映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

IT “それ”が見えたら、終わり。

2018年09月04日 | 映画(あ行)

有るか無きかの気配、それが一番怖い

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ある田舎町。
児童失踪事件が相次いで起こります。
ビル(ジェイデン・リーベラー)の弟は、
ある雨の日に外出し、多量の血痕を残して失踪。
弟を一人で外出させてしまったことを悔やむビルは、弟を探し続けます。
そんな彼は、家の地下室で“それ”を目撃し、恐怖にとりつかれるのでした・・・。
また不良少年たちからいじめの標的とされる他の子どもたちもまた、
それぞれに“それ”を目撃します。
“それ”の秘密を共有する子どもたちは、勇気を振り絞り“それ”と対決する覚悟を決めますが・・・。



昨年大人気を博したホラー作品。
私が一番ゾッとしたのは冒頭、ビルの弟が覗き込んだ下水溝からのぞいているピエルの顔。
そんなところに人がいられるはずがない、そこに浮かぶ顔、
というのはなんとも恐ろしい・・・。
有るか無きか、定かにはわからないのだけれど気配だけが濃厚にある
・・・というのが一番怖いような気がします。
だから“それ”がピエロの姿を頻繁に現すようになってからは、
確かに不気味ではあるけれど「怖い」という感覚はあまりないですね・・・。

さて、他の行方不明者が大勢いるというのに、
この子どもたち7人は皆なんとか頑張り抜くのですよ・・・。
特に勇気があるとか力が強いわけではない。
むしろ弱々しいからこそいじめの標的になり、「負け組」だなんて言われている。
そんな子どもたちなのですが、それぞれみな大きな心のひずみを背負っているわけです。
ビルは弟を行方不明にしてしまったことに。
あるいは他の子供たちでは母親の過干渉であったり、父親の性的虐待であったり・・・。
心の奥底での葛藤が、知らず“それ”のような邪悪なものを打ち負かす力になっていたのでは・・・
などと私は邪推するわけです。



ともあれ子どもたちが「スタンド・バイ・ミー」を思わせるような、
勇気と友情をもって冒険を繰り広げる様子が、とてもいい感じで、
単なるホラー作品を凌駕していると思いました。



“それ”は27年周期でこの町に現れ、町の人々、特に子供を狙うというのです。
それで本作は「第一章」ということになっていて、
子どもたちは最後に「いつかまたなにか起こったら、必ず戻ってきて一緒に戦う」と誓い合います。
ということで、皆が大人になった第二章がそのうちできるはず・・・。
“それ”の起源について、今回は語られていないので、
多分それについても明かされることでしょう。
子どもたちがどんな職業についているのか、ちょっとそれが楽しみですね。

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ビル・スカルスガルド,ジェイデン・リーバハー,ソフィア・リリス,ジェレミー・レイ・テイラー,フィン・ウォルフハード
ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント



<WOWOW視聴にて>
「IT “それ”が見えたら、終わり。」
2017年/アメリカ/135分
監督:アンディ・ムスキエティ
出演:ジェイデン・リーベラー、ビル・スカルスガルド、フィン・ウルフハード、ジャック・ディラン・グレイザー、ソフィア・リリス
不気味度★★★★☆
満足度★★★.5