歌と踊りがない!!

* * * * * * * * * *
インド作品ですが、ストーリー紹介の前に、予備知識。
ダッバーワーラーについて。
インドの弁当配達人のことですが、
インドではこれが一つの産業となっています。
家で作ったでき立てのお弁当を夫の勤務先まで届け、
その後空容器をまた自宅まで戻す。
5000人のダッバーワーラーが1日20万個の弁当容器を往復配送し、
その誤配送の確率は600万分の1という優れたシステム。
先日TVでその仕組を解説していたのを見ましたが、
袋にわかりやすい宛先識別表示をしているそうです。
でも、その記号が間違っていたら・・・?

ということで、本題。
ムンバイに住む主婦イラ(ニムラト・カウル)は、
夫の愛情を取り戻すために腕をふるってお弁当を作り、
ダッバーワーラーに預けます。
ところがそのお弁当が誤って、
まもなく退職を迎えようとする男やもめサージャン(イルファン・カーン)の元に届いてしまった。
どうやら誤った先に届いたらしいと気づいたイラは
お弁当の中に手紙を潜ませます。
そしてサージャンからも返事が。
こうして手紙のやり取りが続き、二人の気持ちが接近していきますが・・・。
サージャンは妻をなくして一人暮らし。
あまり人付き合いは得意でないらしい。
では本来の彼のお弁当は誰が作っていたのかというと、
それは近所の食堂に依頼していた。
そうそう、こういう配達サービスがあれば
必ずお弁当自体を作る商売もあるはず、と思ったんですよね~。
主婦の手料理の味に飢えていたサージャンには
ことのほかイラのお弁当が美味しく感じられるわけです。
豪華4段重ねのお弁当。
スパイスが効いていて、おいしそ~!

イラは最近夫とうまくいかないことを打ち明け、
サージャンはそんなイラに慰めの言葉を書き記します。
また、イラはサージャンの孤独を感じ取り、思いやる。
そんなやりとりのうちに
サージャンも、周囲の人にも優しくなってくるのです。
人と人、心を通わすことの大切さを実感していく。
今どきSNSではなく手紙、というのがぬくもりを感じさせていいですよね。
しかしサージャンがイラとの関係にあと一歩踏み出せないのは、
自分の老いを自覚するからなのです。
もう若くはない自分。
若さに対して引け目のようなものを感じてしまうというのはわかるなあ・・・。
私自身そういう年齢になってきたので・・・。
インド映画といえば歌と踊りがあって、とにかくハッピー・エンド、
そうしたものだと思っていましたが、
本作はかなり抑えめです。
…でも素敵なラストなので、ご安心を。

作中イラとサージャンがブータンに憧れるところがあります。
国民の幸福感がナンバーワンだという幸せの国。
私はインドも日本から比べたらかなり幸福度は高いのでは?と思っていたので、
ちょっと意外でした。
どこに住んでいても、自分の足元の幸福は見えないのかもしれません。
隣の芝生は青く見える。
もっともムンバイは人口も超過密の近代都市。
人はみな多忙で道路も渋滞。
・・・となれば日本に住む私達と何ら変わらないわけですね。
イラの上階に住む“おばちゃん”は、最後まで顔をみせなかったのが残念!!
ものすごい人生の達人と見ましたが。
歌と踊りがない・・・
と言いつつやっぱり音楽はあるんですよ。
電車の中で子どもたちが歌っていた。
踊りはなかったな・・・
上階の“おばちゃん”なら、
音楽を聞きながら踊っていそう。
2013年/インド・フランス・ドイツ/105分
監督・脚本:リテーシュ・バトラ
出演:イルファン・カーン、ニムラト・カウル、ナワーズッディーン・シッディーキー
食べてみたい度★★★★★
満足度★★★★☆

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インド作品ですが、ストーリー紹介の前に、予備知識。
ダッバーワーラーについて。
インドの弁当配達人のことですが、
インドではこれが一つの産業となっています。
家で作ったでき立てのお弁当を夫の勤務先まで届け、
その後空容器をまた自宅まで戻す。
5000人のダッバーワーラーが1日20万個の弁当容器を往復配送し、
その誤配送の確率は600万分の1という優れたシステム。
先日TVでその仕組を解説していたのを見ましたが、
袋にわかりやすい宛先識別表示をしているそうです。
でも、その記号が間違っていたら・・・?

ということで、本題。
ムンバイに住む主婦イラ(ニムラト・カウル)は、
夫の愛情を取り戻すために腕をふるってお弁当を作り、
ダッバーワーラーに預けます。
ところがそのお弁当が誤って、
まもなく退職を迎えようとする男やもめサージャン(イルファン・カーン)の元に届いてしまった。
どうやら誤った先に届いたらしいと気づいたイラは
お弁当の中に手紙を潜ませます。
そしてサージャンからも返事が。
こうして手紙のやり取りが続き、二人の気持ちが接近していきますが・・・。
サージャンは妻をなくして一人暮らし。
あまり人付き合いは得意でないらしい。
では本来の彼のお弁当は誰が作っていたのかというと、
それは近所の食堂に依頼していた。
そうそう、こういう配達サービスがあれば
必ずお弁当自体を作る商売もあるはず、と思ったんですよね~。
主婦の手料理の味に飢えていたサージャンには
ことのほかイラのお弁当が美味しく感じられるわけです。
豪華4段重ねのお弁当。
スパイスが効いていて、おいしそ~!

イラは最近夫とうまくいかないことを打ち明け、
サージャンはそんなイラに慰めの言葉を書き記します。
また、イラはサージャンの孤独を感じ取り、思いやる。
そんなやりとりのうちに
サージャンも、周囲の人にも優しくなってくるのです。
人と人、心を通わすことの大切さを実感していく。
今どきSNSではなく手紙、というのがぬくもりを感じさせていいですよね。
しかしサージャンがイラとの関係にあと一歩踏み出せないのは、
自分の老いを自覚するからなのです。
もう若くはない自分。
若さに対して引け目のようなものを感じてしまうというのはわかるなあ・・・。
私自身そういう年齢になってきたので・・・。
インド映画といえば歌と踊りがあって、とにかくハッピー・エンド、
そうしたものだと思っていましたが、
本作はかなり抑えめです。
…でも素敵なラストなので、ご安心を。

作中イラとサージャンがブータンに憧れるところがあります。
国民の幸福感がナンバーワンだという幸せの国。
私はインドも日本から比べたらかなり幸福度は高いのでは?と思っていたので、
ちょっと意外でした。
どこに住んでいても、自分の足元の幸福は見えないのかもしれません。
隣の芝生は青く見える。
もっともムンバイは人口も超過密の近代都市。
人はみな多忙で道路も渋滞。
・・・となれば日本に住む私達と何ら変わらないわけですね。
イラの上階に住む“おばちゃん”は、最後まで顔をみせなかったのが残念!!
ものすごい人生の達人と見ましたが。
歌と踊りがない・・・
と言いつつやっぱり音楽はあるんですよ。
電車の中で子どもたちが歌っていた。
踊りはなかったな・・・
上階の“おばちゃん”なら、
音楽を聞きながら踊っていそう。
2013年/インド・フランス・ドイツ/105分
監督・脚本:リテーシュ・バトラ
出演:イルファン・カーン、ニムラト・カウル、ナワーズッディーン・シッディーキー
食べてみたい度★★★★★
満足度★★★★☆