tetsudaブログ「どっぷり!奈良漬」

コロナも落ちつき、これからが観光シーズン、ぜひ奈良に足をお運びください!

陽気な桜vs陰気な桜

2006年04月09日 | 日々是雑感
面白い記事を読んだ。『桜が創った「日本」』(岩波新書)の著者で、東大助教授の佐藤俊樹氏の話だ(06.4.3付 読売新聞)。日本人は桜に対して「陽気で外向的」と「感傷的で内向的」の2つのイメージを持っていて、それが交互に移り変わるという。

例えば、陽気な桜は
1.奈良時代。ハイカラな平城京周辺で、中国渡来の桜がブームとなった。
(平安中期には感傷的な桜となり、『源氏物語』では、薄幸の紫の上が桜にたとえられた。)
2.平安末~鎌倉初め。日宋貿易が盛んな時期。
3.南北朝~室町初め。バサラが流行し、金閣寺が建てられた。
4.安土桃山~江戸初め。秀吉の花見がその典型。

元禄末頃(1700年代)からは渋好みに転じ、その後は100年ごとに交代するという。つまり
陽気:文化文政~明治(1800年代)
感傷的:大正~昭和(1900年代)

昭和の戦争や軍隊、死者の記憶や伝統の重みから外れ、2000年代の今は「陽気」に転じつつあるという。確かに、森山直太朗や河口恭吾の歌にはそんなウェットな心情は感じられない。花見の席で「残る桜も散る桜」(良寛の辞世)などと揶揄(やゆ)する輩も少なくなった。

これからは陽気な桜の時代だ、と思うだけでも元気が出てくるではないか。

※写真は、けいはんな記念公園の桜(京都府精華町 4/9撮影)。関西では、この土日がお花見のピークとなり、たくさんの花見客が桜の名所を訪れていた。
コメント (5)
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