映画と本の『たんぽぽ館』

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蛇にピアス

2023年04月16日 | 映画(は行)

痛い!!!

* * * * * * * * * * * *

金原ひとみさんの芥川賞受賞作が原作。
さすが芥川賞、ちょっと一筋縄ではいきません。
作品がイタいワケではありません。

特になんの目標もなく、コンパニオンのバイトで暮らしていたルイ(吉高由里子)19歳。
ある時、蛇のように舌先が割れた“スプリット・タン”を持ち、
全身にピアス、タトゥーをした男・アマ(高良健吾)と知り合い、付き合い始めます。

そして彼から紹介を受けて、彫り師・シバ(ARATA、現・井浦新)の元に通い始め、
彼女もスプリット・タンとタトゥーに挑み始めます。
そんな中で、ルイはシバとも関係を持つように。

自らの舌に穴を開け、背中にタトゥーを入れ、それでも満たされないルイですが・・・。
そんな時に突然、アマが失踪してしまいます・・・。

 

とにかく“痛い”のです。

タトゥーについては、これまでもいろいろなところで出てくるので知ってはいましたが、
舌に穴を開けピアスをするというのには思わず目を背けたくなり、
しかもその穴を長い期間をかけて押し広げていき、
やがて二つに割るなどというのは、とても私には受け入れられない気がする。
誰に強要されたわけでもないのに、ルイがそれをしようとしたのは、
その「痛み」を感じることで、自分が生きていると感じられるから。

そしてまた、シバはサド男で、ルイとコトに及ぶときも
彼女を責め立て、首を絞めたりもします。
そもそも自ら舌に穴を開けようとするようなルイなので、元々被虐的なのでしょうか。
このときに責められることもまた、ルイにとっては
自らの生を実感できる時間なのかも知れません。
でもルイは、過激な見た目とは裏腹にノーマルなセックスをする
アマもまた嫌いではないのです。

さて、恐ろしいほどにパンクな外見のアマは、
しかし意外と感覚は普通並みで優しいのです。
ところが、何かのきっかけで怒り出すと、一気に暴力性が爆発。
それはもう、自分でもコントロールできなくなってしまうのです。
ルイに乱暴したりしないアマですが、もしシバとのことがバレたらどうなってしまうのかと、
ちょっとハラハラしてしまうのですが、
結局そういう事故は起こらなかったわけですね。

でも、本当はもっと恐ろしいことが起こっていた・・・?

生と愛欲は同じものなのか。
たとえそれが“苦痛”であっても、生きていることの証が必要なのか。

私の中では答えは出ず、ぐるぐると渦巻く感じです。

ところで、吉高由里子さん、
恐いくらいのピアスとタトゥーにまみれた井浦新さんと高良健吾さん、
こんな役をやったらもう恐い物なしなのでは?
その証として、お三方は今、演技派としてさらに活躍中。

 

ふう、マジでスゴイ作品でした。

 

「蛇にピアス」

2008年/日本/123分

監督:蜷川幸雄

原作:金原ひとみ

出演:吉高由里子、高良健吾、ARATA(井浦新)、あびる優、ソニン、小栗旬、唐沢寿明、藤竜也

 

過激度★★★★★

SM度★★★★☆

満足度★★★.5



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