テスラ研究家・新戸雅章の静かなる熱狂の日々

エジソンも好きなテスラ研究家がいろいろ勝手に語っています。

地震兵器に津波兵器、浜田和幸参院議員の仰天発言

2011-07-13 00:43:50 | Weblog

 昨日に続いてテスラがらみの話題。
 新しく復興担当の政務官に就任した浜田和幸参院議員が、衆院の委員会で地震兵器や津波兵器の可能性に言及したという驚くべき記事が飛び込んできた。
 11日(月)の東日本大震災復興特別委員会で、みんなの党の柿沢未途氏の質問に答えたもの。

 柿沢氏が取り上げたのは、雑誌「新潮45」2005年3月号に掲載された「スマトラ沖地震に隠された仰天情報」と題された浜田氏の論文。この中で浜田氏はスマトラ島沖地震が「地震兵器」、「津波兵器」により引き起こされた可能性があるとし、アメリカの関与を示唆しているという。
 浜田氏は復興担当の政務官として、国際協力を得なければならない立場。その担当者には不適格だとする柿沢氏に対して、浜田氏は「地震や津波を人工的に起こすのは技術的に可能で、国際政治、軍事上で常識化されている」と改めて持論を展開したそうである。
 衆院の委員会での発言だから、これは確信的な発言である。
 オカルト雑誌の読み過ぎだとか、なにか宗教か陰謀論にでもはまっているのだろうというのは簡単だが、仮にも浜田氏は国家の中枢にいる政務官。そんな要職にある者が、「地震兵器」などといったオカルト話を信じ、あまつさえ委員会で堂々と公言していいものか。
 大震災直後にも、同様の発言をした女性の県会議員さんがいたが、それとは重みが違う。

 浜田氏といえば「快人エジソン」という興味深いエジソン論もあらわしている気鋭の国際政治学者。エジソンとテスラを比較した拙著でも参考にさせてもらっているだけに、なぜにという思いが強い。
 確信的な発言だとすれば、これからも「トンデモな」発言が飛び出す可能性が高い。最近も本題とは関係ないところで話題になり、ろくに職務を果たせないうちに辞職した政務官や大臣がいた。このままトンデモ発言を続けていけば、彼らの二の舞になりかねない。
 浜田氏もエジソン学者なら、地震兵器や津波兵器など存在しないことは百も承知のはず。もちろん、まともなテスラ学者にも信じている者などいない。
 そんな与太話は早く忘れて、被災者のために職務に専念されることを望みたい。

 

 


テスラと節電でちょっと気になった記事

2011-07-10 23:28:52 | Weblog

 東北大震災以来、メディアでテスラの名を見かける機会がふえてきたような気がする。これにはいくつかの理由があるだろう。
 ひとつは脱原発・自然エネルギーの利用促進などが進む中で、今日の電力システムの創始者として紹介される機会がふえたこと。原発も基本的には、テスラのシステムの上に乗っていることはいうまでもない。
 もうひとつは、その一方で彼の無線送電や世界システムが脱原発・自然エネルギーの先駆としても評価されていることである。そして最後は毎度おなじみ「地震兵器」の一席。
 最後は論外としても、あとのふたつは当然の評価だろう。そんな中でひとつ気になる記事があった。それは超伝導直流送電を紹介した「<特集>「究極の節電」の実現に向けて(2)=効率送電、リニアモーターカーを支える超電導記事」と題する株式投信情報サイト「モーニングスター」の記事である。

 記者は、最近、節電技術のひとつとして超伝導直流送電がクローズアップされているとして、「米国における電力事業の草創期(1880年代)、大規模発電・交流送電を提唱するニコラ・テスラと、分散型発電・直流送電を支持するエジソンとの対立があり、前者が勝利したのは著名なエピソード」だと書いている。
 そして交流は現在の電力システムの主流だが、長距離送電におけるロスの大きさや、直流を前提としている自然エネルギーの普及に不利といった短所もあるとしている。そして超伝導を利用した直流送電がこれを克服する鍵になるかもしれないと指摘している。

 たしかに超伝導直流送電はすでに交流送電網の一部を代替しているし、両者の利点を活かした棲み分けや共生も進んでいる。
 記事は大筋では正しいが、上記の引用には読者に誤解されかねない部分もある。それは当時、送電方法には二つの選択肢があり、テスラは大規模・交流発電を選択し、エジソンは分散型・直流発電を選択した、とも読めることである。
 しかし、これは正確ではない。エジソンは直流を「選択」したが、それは交流と直流を比較して直流を選択したわけはなかった。彼が電力システムの建設に着手した当時、交流による電力システムは存在しなかった。交流による大規模発電・長距離送電という選択は、テスラによって初めて可能になったのである。つまり、エジソンは他に選択肢がない中で、当時、一応形が整いつつあった直流技術にかけたのだった。
 同じく分散型についても、最初から大規模発電を否定したわけではなかった。エジソンも大規模発電・長距離送電を望んでいたが、当時、直流では技術的に不可能だったため、やむをえず次々に(約3キロごとに)小規模発電所を建設したにすぎない。これをエジソンが分散システムを選択したかのようにいうのは、やはり無理があるだろう。

 これと似たような切り口の記事はほかでも見かけた。「電流戦争」を、現代の送・発電システムに結びつける議論はこれからも多くなると思うので、テスラを取り上げてもらったことには感謝を表しつつ、少し細かいところを指摘させていただいた。あしからず。