3シーンで、人生を浮かび上がらせる

* * * * * * * * * *
2011年に56歳で亡くなったスティーブ・ジョブズ。
もう5年も前になりますか・・・。
もはや伝説の人物ですねえ・・・。
本作は氏の半生を描くのではなく、
彼の節目となる3つの大きな新作発表会寸前の状況を描いています。

1984年 Macintosh発表会。
1988年 NeXT Cube 発表会。
1998年 iMac 発表会。
どれも直前40分の舞台裏を描いているのですが、
準備に追われ緊迫した雰囲気の中、
同じ人達がその都度スティーブのもとを訪ねてくるのです。
時代が進み、人物関係が微妙に変化していくさまを見るのはなかなか興味があります。
特に、1988年は、スティーブ・ジョブズがアップル社から放逐されていた時。
彼の信念は分かる。
けれども、あまりにも自分のやり方にこだわるあまり
多くの人と軋轢を生じていくのも彼ならでは・・・といいますか、
でも普通に「いい人」なら絶対に「伝説の人」には、なり得なかったでしょうね。
このように、たったの3つのシーンを切り取るだけで
その人の「人生」をくっきり浮かび上がらせる。
ナイスな構成なのでした。
ある人はいいます。
「君はプログラムも組めないし、自分でデザインするわけでもないのに・・・。」
なのになんでそんなに威張っているんだ・・・という訳ですね。
けれどスティーブは言う。
「俺は指揮者なんだ。」
自分で楽器を演奏しないけれども、
全体を見通し、組み立てて、自分の音楽を作る。
まさにそういう役割を務めている。

では、彼は何を目指していたのか。
それは一番初めの時に、娘・リサが実際に示していました。
これまでコンピュータなど触ったこともない子どもが、
誰にも教わらずに、Macintoshで「お絵かき」ができてしまったのです。

コンピュータ言語なんかわからなくてもいい。
誰もが簡単に気軽に向き合って、そして楽しめるもの。
オフィスだけではなく、個人の情報を自在にやり取りする、
人々の生活を根底から変えるようなマシン・・・。
いま、まさにそのような世界になっているわけですね。
30年足らずで。

常に緊迫した雰囲気の中で、怒涛のようなセリフの応酬。
とにかく圧倒され、そしてたかが30年前からの出来事ではありますが、
ノスタルジーをも感じる。
何しろ私自身、初めて買ったパソコンはiMacなのです。
懐かし~!!
いや、多分物置の奥の方にまだあるはずなのですが・・・。
なんにしても抜群に映画力のある作品であります。

本作はまた、その時代にあわせて1984年のシーンが16ミリフィルム、
1988年が35ミリフィルム、
1998年がデジタルカメラで撮られているそうです。
う~ん、そんなこととはちっとも気付かなかった・・・。
これから見る方は、ぜひ注意してみてくださいね。
ラスト、黒いタートルネックにジーンズのジョブズ氏がやはり馴染み深いです。
マイケル・ファスベンダーははじめの方、特に似ているとは思わなかったのですが、
このスタイル、特にメガネのせいかもしれませんが、よく似ています。
今後アップルの新作発表のプレゼンは、彼に頼んではどうでしょう・・・?
「スティーブ・ジョブズ」
2015年/アメリカ/122分
監督:ダニー・ボイル
出演:マイケル・ファスベンダー、ケイト・ウィンスレット、セス・ローゲン、ジェフ・ダニエルズ、マイケル・スタールバーグ
緊迫感★★★★☆
満足度★★★★★

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2011年に56歳で亡くなったスティーブ・ジョブズ。
もう5年も前になりますか・・・。
もはや伝説の人物ですねえ・・・。
本作は氏の半生を描くのではなく、
彼の節目となる3つの大きな新作発表会寸前の状況を描いています。

1984年 Macintosh発表会。
1988年 NeXT Cube 発表会。
1998年 iMac 発表会。
どれも直前40分の舞台裏を描いているのですが、
準備に追われ緊迫した雰囲気の中、
同じ人達がその都度スティーブのもとを訪ねてくるのです。
時代が進み、人物関係が微妙に変化していくさまを見るのはなかなか興味があります。
特に、1988年は、スティーブ・ジョブズがアップル社から放逐されていた時。
彼の信念は分かる。
けれども、あまりにも自分のやり方にこだわるあまり
多くの人と軋轢を生じていくのも彼ならでは・・・といいますか、
でも普通に「いい人」なら絶対に「伝説の人」には、なり得なかったでしょうね。
このように、たったの3つのシーンを切り取るだけで
その人の「人生」をくっきり浮かび上がらせる。
ナイスな構成なのでした。
ある人はいいます。
「君はプログラムも組めないし、自分でデザインするわけでもないのに・・・。」
なのになんでそんなに威張っているんだ・・・という訳ですね。
けれどスティーブは言う。
「俺は指揮者なんだ。」
自分で楽器を演奏しないけれども、
全体を見通し、組み立てて、自分の音楽を作る。
まさにそういう役割を務めている。

では、彼は何を目指していたのか。
それは一番初めの時に、娘・リサが実際に示していました。
これまでコンピュータなど触ったこともない子どもが、
誰にも教わらずに、Macintoshで「お絵かき」ができてしまったのです。

コンピュータ言語なんかわからなくてもいい。
誰もが簡単に気軽に向き合って、そして楽しめるもの。
オフィスだけではなく、個人の情報を自在にやり取りする、
人々の生活を根底から変えるようなマシン・・・。
いま、まさにそのような世界になっているわけですね。
30年足らずで。

常に緊迫した雰囲気の中で、怒涛のようなセリフの応酬。
とにかく圧倒され、そしてたかが30年前からの出来事ではありますが、
ノスタルジーをも感じる。
何しろ私自身、初めて買ったパソコンはiMacなのです。
懐かし~!!
いや、多分物置の奥の方にまだあるはずなのですが・・・。
なんにしても抜群に映画力のある作品であります。

本作はまた、その時代にあわせて1984年のシーンが16ミリフィルム、
1988年が35ミリフィルム、
1998年がデジタルカメラで撮られているそうです。
う~ん、そんなこととはちっとも気付かなかった・・・。
これから見る方は、ぜひ注意してみてくださいね。
ラスト、黒いタートルネックにジーンズのジョブズ氏がやはり馴染み深いです。
マイケル・ファスベンダーははじめの方、特に似ているとは思わなかったのですが、
このスタイル、特にメガネのせいかもしれませんが、よく似ています。
今後アップルの新作発表のプレゼンは、彼に頼んではどうでしょう・・・?
「スティーブ・ジョブズ」
2015年/アメリカ/122分
監督:ダニー・ボイル
出演:マイケル・ファスベンダー、ケイト・ウィンスレット、セス・ローゲン、ジェフ・ダニエルズ、マイケル・スタールバーグ
緊迫感★★★★☆
満足度★★★★★