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映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

アメリカン・サイコ

2011年10月14日 | 映画(あ行)
心が壊れた男の悪戦苦闘



* * * * * * * *

この作品は、ジャレッド・レトが見たくて観ました。
でも、彼は初めの方ですぐに殺されてしまいます(T_T)
サイコというからには、やはりあのヒッチコックの名作を思い出しますよね。
だからこれは、リアルタイムのアメリカを背景とした、
また新たな異常心理を描くサスペンス・・・かと思ったのですが、
これはむしろブラックユーモアに満ちた作品でした。


80年代、好景気に沸くニューヨーク。
ウォール街証券会社のエリートであるパトリック・ベイトマン(クリスチャン・ベール)。
高級マンションに住み、デザイナースーツを身に付け、
完璧な肉体を保つために毎日のトレーニングも欠かさない。
誰もがうらやむリッチな生活を送っています。
しかし、そのような物質では満たされない何かがやはりあるのでしょうね。
次第に奇行が目立つようになり、殺人の衝動へと駆られていく。

彼はものすごいナルシストで、潔癖症。
同じ仲間が少しでも自分より優位に立つのが我慢ならない。
多くは性的興奮のために女性を殺害するのですが、
時には自分よりカッコいい名刺をひけらかす友人に殺意を覚えたりする。
とにかく刹那的であり衝動的。
しかし、衝動的であるあまりに、邪魔が入って失敗ということも多い。
この、誰でもかまわず、思いついたらすぐにでも・・・という安直さが、
悲惨な殺人を描きながらも、どこかユーモラスに感じてしまうのですね。
アメリカン・サイコというよりは、むしろコンビニ・サイコ・・・?
でもそれはこの作品が失敗というわけではありません。
初めからそのように狙っているわけです。

さて、こんなに人が死んでいるのに、あまりにも世間は平和と思えてきます。
初めに、死んだ男を探すために私立探偵が一人やってくるだけで・・・。
死体を隠すのはそう簡単ではないですよね・・・。
一斗缶に詰めて街角に置いてもいずれ見つかるし・・・。
そういうところが、意外なラストへつながっていきます。

心が壊れた男の悪戦苦闘ぶりを、ご覧ください・・・・


アメリカン・サイコ
2000年/アメリカ/102分
監督:メアリー・ハロン
原作:ブレット・イーストン・エリス
出演:クリスチャン・ベール、ウィルム・デフォー、ジャレッド・レト、ジョシュ・ルーカス、サマンサ・スミス