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映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

ハイドリヒを撃て! 「ナチの野獣」暗殺作戦

2017年09月11日 | 映画(は行)
フィクションではあり得ない結末



* * * * * * * * * *

ヒトラー、ヒムラーに次ぐナチスのナンバー3の男、
ラインハルト・ハイドリヒの暗殺作戦を史実に基づいて描きます。



1941年。
ナチス支配下のチェコスロバキア。
イギリス政府とチェコスロバキアの亡命政府の命により、
ヨセフ、ヤンら7人の暗殺部隊がパラシュートでチェコ領内に降り立ちます。
彼らはプラハで、反ナチスの地下組織やその家族の協力を得つつ、
ラインハルト・ハイドリヒ暗殺のミッションを進めます。
ドキドキのその実行当日、ミッションはかろうじて成功しますが、
しかしその後、常軌を逸したナチスの報復が始まるのです・・・。



ナチスが武力で街を統治する、そのやり方はおぞましいものです。
密告者には多分の報酬を与えるようにして、
多くの反ナチス分子を狩り出し処刑してきました。
そのためこの街の反ナチス組織にはもうあまり人が残っていません。
一体誰を信じればよいのか・・・、疑心暗域に駆られます。
万が一仲間の一人がナチスに捕まれば、残忍な拷問の末に死があるのみ。
そのため彼らは、万が一のときのために自決用の青酸カリを常に持ち歩いているのです。



最後に彼らの隠れ家である教会での銃撃シーンはすごい迫力で怖かった。
仲間はたったの7人。
しかし押し寄せるドイツ兵は無数。
逃げる場はなし。
絶体絶命。



これが「ドラマ」であれば、
例えば最後の瞬間に連合軍が現れて彼らを救出するとか、
下水路への脱出口が間一髪で通じて脱出するとか・・・
そんな展開になると思うのですが、しかし残念ながらこれは史実。
この時点ではドイツ軍は破竹の勢いです。
どこにも彼らを救出する軍隊はいません。
また、この作戦に協力した人たちは、密告により捕らえられる前に自決したり、
拷問の末殺されたり、悲惨な最後を遂げます。
ナチスはそれでも飽き足らず、全く無関係なチェコの一般市民を何千人も処刑したという・・・、
あまりにも理不尽で壮絶な物語に言葉を失ってしまいます。



かなりショッキングな結末。
呆然として映画館をあとにしました。
本来はドイツ兵であっても一人ひとりは家族を愛する普通の人のはず。
それが戦争下ではあんなにも残忍になれてしまうというのが恐ろしい・・・。



<ディノスシネマズにて>
「ハイドリヒを撃て! 「ナチの野獣」暗殺作戦
2016年/チェコ・イギリス・フランス/120分
監督:ショーン・エリス
出演:キリアン・マーフィー、ジェイミー・ドーナン、アンナ・ガイスレロバー、シャルロット・ルボン、トビー・ジョーンズ

歴史発掘度★★★★★
壮絶度★★★★☆
満足度★★☆☆☆
(映画の出来は素晴らしいです。
でも、あまりにもショッキングなので「満足」とはいい難い・・・?)