映画と本の『たんぽぽ館』

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負け犬の美学

2020年07月03日 | 映画(ま行)

敗者があってこその勝者

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最盛期を過ぎた45歳のプロボクサー、スティーブ(マチュー・カソビッツ)。
これまで、49戦13勝という自慢にもならない成績。
あと一戦、50戦を期に引退しようと考えています。
しかし家族のためにはまだまだ稼がなければならない。
そんな時にスティーブは、欧州チャンピオン・タレク(ソレイマム・ムバイエ)の
スパーリング相手となることにします。
つまり体のいい打たれ役。
いいように使われて、自身の体がボロボロになる危険もあります。
しかしスティーブは、そもそも年齢が行き過ぎていて体力が衰え、動きも機敏ではない。
スパーリング相手としてもクビになりかけますが・・・。

タレク役は、WBA世界スーパーライト級王者、ソレイヌ・ムバイエその人が務めています。
これがハリウッド映画なら、中年の引退間近のボクサーが
馬鹿にされながらも必死でトレーニングを積んで、
テーマミュージックをバックに、チャンピオンを打ち負かす・・・みたいな話になるところですが、
しかしこれはフランス作品。
さすがにもっとしっとりと落ち着いています。
奥さんと娘も彼を見捨てて出て行ったりはぜず、
若干困惑するところを見せながらも、夫・父に寄り添い、支えます。



ボクサーとしては実際、もうポンコツ。
最良の時だってたいしたことなかった。
それでも彼はとにかくボクシングが好きなのでしょう。
だから最後の最後まで頑張ろうと思う。
だからこそ、邦題は「負け犬の美学」。
原題では単に「スパーリング」なのですが。
ちょっとクサい感じではありますが、まあ、悪くはないか・・・。



作中「敗者があってこその勝者だろう」というセリフがありました。
確かに。
負けても負けても頑張っているボクサーや、他のスポーツのアスリートたちは大勢いますね。
そうした人々に捧げる作品と言ってもよいと思います。

娘役はビリー・ブレインという少女。
一瞬男の子かと思うほどのショートカットヘアですが、
このボーイッシュな感じがすごくいいです。
今後もまた別の作品で見てみたい。

<WOWOW視聴にて>
「負け犬の美学」
2017年/フランス/95分
監督:サミュエル・ジュイ
出演:マチュー・カゾビッツ、オリビア・メリラティ、ソレイマヌ・ムバイエ、ビリー・ブレイン

負け犬度★★★★☆
満足度★★★★☆

 



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