今朝(6/24)の日本経済新聞(近畿経済B面)に《宿泊者数、「精度に難」調査法変更、奈良県、前年より100万人減に》という記事が載っていた。《奈良県は23日、観光客の宿泊統計の調査方法を抜本的に改めると発表した。新方法に基づく2009年の県内延べ宿泊者数は256万7千人(推計)で、従来方法による08年の推計値350万5千人と大差が出た》。
《県は「従来方法は廃業した施設などを推計母数に含めていた上、小規模施設の実態を反映せず、十分な精度を持っていなかった」と説明した。新方法の調査対象(推計母数)は531施設。県内を6地域に区分し、民宿を含めた288施設に調査票を送付。163施設の回答から定員稼働率を算出し、地域別の収容人員などを勘案して推計値をはじいた》。
《従来は旅館業法による届け出件数に基づき宿泊施設数を747として推計していたが、訪問調査やヒアリングの結果、届け出のないまま廃業した施設などが約3割に上る実態が判明。推計母数から除外した。荒井正吾知事は「過去のデータについても、推計母数を訂正するなど修正できないか検討する。入り込み客数の調査方法も見直す」と話した》。
《観光庁は07年から全国で、従業員10人以上の宿泊施設のみを対象に宿泊統計調査を実施している。奈良県の場合は70施設が対象で、09年の推計値は109万4640人。県は「小規模施設が大半を占める奈良の実態に即していない」とみている。京都市は今年度から観光庁の指導にそって、観光統計の新たな統一基準を採用する》。
同じニュースが同日付の奈良新聞にも出ていて《平成20年までの調査は、県内約750の宿泊施設の2割弱にあたる約200施設(県旅館・ホテル生活衛生同業組合加入施設のみ)にアンケート形式で実施。回答施設の平均稼働率を算出し、全施設の収容定員(約35000人)に掛け合わせて、宿泊者数を推計していた。ところが、回答の回収率は20%(約40施設)と低く、廃業施設や組合非加入施設を含まないため精度が疑問視されていたという。今回、廃業施設やラブホテルなど約250施設を対象から外し、民宿やキャンプ場など小規模施設を含む約530施設に絞り込んだ。このうち約290施設にアンケートや聞き取り調査を実施。6割近くの約160施設から回答を得た》とある。
つまり、これまではわずか40施設(全体の5.3%!)から回答を得て「平均稼働率」(逆算すると27.40%)を算出。これに、廃業施設やラブホテルを含む全施設の収容定員を掛け合わせて宿泊者数を推計していたというのだから、全くあきれる(35000人×365日×27.40%=350万人)。
奈良県の宿泊者数が過大だということは、早くから当ブログで指摘し、たくさんのコメントをいただいた。新方法による256万人も、観光庁の「09年の推計値は109万4640人」という数字の2.3倍にもなる。小規模施設が、果たして147万人もの人を泊めているのだろうか。ピークシーズンだけ営業する民宿なども多いのに。
※「21世紀の観光戦略」が破綻!?(当ブログ内)
http://blog.goo.ne.jp/tetsuda_n/e/da7d703aca3132bb8f54b9db7d9948a9
また県は、観光庁の統計(従業員10人以上の宿泊施設のみが対象)は「小規模施設が大半を占める奈良の実態に即していない」というが、日本の宿泊者数ワースト5は、奈良県、徳島県、鳥取県、島根県、高知県だが、これらすべて「小規模施設が大半を占める」県ではないか。これら全ての県において小規模施設の数字を足し合わせたところで、ランキング自体(ワースト1=奈良県)は変わらないのではないか。
奈良新聞には《今後、同調査は4半期ごとに実施する》とあるが、対象施設を530施設としているのに、わずか160施設(約30%)から平均稼働率を聞き出し、そこから全体を推計する、というのは乱暴な話だ。調査頻度を上げるのも大切だが、正確さを期するためには、アンケート回答率(回収率)を上げることが先決ではないだろうか。
※トップ写真は、猿沢池畔の土産物店で、6/2撮影
《県は「従来方法は廃業した施設などを推計母数に含めていた上、小規模施設の実態を反映せず、十分な精度を持っていなかった」と説明した。新方法の調査対象(推計母数)は531施設。県内を6地域に区分し、民宿を含めた288施設に調査票を送付。163施設の回答から定員稼働率を算出し、地域別の収容人員などを勘案して推計値をはじいた》。
《従来は旅館業法による届け出件数に基づき宿泊施設数を747として推計していたが、訪問調査やヒアリングの結果、届け出のないまま廃業した施設などが約3割に上る実態が判明。推計母数から除外した。荒井正吾知事は「過去のデータについても、推計母数を訂正するなど修正できないか検討する。入り込み客数の調査方法も見直す」と話した》。
《観光庁は07年から全国で、従業員10人以上の宿泊施設のみを対象に宿泊統計調査を実施している。奈良県の場合は70施設が対象で、09年の推計値は109万4640人。県は「小規模施設が大半を占める奈良の実態に即していない」とみている。京都市は今年度から観光庁の指導にそって、観光統計の新たな統一基準を採用する》。
同じニュースが同日付の奈良新聞にも出ていて《平成20年までの調査は、県内約750の宿泊施設の2割弱にあたる約200施設(県旅館・ホテル生活衛生同業組合加入施設のみ)にアンケート形式で実施。回答施設の平均稼働率を算出し、全施設の収容定員(約35000人)に掛け合わせて、宿泊者数を推計していた。ところが、回答の回収率は20%(約40施設)と低く、廃業施設や組合非加入施設を含まないため精度が疑問視されていたという。今回、廃業施設やラブホテルなど約250施設を対象から外し、民宿やキャンプ場など小規模施設を含む約530施設に絞り込んだ。このうち約290施設にアンケートや聞き取り調査を実施。6割近くの約160施設から回答を得た》とある。
つまり、これまではわずか40施設(全体の5.3%!)から回答を得て「平均稼働率」(逆算すると27.40%)を算出。これに、廃業施設やラブホテルを含む全施設の収容定員を掛け合わせて宿泊者数を推計していたというのだから、全くあきれる(35000人×365日×27.40%=350万人)。
奈良県の宿泊者数が過大だということは、早くから当ブログで指摘し、たくさんのコメントをいただいた。新方法による256万人も、観光庁の「09年の推計値は109万4640人」という数字の2.3倍にもなる。小規模施設が、果たして147万人もの人を泊めているのだろうか。ピークシーズンだけ営業する民宿なども多いのに。
※「21世紀の観光戦略」が破綻!?(当ブログ内)
http://blog.goo.ne.jp/tetsuda_n/e/da7d703aca3132bb8f54b9db7d9948a9
また県は、観光庁の統計(従業員10人以上の宿泊施設のみが対象)は「小規模施設が大半を占める奈良の実態に即していない」というが、日本の宿泊者数ワースト5は、奈良県、徳島県、鳥取県、島根県、高知県だが、これらすべて「小規模施設が大半を占める」県ではないか。これら全ての県において小規模施設の数字を足し合わせたところで、ランキング自体(ワースト1=奈良県)は変わらないのではないか。
奈良新聞には《今後、同調査は4半期ごとに実施する》とあるが、対象施設を530施設としているのに、わずか160施設(約30%)から平均稼働率を聞き出し、そこから全体を推計する、というのは乱暴な話だ。調査頻度を上げるのも大切だが、正確さを期するためには、アンケート回答率(回収率)を上げることが先決ではないだろうか。
※トップ写真は、猿沢池畔の土産物店で、6/2撮影