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坂東真砂子著『蛇鏡 』の舞台、鏡作神社(田原本町)/毎日新聞「やまとの神さま」第14回

2022年08月11日 | やまとの神さま(毎日新聞)
NPO法人「奈良まほろばソムリエの会」は毎週木曜日、毎日新聞奈良版に「やまとの神さま」を連載している。先週(2022.8.4)掲載されたのは〈美容界も敬う 鏡鋳造の神/鏡作神社(田原本町)〉、執筆されたのは同会会員で、京都府木津川市在住の島田宗人さんだった。鏡作神社は、国道沿いに大きな看板が立っているので、ご存じの方も多いだろう。
※トップ写真は、秋の例祭宵宮の神楽奉納=鏡作神社提供

この神社は、坂東真砂子の小説『蛇鏡 』(文春文庫)の舞台である。《婚約者の広樹と共に帰郷した玲は、かつて姉の綾が結婚を目前にして首を吊った蔵で、珍しい蛇の浮き彫りのある鏡を見つける。その日を境に、玲の心の中で何かが変わっていく。そして、様々な人間の思惑が絡み合う中、「みぃさんの祭り」がやってくる…。奈良を舞台に人の心の移ろいを描きだす傑作伝奇長篇小説》という、とてもコワい話だ(版元のサイトは、こちら)。では、記事全文を紹介する。

鏡作神社(田原本町) 
鏡作神社は、古代の下ツ道沿いに鎮座し、赤の鳥居から社殿へ向かう参道は、木々の茂る中にあります。神社の正式名称は、鏡作坐天照御魂(かがみつくりにますあまてるみたま)神社です。朱塗りの本殿は流造(ながれづくり)三殿を並べ、それらを一つに連結した珍しい形です。

古代人は、鏡を己が御魂(みたま)の宿るものとして崇(あが)めました。崇神天皇の世、天照大神と八咫鏡(やたのかがみ)が笠縫邑(かさぬいむら)へ遷座(せんざ)した際に、鏡作部(かがみつくりべ)の人々は、内侍所(ないしどころ)に納める鏡の試鋳(しちゅう)品を、天照国照彦火明命(あまてるくにてるひこほのあかりのみこと)として祭ったとされます。神社の北東の唐古・鍵遺跡で、青銅鋳造の遺物が出土していますが、鏡作りの里に、この技術が伝えられたものと思われます。

神宝の「三神二獣鏡(さんしんにじゅうきょう)は三角縁神獣鏡(さんかくぶちしんじゅうきょう)の内区が残された精巧な逸品で、愛知県犬山市の東之宮(ひがしのみや)古墳出土の鏡と同范鏡(どうはんきょう)とされます。

辻忠雄宮司は、「九州の平原(ひらばる)遺跡から出土した八咫鏡に比定される国宝内行花紋八葉鏡(ないこうかもんはちようきょう)のレプリカが拝殿に祭られており、秋の例祭の宵宮には、御神楽が奉納されますので、併せてご参拝ください」と話されます。

当神社は鏡・ガラス、美容業界の方からあつく敬われており、心も姿も美しくありたいと祈願うする人々の参拝も多く、全国的にも古代の鏡を祭る由緒ある神社です。(奈良まほろばソムリエの会会員 島田宗人)

(住 所)田原本町八尾816
(祭 神)天照国照彦火明命、石凝姥命(いしこりどめのみこと)、天糠戸命(あめのぬかどのみこと)
(交 通)近鉄田原本駅から徒歩約20分
(拝 観)境内自由
(駐車場)有(5台、無料)
(電話)0744・32・2965


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