映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

前科者

2022年06月20日 | 映画(さ行)

罪と人

* * * * * * * * * * * *

罪を犯した前科者の更生・社会復帰を手助けする保護司。
本作は、同名漫画の映画化ですが、先にWOWOWでドラマが放映されていて、
私はそちらも見ていました。
テレビドラマでは主人公・阿川佳代(有村架純)が初めて保護司の仕事に就く所から始まっていて、
本作は、そのドラマの続きになっています。

保護司3年目の佳代。

保護司というのは、国家公務員でありながら、報酬はなくボランティア。
そのため佳代はコンビニ店員で生計を立てていまが、
それでも保護司の仕事にやりがいを感じています。

最近彼女が担当する一人、工藤誠(森田剛)は、順調な更生生活を送っています。
ところが、もう少しで社会人として自立の日を迎えるというところで、
忽然と姿を消し、再び警察から追われる身となってしまうのです。
自分は工藤のためになんの力にもなれなかったのかと、落ち込む佳代ですが・・・。

テレビドラマ版で、佳代が初めて担当するのが、斎藤みどり(石橋静河)。
そのときは、互いを理解するまでにかなり手こずったのですが、
その後みどりはなんとか更生して、ときおり佳代の家に遊びに来たりするようになっています。

そんなテレビ版でも語られなかったのが、
なぜ佳代が保護司の道を選んだのかということ。

本作で、いよいよその核心に触れていくことになります。

ということで、この物語は始めからテレビドラマ+映画ということで企画されたのですね。
通常ドラマの映画化というのは、そこそこドラマで人気があったので、
映画も作ってみようか、という感じなのだと思います。
でもこういう風に始めから2本立てで考えて作っているというのはいいですね。
より物語が深まる感じがします。

 

本作で初めて登場するのが、刑事・滝本(磯村勇斗)。
滝本はかつて佳代と同級生で、そのころ佳代との間で何かが起こり、
佳代が保護司となったことにも関係しているらしい・・・と、興味は深まります。

そもそもこの二人、有村架純さんと磯村勇斗さんは
かつての朝ドラ「ひよっこ」で、いい仲でしたよね。
心憎いキャスティング。
そして実際、佳代と滝本は高校生の頃にほのかに思いを寄せていたのですが、
とある事件でその恋は消滅していたのです。
そして、もしその後再会したとしても、そう簡単によりを戻せない複雑な事情が・・・。

受刑者は罪を償ってまた社会に戻ってくるわけですが、
そうは言っても社会は簡単には前科者を受け入れない。
私自身も、それを知ってしまったら、元受刑者をスンナリと受け入れる自信がありません。
そんな中を橋渡ししようとする保護司の仕事は重要だと思うのですが、
そうした気苦労に対して無償というのはしんどいな、という気もします。

いろいろな問題が浮かび上がる、貴重な作品。

工藤役の森田剛さんはもちろんのこと、
工藤の弟役、若葉竜也さんもまたいいんだ!!

 

<Amazon prime videoにて>

「前科者」

2022年/日本/133分

監督・脚本:岸善幸

原作:香川まさひと、月島冬二

出演:有村架純、磯村勇斗、若葉竜也、森田剛、リリー・フランキー、石橋静河、木村多江

 

社会問題をえぐる度★★★★★

満足度★★★★☆

 



最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
映画 (こに)
2022-06-21 07:51:12
Amazon Prime Videoのウォッチリストに入れてあります。
まず、ドラマを先に観た方が良さげですね♪
返信する
Unknown (たんぽぽ)
2022-06-21 10:08:19
こにさま
はい、ドラマを先に見ることをオススメします。
そのほうが多分入りやすいです。
お楽しみください。
返信する

コメントを投稿