリハット」を報告させること。
この時に、原因が何か、どうすれば防げるか、も一緒に報告させること。

この原因と防止策を職場単位でミーティングしてもらい、防止策を中心に適切であるかの
評価を行い、別な対策がある場合は、それを朝礼等で発表してもらう。

この評価の際に「指差し呼称」の対象になることも含めて、評価をするとよい。
この指差し呼称が必要ということになれば、重要事項と言うことになるし、社員の認識も
高まることになる。

当然、その防止策が有効かどうかを、全員で検証し確認後に、会社の実施ルールとして
標準化する。

以上を通じて安全衛生教育を行うことになるが、教育の精神は、不安全な行動は誰にでも
起こりうることであり、不安全な行動を減らすことが、自分自身の身を守ることになる。
このことを、口が酸っぱくなってもいいから訴え続けることだ。

労働災害は「0」が当たり前である。
このことを経営者は当然として、工場長やメカニックに至る全社員が、同じ思いで
仕事に当たることが、何よりも大事なことである。

昔気質の経営者だと、火傷や擦り傷などは当たり前。それは「勲章」だと思え、といった
威勢のいい声になり、ある程度の怪我は整備作業に付きものといったことになる。

しかし、それはむしろ有ってはならないこととしなければ、労働災害は「0」にならない。
考え方を改めて、労働災害「0」を自慢できる整備工場になって欲しいものである。


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自動車整備の安全作業のすすめー4.危険予知の習慣化

2011年08月11日 | 人事・労務全般

おはようございます。株式会社ティオ代表、motown21主宰の山本です。
今日は、自動車整備の安全作業のすすめー4.危険予知の習慣化、です。

労働災害を発生させないためには、「安全・衛生の先取り」が不可欠だ。
労働災害の約90%が「不安全な行動」により、発生している。

安全・衛生の先取りは、この不安全な行動を起こさないことに尽きる。
では、どうするかだが、それは「危険予知」をすることだ。

整備作業や、車両を積載車で回送の時に、「どこに」、「どのような」危険があるかを
予知することで、災害の発生の芽を摘むようにするのだ。

狭い生活道路をクルマを運転している時に、前方に小さな子供たちが、ワイワイはしゃぎながら
道路の端を歩いていたら、貴方は運転をどうしますか?

多分、急な飛び出しなどを予想して、スピードを緩めたり、とっさのハンドル操作ができるように
運転姿勢を正したり、子供たちの動きに神経を集中したりして、動作や心の準備をするはずだ。

こうしたことが「危険予知」といわれるものだ。危険(キケン)のK、予知(ヨチ)のYをつかって「KY」などと
言ったりする。安全衛生の確保に係る活動として「危険予知活動=KY活動」がある。

KY活動は、個人のヒューマンエラーを防ぐだけではなく、職場の安全衛生の先取りと、
全員参加の明るい生き生きとした“職場風土づくり”を目指すものだ。

職場で何が危険かのホンネの話合いを毎時、毎日、短時間ミーティングの中で繰返すことで、
安全衛生を先取りする「感受性」が鋭くなり、チームワークも強くなる。
これによって安全衛生だけでなく、すべての職場の問題解決を自主的に行えるようになるのだ。

例えば、フロントから作業指示が出される時に、フロントはメカニックに対して、この作業において
どのような危険があるのか、それを回避するにはどうしたらいいか、尋ねることもKY活動である。

こうしたやり取りが、相互理解につながり、人間関係を円滑にする「潤滑剤」になる。
特に、新人メカニックに対しては、KY活動のミニ話し合いを行ってほしい。

FAXを送信するときに、相手先のFAX番号を入力した後に、番号を指差ししながら読み上げる。
この行動が「指差し呼称」といい、作業や業務を間違いなく進めるKY活動である。

指差し呼称の効果は、
 アクション     誤り発生頻度
 何もしない・・・・・・・・・・ 2.38
 指差しのみ・・・・・・・・・ 1.0
 呼称のみ・・・・・・・・・・・0.75
 指差し呼称・・・・・・・・・ 0.38
となっている。

これは、1994年に(財)鉄道総合研究所が行った「指差し呼称の効果検定実験」結果だ。
効果 は“何もしない場合”に比べ、“指差し呼称する場合”には、作業の誤りの発生率が「約6分の1以下」 になるのだ。

しかし、この指差し呼称も、マンネリになると「無意識」に指差しをし、見たことや文字を唱和する
のではなく、指差しと自動で唱和していることがある。これではKY活動にならない。

指差し呼称は、作業や業務の安全・衛生の先取りの「その時のKY活動」である。
したがって、性根を入れて、確実に正しく指差し呼称を行うことが必要である。

指差し呼称の正しい進め方は、
1.右手(右利きの場合)を「グー」のようにコブシを作る。左手は左の腰にあてる
2.対象物を見て対象物の名前を呼称する
3.右腕を伸ばして、右手の人差し指を出し対象物を指す
4.コブシを耳元に寄せる
5.状態が正しいか判断し「ヨシ」の声を出す
6.同時に腕を振り下げて対象物を指し、対象物を見る
これが、正調「指差し呼称」だ。

こうした指導をすると、必ず「そったらことやってられねネー」という声が出る。
「忙しい」「うるさい」「めんどくさい」「時間がもったいない」、というのが大方の理由である。

しかし、これが「ヒューマンエラー」の原因なのだ。
忙しいから工程を端折る、これこそが労働災害発生原因の最たるものである。

作業するものとして「忙しい時こそ指差呼称」・・・・、これが正しい理解なのだ。
とはいっても、作業一つ一つに対してやる必要はない。重要な場面や危険予知で出た箇所
などを重点に行うこと。

このKY活動の基本である「指差し呼称」が習慣化されるように、上司が率先して行う
ようにしてほしいし、職場会議などで「呼び指し呼称習慣化対策」などと、議題にも
あげてほしい。


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自動車整備の安全作業のすすめー3.安全作業の心得

2011年08月10日 | 人事・労務全般

おはようございます。株式会社ティオ代表、motown21主宰の山本です。
今日は、自動車整備の安全作業のすすめー3.安全作業の心得、です。

安全に作業するためには、作業する本人がまず注意を払って行うことが
先決だが、その注意の部分を本人任せにするのではなく、社内で「安全心得」
を作成、明示しておくことだ。

例えば、下記のように「安全作業心得15カ条」を作成し、朝礼などの場を使って、
全員で唱和して気に緩み、慣れを戒めることだ。

【安全作業心得15カ条】
 1.体調がすぐれないときは作業を中止せよ
 2.制服・制帽・安全靴を正しく着用せよ
 3.保護具を使って作業せよ
 4.声と目で確認せよ
 5.操作は必ず声を掛けよ
 6.動いているものから目を離すな
 7.異常が起きたらすぐ停めろ
 8.修理・段取りはスイッチを切れ
 9.分からないことは手を出すな
 10.共同作業は声掛けで確認せよ
 11.複数で作業するときは責任者を決めろ
 12.整理・整頓・清掃に徹せよ
 13.危険作業時は「作業中」の表示をせよ
 14.むやみに話しかけるな
 15.作業に合った治具・ツールを使え


経営者や工場長は、心得が守られているか工場巡視などを通じて確認し、
守られていない場合は、その場で注意し、適切な措置をとること。

この時に大事なのは、「この程度はいいだろう」などといった、甘い判断をしてはならない。
こうした甘い判断が、重大な事故を招くことになるのだ。

次に、作業ごとの安全作業ルールを決めておくことも、事故や怪我を未然に防止することになる。
また、これらが良し悪しの判断基準にもなり、安全衛生教育のテキスト代わりにもなり、
新人などを指導するときに、大いに役立つ。

例として「ジャッキアップ作業」「リフト作業」それに「グラインダー作業」を作ってみた。
参考にしてほしい。

■ジャッキアップ作業
 ・車止めを使用する
 ・
水平な場所で作業する
 ・
ジャッキアップポイントで昇降作業を行う
 ・
昇降時はリフト操作同様に指差し呼称、声掛け確認を行う
 ・
リジットラックを必ず使用する(ジャッキだけで作業を行わない)
 ・
リジットラックの高さは揃えて使用する
 ・
リジットラックに載せたら左右前後軽くゆすってバランスを確認する
 ・
ジャッキアップのままクルマを移動させない
 ・
クルマの下に入る場合はヘルメット・防塵メガネを着用する
 ・タイヤを敷いて安全を確保する

リフト作業
 ・
規格値以上の重量を乗せない
 ・
誘導ラインに沿ってまっすぐに受け台に入る
 ・
サイドブレーキ・車止めをかける
 ・
リフト操作は「リフトアップします」「リフト止めます」「リフトダウンします」と声掛けする
 ・
リフト昇降時は、「リフト下人なし」と指差し呼称してから操作する
 ・リフト操作中は目を逸らさない
 ・
リフトを止めた時は「ロック確認」と指差し呼称する
 ・
リフトを止めた時はクルマを左右前後に軽くゆすってバランスを確認する
 ・
車の前後・左右の片上げをしない
 ・
リフトを上昇させる場合は、天井を確認しながら行う(上げ過ぎに注意)
 ・
リフトを他の用途に使用しない

グラインダー作業
 ・
保護メガネ・防塵マスクを着用する
 ・
研磨する対象物を直接手に持って作業しない
 ・
砥石にヒビ・欠けがないか確認する(ある場合は交換する)
 ・
スイッチを入れる時はグラインダーの正面に立たない
 ・
安全カバーがついているか確認する(付いていない場合は使用しない)
 ・
砥石の側面で研磨作業を行わない
 ・
砥石の交換は安全教育を受けた者が行う

ところで、整備作業の時の体勢も事故や怪我を引き起こす原因にもなる。
整備作業時の体勢の原則は、「作業バランスのとれた基本姿勢を維持し、必要な場合は十分な支えを確保する」
ということと、「自分の位置が容易に変えられる」こと。

また、作業は「左から右へ」「上から下へ」行うと、
楽に作業ができると同時に、見落としなども減らすことができる。

作業するときの体勢は、以下の通り。
・作業は体の正面で行う
・背伸びした作業は行わない(高いところの作業は、脚立等を使う)
・片足立ち作業は行わない
・重量物を持つ時は腰を落として胸で持ち上げるイメージで持ち上げる

慣れてくると「軽業師」的にかっこよく作業しがちだが、そうした心のゆるみが事故を招くことになる。
整備作業するときは、常に新人の気持ちで「慎重」「丁寧」に作業を進め、事故・怪我をしない様に
心がけてほしい。


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