ナチスの軍服を着たユダヤ人

* * * * * * * *
この題名では、どうしてもダビンチ・コードなどのような
歴史ミステリっぽい内容を想像してしまいそうですが、
そういう期待をした方には期待はずれ。
しかし、これがまた期待を裏切る方向に面白い、なかなかの作品です。
第二次大戦下オーストラリア。
ユダヤ人のカウフマンは画商を営んでいます。
しかしいよいよドイツ軍が侵攻。
ユダヤ人の彼らに危険が迫ります。
カウフマンは先に逃亡を図ろうとするのですが、時すでに遅く、
ミケランジェロの素描画を奪われ、カウフマン氏と妻、そして息子のビクトルは収容所へ送られてしまいます。
実はこのことは、彼らの使用人の息子ルディの仕業でした。
ルディはカウフマン家をナチスに売り渡し、自らナチスの一員となってしまった。
ビクトルにとっては、ルディは兄弟同様に育った仲で、
カウフマン家にとしても家族同様、分け隔てなく接してきたつもりだったのですね。
しかし、ルディにとってはカウフマン家はあくまでも雇い主であり、
常にコンプレックスを刺激されてきた、そういう内情があったわけです。
しかし、カウフマン氏はそれさえもお見通しだったように見受けられますが、
それを見抜けていないビクトルは、いかにもお金持ちのお坊ちゃまだ。
カウフマン氏は収容所で死亡。
ビクトルは父が残した謎の伝言を受け取ります。
さて、ミケランジェロの絵を手に入れ喜々としたナチス幹部。
ところがまもなくその絵が贋作であることがわかります。
ホンモノはどこだ!!
ホンモノのありかを聞き出すために、
ルディがビクトルを収容所から連れ出すことになるのです。

ここから物語は俄然面白くなるのですが、
この二人は途中から服装を入れ替えだだけで、立場が逆転してしまうのです。
「縞模様のパジャマの少年」を思い出してしまいました。
服を取り替えただけでもうわからなくなってしまう、ユダヤ人差別という意味のないもの。
そういう痛烈な皮肉がありますね。
ナチスの軍服を着たユダヤ人。
全く冷や汗ものです。
しかしまたビクトルはルディにこんなことも言います。
「君がこの軍服を脱ぎたがらないわけがよくわかったよ。」
軍服姿はなかなかカッコよくて、しかも少し位の上のものなので、周りには敬われる。
何だか自分が強く偉くなったような気がしてしまうのでしょう。
中身は貧相だとしても・・・。
ミケランジェロの絵のありかについては、単純な暗号なので、
私たちはだいたい想像が付いてしまうのですが、
それよりもビクトルの正体がいつばれてしまうのか、
絵の隠し場所がいつ気づかれてしまうのか、
そして、恋人レナの本当の気持ちは・・・?
など、ちょっぴり可笑しみを交えつつ、ハラハラさせられることが山盛りです。

ということで、この作品はユダヤ人とナチスを描きながらも、
つきものの重苦しさはなく、
ライバルの青年二人の“騙しあい劇”という風合いになっています。
ラストの二人、それぞれの表情がとてもよかったですね。
「ミケランジェロの暗号」
2010年/オーストラリア/106分
監督:ウォルフガング・ムルンバーガー
原作:ポール・ヘンゲ
出演:モーリッツ・ブライブトロイ、ゲオリク・フリードリヒ、ウルズラ・シュトラウス、マルト・ケラー

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この題名では、どうしてもダビンチ・コードなどのような
歴史ミステリっぽい内容を想像してしまいそうですが、
そういう期待をした方には期待はずれ。
しかし、これがまた期待を裏切る方向に面白い、なかなかの作品です。
第二次大戦下オーストラリア。
ユダヤ人のカウフマンは画商を営んでいます。
しかしいよいよドイツ軍が侵攻。
ユダヤ人の彼らに危険が迫ります。
カウフマンは先に逃亡を図ろうとするのですが、時すでに遅く、
ミケランジェロの素描画を奪われ、カウフマン氏と妻、そして息子のビクトルは収容所へ送られてしまいます。
実はこのことは、彼らの使用人の息子ルディの仕業でした。
ルディはカウフマン家をナチスに売り渡し、自らナチスの一員となってしまった。
ビクトルにとっては、ルディは兄弟同様に育った仲で、
カウフマン家にとしても家族同様、分け隔てなく接してきたつもりだったのですね。
しかし、ルディにとってはカウフマン家はあくまでも雇い主であり、
常にコンプレックスを刺激されてきた、そういう内情があったわけです。
しかし、カウフマン氏はそれさえもお見通しだったように見受けられますが、
それを見抜けていないビクトルは、いかにもお金持ちのお坊ちゃまだ。
カウフマン氏は収容所で死亡。
ビクトルは父が残した謎の伝言を受け取ります。
さて、ミケランジェロの絵を手に入れ喜々としたナチス幹部。
ところがまもなくその絵が贋作であることがわかります。
ホンモノはどこだ!!
ホンモノのありかを聞き出すために、
ルディがビクトルを収容所から連れ出すことになるのです。

ここから物語は俄然面白くなるのですが、
この二人は途中から服装を入れ替えだだけで、立場が逆転してしまうのです。
「縞模様のパジャマの少年」を思い出してしまいました。
服を取り替えただけでもうわからなくなってしまう、ユダヤ人差別という意味のないもの。
そういう痛烈な皮肉がありますね。
ナチスの軍服を着たユダヤ人。
全く冷や汗ものです。
しかしまたビクトルはルディにこんなことも言います。
「君がこの軍服を脱ぎたがらないわけがよくわかったよ。」
軍服姿はなかなかカッコよくて、しかも少し位の上のものなので、周りには敬われる。
何だか自分が強く偉くなったような気がしてしまうのでしょう。
中身は貧相だとしても・・・。
ミケランジェロの絵のありかについては、単純な暗号なので、
私たちはだいたい想像が付いてしまうのですが、
それよりもビクトルの正体がいつばれてしまうのか、
絵の隠し場所がいつ気づかれてしまうのか、
そして、恋人レナの本当の気持ちは・・・?
など、ちょっぴり可笑しみを交えつつ、ハラハラさせられることが山盛りです。

ということで、この作品はユダヤ人とナチスを描きながらも、
つきものの重苦しさはなく、
ライバルの青年二人の“騙しあい劇”という風合いになっています。
ラストの二人、それぞれの表情がとてもよかったですね。
「ミケランジェロの暗号」
2010年/オーストラリア/106分
監督:ウォルフガング・ムルンバーガー
原作:ポール・ヘンゲ
出演:モーリッツ・ブライブトロイ、ゲオリク・フリードリヒ、ウルズラ・シュトラウス、マルト・ケラー