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田中利典師の「世界遺産登録への道のり」(朝日新聞「人生あおによし」第17回)

2024年01月11日 | 田中利典師曰く
今日の「田中利典師曰く」は、「世界遺産登録への道のり」、2014年の朝日新聞「人生あおによし」の第17回である。利典師のお骨折りで「紀伊山地の霊場と参詣道」がユネスコの世界文化遺産に登録されたのは2004年、ということは今年で20周年だ、おめでとうございます!

これにちなんで〈「紀伊山地の霊場と参詣道」記念サミット〉が2月8日(木)、東京・秋葉原で開催される。地元・吉野でも、大いに盛り上げていただきたいものだ。では、以下に全文を紹介する。

世界遺産登録への道のり
2004年7月、吉野大峯を含む「紀伊山地の霊場と参詣道」がユネスコの世界文化遺産に登録されました。これは金峯山寺にとっても、そして修験道全体にとっても大変大きな慶事でした。

私が推進活動に手を付けたのは1999年です。「日光の社寺」が世界遺産登録されたことがきっかけでした。山岳信仰の地として日光が世界遺産登録をされるという話を輪王寺塔頭の後輩から聞いて、「山岳信仰ならうちが本家ではないか?」という思いから、すぐさま手を挙げたのでした。

当初は地元の反応も鈍く、寺内も懐疑的な空気でした。それが5年足らずで実現したことには、言い出しっぺである私も驚きました。

日本での世界遺産登録は観光資源の開発や地域活性化に傾くきらいがあります。しかし私は活動を始めた当初から、登録がゴールではなく、平和を希求するユネスコ憲章に立脚した世界遺産の精神をどう根付かせるかを大切にしなくてはならないと考えてきました。

修験道に限らず、仏教の持つ優れた世界観を発信しなくては、寺は単に葬祭仏教や観光寺院になりはて、いずれ世間から見限られてしまうという危機感もありました。

自然を尊んで神仏に祈る心を取り戻すためには、神と仏の祈りの聖地が守られ続けてきた奈良や吉野の地だからこそできることがあるはずです。登録から10年、道はまだまだ半ばですが、明治以降に日本人がなくしてきたものを見つめ直し、日本の再生に向けて皆で動き出すために発信し続けて行きたいものです。
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