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映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

ギリー・ホプキンズの不機嫌な日常

2017年09月02日 | 映画(か行)
トゲで武装する少女



* * * * * * * * * *

ギリー(ソフィー・ネリッセ)は12歳の少女。
身寄りがなく、あちこちの里親の元を点々としています。
というのも、行く先々で問題をおこし追い出されてしまうのです。
確かに、態度が悪く反抗的。
「ここが最後。ここでダメなら施設へ入らなければならない。」
と福祉担当の人に言われ、
たどり着いたのがトロッター婦人(キャシー・ベイツ)の家。
さて、ギリーはここを安住の地とできるのでしょうか?


ギリーは自分が傷つかないように自分を棘で覆っているのです。
まるでサボテンのように。
親しくしようと近づいてくるものにも、まず棘のある言葉を送らずにはいられない。
こんなところがまだ12歳といいますか、
偽装でも愛想よくしようとすらしないというところがいっそ潔いくらいですが。



この物語で驚くべきところは、
ギリーの成長度というよりもむしろ周囲の人々の忍耐というか懐深い愛・・・!! 
トロッター婦人はもちろんですが、
担任の教師・ハリス先生(オクタヴィア・スペンサー)、
隣家の老人、
何度意地悪を言われても擦り寄ってくる友人アグネス、
同じ里子の弟ウィリアム・・・
これだけの環境でひねくれずにいるほうが無理!!
しかし、彼女がこんな人々の間に馴染んでいく前に、
彼女はある手紙を母親に出していたのです。
ギリーの夢は母親と会うこと。
母親と会いさえすればすべてがうまくいくと、彼女は思っていました。
ある時福祉ファイルで母親の住所を知ってしまったギリーは、
「今の里親の家で虐待されている」と、ウソの手紙を書いてしまったのです。
やがて、ようやく落ち着き充実した毎日を送り始めたギリーのもとを
訪ねてきたのは母親ではなく・・・。



自分の行動の結果は自分で引き受けなければならない。
そうしたことも、大人になるためにはわかるべきことの一つでした。
それにしても皮肉です。
ギリーがあんなにも会いたいと夢見た母親よりも、
周囲の他人のほうがよほど彼女のことを思ってくれている。
まあそもそも、まともな母親なら、自分の娘を手放し、
放ったらかしにしたりはしないということを、
彼女は薄々気づきながらも考えないようにしていたのかもしれませんね。
原作は児童文学「THE GREAT HOPKINS」。
心温まる作品です。


「ギリー・ホプキンズの不機嫌な日常」
WOWOW視聴にて
2016年/アメリカ/98分
監督:スティーヴン・ヘレク
原作:キャサリン・パターソン
出演:ソフィー・ネリッセ、キャシー・ベイツ、ジュリア・スタイルズ、ビル・コップス
オクタヴィア・スペンサー
少女の成長度★★★★☆
満足度★★★.5