tetsudaブログ「どっぷり!奈良漬」

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御所市出身のJRA騎手・藤井勘一郎さん

2024年02月09日 | お知らせ
会社の先輩だった藤井さんのご長男は、日本中央競馬会(JRA)の騎手だ。御所市の中学を卒業後、オーストラリアに渡り騎手デビューを果たし、シンガポール、韓国などでレースに騎乗した。2019年にはJRAの騎手免許を取得した。当ブログでも、2011年2013年の2回、彼を紹介している。
※写真は、ご本人のX(旧Twitter)から拝借した

しかし残念ながら2022年4月のレース事故で落馬し、脊髄を損傷された。今は懸命にリハビリに取り組まれているが、このたび引退が正式に決まり、今年2月17日(土)京都競馬場で引退式が行われるという。藤井さんはこの間の経緯を日本経済新聞「スポートピア」(2024.1.30付)に寄稿された。以下に全文を紹介する。

〈スポートピア〉藤井勘一郎 落馬後の歩みは「冒険」
レース終盤、近くにいた馬が故障し、自分の騎乗馬の前に倒れてきた。「どうにか跳び越してくれ」。そう願ったものの、かなわずに落馬。次に気付いた時は、競馬場内の医務室だった。2022年4月16日、福島競馬場でのレースで脊髄を損傷した。

競馬場から病院に運ばれる間の記憶は曖昧で、自分の足がマヒしていることも、まだわからなかった。病院で緊急手術を受け、目が覚めたのは次の日の夕方。この時点で下半身の感覚がないことを自覚した。胸から下が動かず、現在は車いすで生活しながら、リハビリに努めている。

競馬とは無縁の家庭で育った私が競馬と出合ったのは小学生の時。テレビで興味を持ち、その後、父に競馬場に連れて行ってもらった。馬が走る迫力や地響きなどを体感し、一気に魅了された。

中央競馬の騎手を志したが、騎手を養成する日本中央競馬会(JRA)競馬学校(千葉県白井市)に入学するための、当時の体重の基準をクリアできなかった。諦めきれずオーストラリアに渡り、騎手を養成する学校に入った。

豪州は騎手の人数も多く、競争が激しい。地方の小さい競馬場で結果を出し、シドニーのような大都市へとステップアップしていく。私の場合、海外で実績を重ね、日本に戻って中央の騎手免許試験を受けるという目標もあった。そのためにシンガポールや韓国にも渡り、経験を積んだ。

私は冒険家の話が好きで植村直己などの本をよく読む。異国の地で言葉の壁もあるなか、現地で準備を進め、一歩一歩、険しい山の頂へと歩みを進めていく。それが自分の騎手人生にも重なった。馬主や生産者、厩舎関係者の思いの詰まった馬に乗り、レースに勝つことはもちろん、自分のキャリアを着実に積み上げていくことも、騎手としてのやりがいだと感じていた。

落馬後の歩みも、それと似ている。最初は車いすに乗る練習をすると、起立性低血圧で気を失いそうになった。症状が改善し、こぐ練習に移っても自力ではちょっとしたスロープも上れなかった。

家族や病院の方々、競馬関係者、友人の助けもあり、そうした課題をひとつひとつクリア。徐々にできることが増えてきた。昨年後半には飛行機で豪州や香港へ渡り、現地のレースを観戦できた。これから新たに何ができるようになるのか。ワクワクする毎日を送っている。(中央競馬騎手)

ふじい・かんいちろう 1983年奈良県生まれ。中学卒業後にオーストラリアに渡り、2001年に現地で騎手デビュー。豪州のほか、シンガポール、韓国などを拠点に世界各国のレースに騎乗。6回の受験の末、19年に日本中央競馬会(JRA)の騎手免許を取得した。


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2 コメント

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前向きな人生 (ヨッピー(長越洋子))
2024-02-11 11:54:49
今の今迄全然知りませんでした。本当に申し訳ない気持ちです。
御所市にこのような素晴らしい騎手さんがいらっしゃったなんて!不運にも事故に遭遇されたけど今は希望を持って前向きに進んでおられるのですね。
笑顔が素晴らしい! もうじき事故後2年ですが頑張って頂きたいと願うばかりです。
ワクワクする毎日 (tetsuda)
2024-02-12 06:31:44
長越さん、コメントありがとうございました。

> 御所市にこのような素晴らしい騎手さんがいらっしゃったなんて!

長年、海外で活躍されていましたので、地元では案外知られていないようですね。

> 不運にも事故に遭遇されたけど今は希望を
> 持って前向きに進んでおられるのですね。

「ワクワクする毎日を送っている」と、明るく締めておられます。この連載は、まだ続くそうですので、記事が入手できましたら、紹介させていただきます!

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