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映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

「さよならの手口」 若竹七海

2016年02月15日 | 本(ミステリ)
和製ウォーショースキー

さよならの手口 (文春文庫)
若竹七海
文藝春秋


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探偵を休業し、ミステリ専門店でバイト中の葉村晶は、
古本引取りの際に白骨死体を発見して負傷。
入院した病院で同室の元女優の芦原吹雪から、
二十年前に家出した娘の安否についての調査を依頼される。
かつて娘の行方を捜した探偵は失踪していた―。
有能だが不運な女探偵・葉村晶が文庫書下ろしで帰ってきた!


* * * * * * * * * *

若竹七海さんの女探偵・葉村晶シリーズ。
若竹七海さんは好きな作家なのですが、近年ご無沙汰していたようです。
この葉村晶は、13年ぶりの登場だそうで・・・。
でも大丈夫。
本作が初めてでも全く問題ありません。
前作を読んでいない私が言うのだから、間違いありません!
つまり、本作、この度の「このミス」で
ベスト10入りをしていたので、興味を持ちました。


つかみが、素晴らしくしゃれています。
ミステリ専門店でバイトをしている葉村晶が、古本の引き取りで
ある古い家を尋ねるのですが、倒壊寸前のボロ屋。
押し入れの底が抜けて転落したところに、なんと白骨死体が!! 
でもこんなエピソードはほんのオープニングの一コマでしかありません。
しかし、彼女がその後に受ける数々の苦難の発端ではありました・・・。


そこでたっぷりとカビを吸い込んで激しいアレルギー反応を引き起こした彼女が入院したその病院で、
同室の往年の女優・芦原吹雪から、
20年前に失踪した娘の行方を探してほしいと、依頼を受けるのです。
その20年前にも、探偵による捜査が行われたのですが、
葉村が調べていくうちに、その探偵もまた捜査中に行方不明になっていることがわかります。
深まる謎・・・。


この捜査を中心に、何やら怪しげな女性・倉嶋舞美との経緯もまた気にかかる。
全く、一冊で何度もオイシイ、中身の濃い上質のミステリ。
威勢のいい葉村晶さんも、大好きになりました。
これはやはり、シリーズの最初から読まなければ・・・。
それにしても彼女は本作で、最初に紹介した災難だけでなく、
その後も2度も入院が必要なひどい目に逢います。
しかし、めげない。
タフです。
和製ウォーショースキー。
せっかくだから、今後もまたシリーズ、続いて欲しいです!!

「さよならの手口」若竹七海 文春文庫
満足度★★★★☆