tetsudaブログ「どっぷり!奈良漬」

コロナも落ちつき、これからが観光シーズン、ぜひ奈良に足をお運びください!

天保年間の蕎麦の実を使った「天保そば」(by 麺匠さかい)

2022年08月15日 | グルメガイド
先日、当ブログ(2022.8.5付)で、麺匠さかいの「こんにゃくそば」を紹介した。こちらのHPを見ていて、「幻の山形天保そば」なるものがあることを知った。製造は麺匠さかい、販売は幻の山形天保そば保存会となっている。8袋(1袋=200g)入りで4,320円(税込み、送料別)だ。



天保年間(1830~1844年)の蕎麦の実を、現代によみがえらせたのだそうだ。大賀ハスではないが、これは興味深いストーリーである。そばの話「幻の山形天保そば」によると、

170年の眠りから覚め、現代に蘇る!!『幻の山形天保そば』。1998年のとある日、福島県の旧家の天井裏から「そばの実」がびっしり詰められた《俵》が発見された。時は、江戸時代後期。冷害凶作にみまわれ餓死する者が続出した、世に言う天保の大飢饉の頃。



同じ思いを子孫にはさせまいと、貯蔵食として天井裏にその《俵》を保管したのだという。そして、代々言い伝えられ、今日まで大切に保管されていた。まさに、ご先祖が残した宝物であった。

「そばの実」は長さ70cm、直径30cm位の小型の俵に詰められ、更に二重三重の俵で保護されており、それぞれ俵の隙間には木炭と炭の粉がびっしり詰められていた。それは、ネズミなどの食害から「そばの実」を守る為の知恵であった。



発見後、先祖が残した「そばの実」を何とか蘇らせたい。と、国や大学の公的機関に送り発芽試験を依頼。しかし「すべての種子で胚は発芽活性を喪失、成長能力はない。」との報告であった。



それでも、あきらめきれない熱意と、その「そばの実」約100グラムを運命的に引き継いだ「保存の会」のメンバーらがこの試みに挑戦したのである。専門の公的機関でも全く発芽する気配すら見せなかった天保そばを、見事に発芽させた。天保そばが山形の地で蘇ったのだ。



他品種と交配しないよう、日本海に浮かぶ飛島の畑で種子を採取、山形市内の畑で栽培した。収量は徐々に増加。そして、十年間、試行錯誤を重ね、ついに、店頭販売できるまでの収量を確保するまでになったのだ。天保そばとは、そんな謂れのある幻のそばなのである。




10年間の試行錯誤とは、頭が下がる。麺匠さかいから取り寄せようとしたが、常に製造されている訳ではないし、1人5箱まで(1箱に8袋)という制限が付いている。しばらく入荷を待ってから取り寄せた。

早速いただいてみたが、特に変わった味がするわけではない。おそらく蕎麦の実の中心部分を粉にし(更科粉)、それを小麦粉と混ぜているので、蕎麦の個性が失われたのだろう。その分、現代人にも食べやすく美味しい蕎麦になっているのであるが…。これはぜひ、「挽きぐるみ」をいただきたいものである。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする