映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

百瀬、こっちを向いて。

2024年01月22日 | 映画(ま行)

恋愛か、打算か

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新人文学賞を受賞し、母校から講演を依頼された30歳の小説家、相原ノボル(向井理)。
15年ぶりに帰郷し、高校生当時のことを回想します。

さえない高校生だったノボル(竹内太郞)。
尊敬する先輩、宮崎(工藤阿須加)から、
ショートヘアの美少女・百瀬(早見あかり)を紹介されます。

宮崎には学校のマドンナ的存在の神林(石橋杏奈)という交際相手がいるのですが、
百瀬と付き合っているといううわさが流れて困っていました。
そこでそのうわさを打ち消すために、
ノボルと百瀬に期間限定で付き合っているフリをしてほしいというのです。
ノボルは気が進まないながらも、嘘の恋愛関係を始めますが・・・。

実は百瀬は本当に宮崎のことが好きで、
でも宮崎の幸福を願う彼女は宮崎と神林のことも応援してしまうという、
なかなか複雑で切ない事情を抱えているのでした・・・。

 

さて、本作の原作者・中田永一さんというのは、乙一さんの別名なんですね!!
私はミステリ好きなので乙一さんならばわかるのですが、
別名で恋愛小説を書いていたなんて、この度まで知りませんでした。
お恥ずかしい。

でもなるほど、始め単にアイドル作品と思ってみていたのですが、
微妙に複雑でこじれた百瀬の感情が、単なるアイドル作品を越えていると思いました。
そこで原作が乙一さんと来ればなるほど~と、納得です。

宮崎は結局のところ本当は百瀬の方を好きのように思えます。
けれど、まだ高校生でありながら、彼は打算の方を優先するのです。

でも、対する神林も、学校のマドンナ的存在というだけあって美人で頭もよく、
思いやりがあって家も資産家。
否定すべき理由など一つもない。
打算なのか、選べないのか、これもまた微妙なところです。

しかし、本作の15年ぶりに帰郷しノボルが神林と再会するというところの意味が、
最後にわかるというのが心憎い。

ひたすら心優しく無垢であったような神林が実は・・・というところもまた
本作のキモでありましょう。
げに、人の心というのは計り知れず、少し恐い。

ノボルの高校の友人くんはイイ奴だったなあ・・・。

 

 

「百瀬、こっちを向いて。」

2014年/日本/109分

監督:耶雲哉治

原作:中田永一

出演:早見あかり、竹内太郞、石橋杏奈、工藤阿須加、ひろみ、向井理

恋愛と本心の微妙度★★★★★

満足度★★★★☆



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