映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

寝ても覚めても

2018年09月20日 | 映画(な行)

納得行かない

* * * * * * * * * *

大阪に住む21歳朝子(唐田えりか)は、
麦(ばく)(東出昌大)と出会い、運命的な恋に落ちます。
ところがある日ふいに、麦は姿を消してしまいます。
2年後、東京に引っ越した朝子は麦とそっくりな顔の亮平(東出昌大)と出会います。
麦を思い出してしまうので亮平を避けていた朝子ですが、
いつしか亮平の熱意にうたれ、惹かれていくようになっていきます。

それからまた5年後、同棲している朝子と亮平は良い関係を続けていて、
そろそろ結婚を考えていました。
そこへ、麦がふいに姿を現す・・・。

まあ、お約束のようなストーリー展開ではあります。
そこで朝子はどうするのか、というのが問題なわけですよね。
ところが、私は全然納得がいきませんでした。
というか、あえてなのでしょうか、
朝子の決断のきっかけとか理由が作中で語られていないのです。
初めの決断と、その後の決断のことが。
だから単なる衝動で彼女が動いたのだとしか私には思えなかった。
そして、とんでもない愚かな女だとしか・・・。
本作を良作と思えるか否かは、この彼女の行動の意味を
私のように直截的にわかりやすく求めるのか、
それとも語られずとも自分で想像する余地のある方を好むのか、
その違いで決まると思います。
でも映画作品なのだから、直接的に答えを言わずとも、
そのヒントを、表情とか関節表現的なセリフとかで、匂わせるのが筋なのではあるまいか。
単に私がにぶいだけなのかもしれませんけれど、私には読み取ることができませんでした。

それから、東北の震災被害地にボランティアとして通う二人は良かったのですが、
それはどちらの発案で、どちらが主導的に動いていることなのか、
そのあたりもきちんと説明がほしかった・・・。
ここがきちんと描かれていれば、少なくとも東北で我に返る朝子の心情は
もう少しくっきりと浮かび上がったのではないかt思う次第。

結局私は、亮平の思いと5年の生活をないがしろにした彼女を許せないというだけなのかもしれません。
戻ればいいというものではない!!
だって私は、誠実で一途な亮平くんのファンになってしまったもので・・・。
それに比べて麦なんて、単なるアホですよ。
全く信用できない。
一生さすらってろ!

全然関係ないのですが、初めの方で朝子と麦がバイクで事故るシーンがありました。
奇跡的に二人は無傷だったという・・・。

私はあそこが問題で、実はあのときに二人は死んだか、昏睡状態に陥ったかして、
その後のストーリーは朝子の「脳内」のストーリーなのではないかと、ずっと疑っていたのです。
そうでないとあそこまで瓜二つの人物っていうのが嘘っぽすぎるし・・。
しかし、全然バイクの事故のエピソードは関係なかった・・・。
う~ん、ストーリーとしてはそのほうが面白くないですかね・・・?



<ディノスシネマズにて>
「寝ても覚めても」
2018年/日本・フランス/119分
監督:柴崎友香
出演:東出昌大、唐田えりか、瀬戸康史、山下リオ、伊藤沙莉
裏切り度★★★★★
満足度★★☆☆☆