テスラ研究家・新戸雅章の静かなる熱狂の日々

エジソンも好きなテスラ研究家がいろいろ勝手に語っています。

★変な科学者の話(1)キャベンディッシュ

2005-08-16 22:24:20 | Weblog
 18世紀の物理学者ヘンリー・キャベンディッシュの研究人生は現代の科学者から見ると、まるでお伽噺かファンタジーのようである。
 内気で孤独癖が強かったキャベンディッシュは、他人と親密な交わりをもたず、生涯独身を通した。彼の女性嫌いは有名で、屋敷の中でも女性の使用人とは決して顔を合わせようとしなかった。ある時、ひとりのメイドが運悪く彼の前に姿を見せてしまった。彼はこのぶしつけな使用人を即座にクビにしてしまったという。
 学界とも社交界ともほとんど交りをもたず、業績を世に問う機会も少なかった。生前に発表した論文はわずか18編だけ。それでも水素やアルゴンの発見し、水が酸素と水素の化合物であることを明らかするなど、その業績は少なくなかった。
 キャベンディッシュの膨大な業績が明らかになったのは、彼の死から60年後のこと。その再評価を先導したのは、マクスウェルの方程式で有名な物理学者ジェームズ・クラーク・マクスウェルだった。
 キャベンディッシュの遺稿の調査したマクスウェルは、その重要性に気づいて、調査に没頭した。この大科学者の労をいとわない努力によって初めて、埋もれていた業績の全貌が明るみに出されたのである。
 たとえば、「キャベンディッシュの実験」と呼ばれた地球の密度測定実験から出された数値は、現代の測定値にかなり近いものだった。
 電気学でよく知られている「クーロンの法則」(静電気の逆二乗の法則)を、当のクーロンに十数年先だって発見していた。またオームの法則のさきがけとなる研究も完成させていた。
 今、彼に与えられている18世紀最大の物理学者の称号は、名利を追わず、ひたすら真理を探求したからこそえられた栄誉だろう。

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