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映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

ロンリーハート

2011年10月25日 | 映画(ら行)
悪女に絡め取られて逃れられない男

               * * * * * * * *

この作品も、実を言えばジャレッド・レトつながりで見た作品です。
それで、内容はあまり期待していなかったのですが、
これがどうしてどうして、人の心の有りようをじっくりと映し出す力作にて良作。


1940年代に実際に起こった連続殺人事件を元にしています。
結婚詐欺師のレイ(ジャレッド・レト)は、
新聞の“ロンリーハート”欄で、孤独な女性を物色しては、
せっせと文通をして親しくなり、実際に逢って結婚話でお金を巻き上げる、
そんなことを繰り返していました。
文通というのがいかにも時代を感じさせます。
今時の出会い系サイトと同じですね。
いつの世も、人とのつながりを求める人がいて、時にはそれを悪用しようとする者がいる。
さてところが、レイが相手にした女性のうちの一人、
マーサというのがまあ、“悪女”なのです。
彼女はレイが詐欺師であることなどお見通しで、
いつしか二人が組んで詐欺を行うようになる。
兄と妹として、やはり女性に接近するのです。
ところが、マーサはレイが誘惑した女性に異常に嫉妬し、その女性を殺してしまう・・・。
この頃になるともう、レイはこんな残酷なマーサが怖くなってくるんですね。
以前のように自由気ままに女性を夢見心地にさせて楽しんでいた方がよかった・・・。
それなのに、彼はこのマーサに絡め取られたように、逃れることができないのです。
そういう不可思議な心境を、ジャレッド・レトが非常に巧みに演じていました。
本当は髪が薄くて、頭頂部が禿げているのですが、
女性と会うときはカツラをつけているのです。
多分これは事実を元にしているのかもしれません。
でも、そんなところが実にリアルな感じがするんですね。
そして、サルマ・ハエックのマーサが、ホントにきれいで怖い! 
まさに毒婦ですねえ。


さてさて、申し遅れましたが、この事件を追うのが
ロビンソン刑事(ジョン・トラボルタ)です。
こちらがまた、かっこよくしぶいんですよ。
トラボルタは時々悪のりかと思うくらいにギラギラ感がありますが、
この作品においては、控えめで渋い!!
というのも、奥さんに自殺されてしまい、
それ以後仕事に身が入らず、抜け殻のようになっている、
そんなところから始まるためでもあるのですが。
そんな彼が、ある女性の自殺を担当します。
明らかに自殺。
特に事件性はないと誰もが思ったのですが、彼は何かひっかかりをおぼえる。
この女性の自殺は、つまりレイの詐欺によるものだったのですが、
ロビンソン刑事がこの詐欺師の存在を突き止め、彼らを追跡していくのです。

詐欺の二人と、彼らを追う刑事を交互に描写していきますが、
双方に生活の事情があり、正に「生きている」感。

まだまだ、取りこぼしている良作はあるものですねえ。

ロンリーハート [DVD]
ジョン・トラボルタ,ジャレッド・レト,ジェームズ・ガンドルフィーニ
ソニー・ピクチャーズエンタテインメント


「ロンリーハート」

2006年/アメリカ/107分
監督・脚本:トッド・ロビンソン
出演:ジョン・トラボルタ、ジェームズ・ガンドルフィーニ、ジャレッド・レト、サルマ・ハエック、スコット・カーン、ローラ・ダーン