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tetsudaブログ「どっぷり!奈良漬」

万博も開幕し、これからが観光シーズン、ぜひ奈良に足をお運びください!

Topic 巨瀬山古墳群を損壊

2010年06月08日 | お知らせ
葛城と古代国家 (講談社学術文庫)
門脇 禎二
講談社

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巨瀬山(こせやま)古墳群は、御所市にある総数700基以上という全国屈指の大型群集墳で、巨瀬山丘陵の尾根上に立地する。JR和歌山線と国道24号線に挟まれた一帯にある(吉野口駅の北西方向)。なお巨瀬山とは「巨瀬山のつらつら椿…」の巨瀬山で、この辺りは豪族・巨瀬氏の勢力圏だった。

奈良検定(奈良まほろばソムリエ検定)の勉強をしているとき、地図を見て嫌な予感がしていた。すぐ南にゴルフ場「秋津原ゴルフクラブ」(御所市朝町)が接していたのである。嫌な予感が、とうとう的中した。昨日(6/7)の夕刊で、古墳の損壊が報じられた。

YOMIURI ONLINE(読売新聞 6/7付)によると《奈良・巨勢山古墳群 破壊…ゴルフ場拡張 無許可で5400平方メートル削る》《奈良県御所市のゴルフ場「秋津原ゴルフクラブ」が行った拡張工事で、国内最大級の古墳群である国史跡・巨勢山(こせやま)古墳群(5世紀中頃~7世紀中頃)の一部が破壊されていたことがわかった。文化庁はゴルフ場側に復旧を求め、市教委は「貴重な文化財なので原状回復を図りたい」と、今月中にも専門家を交えた検討委員会を開いて、工法などを検討する。県警は文化財保護法違反(形状変更)にあたる疑いがあるとみて、関係者らから事情を聞く》。
http://osaka.yomiuri.co.jp/inishie/news/20100607-OYO8T00453.htm?from=ichioshi

《巨勢山古墳群は、同市中央部に約700基の古墳が分布する群集墓。ほとんどが小規模な円墳で、古墳時代の豪族の墳墓とみられる。市教委などによると、昨年11月、同古墳群の一部の土地を所有している同ゴルフ場が史跡指定地外の練習場を拡張工事した際、史跡範囲内の山の斜面約5400平方メートルを重機で削り、少なくとも全長十数メートルの円墳4基を壊したという。2基は半分程度が壊され、残りは2割程度が削られている。埋葬施設や副葬品などは確認されていない》。

《文化財保護法では、史跡内の工事には国の許可が必要だが、ゴルフ場側は届け出をしておらず、「重要な古墳があることは知っていたが、昨年、経営者が代わり、工事するのに許可がいるとは知らなかった。国や県と協議して復旧に努めたい」としている。文化庁記念物課は「現場は急な傾斜になっており、土木などの専門家の意見を聞きながら復旧を目指したい」としている》。

「重要な古墳があることは知っていた」のに「工事するのに許可がいるとは知らなかった」という答弁は、理解に苦しむ。今朝の奈良新聞(6/8付)によれば、《土地の所有者はゴルフ場側だが、国史跡に指定されているため、開発には文化財保護法に基づき国の許可を取る必要があった。ゴルフ場側は申請もしていなかった》《工事は昨年11月に始まった。御所市は匿名の通報を受けて初めて状況を把握し、工事中止を命令》したということで、匿名の通報によって発覚したのだった。心ある人のおかげで、この程度で食い止められたのだ。
※朝日新聞でも報じられた(動画あり)
http://www.asahi.com/national/update/0607/OSK201006070043.html

昨年11月、香芝市教育委員会が、尼寺廃寺(にんじはいじ)跡から掘り出した出土品の保管に困って、駐車場予定地に埋めたという問題が発覚した。「猫に小判」といっては言い過ぎだろうが、こんな問題が続出するようでは、またしても「奈良県民は、足元の『お宝』に無頓着である」と批判されることだろう。
http://www.hohen-online.com/temple/news/news/news091107.html

「桜の樹の下には屍体(したい)が埋まっている!」は、梶井基次郎の小説の出だしであるが、「県土の下には文化財が埋まっている!」を今いちど肝に銘じなければならない。

(追記)奈良日日新聞(6/9付)によると《荒井知事は8日、定例会見で、古墳などの史跡のある土地の所有者に対して全県的に確認調査を実施していく方針を明らかにした》《荒井知事は「土地所有者の代が変わると、史跡への認識が薄くなる可能性もある」と述べ、調査に早期着手する意向を示した》。
コメント (3)
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