映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

アナと雪の女王

2014年08月16日 | 映画(あ行)
ありのままで



* * * * * * * * * *

何を今更・・・と言われそうです。
皆様、今さらアナ雪のレビューなど読む気になりませんよね。
見たいとは思っていたのですが、
案外早くに字幕版の上映がなくなってしまい、
吹き替え版でもいいか・・と思い始めたらもうDVDが出てしまった
・・・ということで、結局ブルーレイ版視聴です。


もちろん!! 楽しみましたよ~。



ものを凍りつかせてしまう秘密の力を持つエルサは、
その力で妹アナを傷つけてしまうことを恐れ、
城の一室に閉じこもって暮らします。
やがてエルサが女王の座に付くことになり、
戴冠式の日、久々にエルサは人々の前に姿を表します。
しかし、ふとしたことで氷の力が暴走。
王国は氷付き、エルサは単身山へ向かいます。
山奥で自らの力を開放し、
ありのままの自分でいられることに喜びを見出すエルサでしたが・・・。



冒頭仲の良い姉妹が引き裂かれてしまったり、
両親が亡くなってしまったり・・・
まず、そんな導入部から泣かされてしまいます。
ドア越しにアナがエルサに話しかけても返事はない。
ドアのむこうではエルサもまた涙に暮れているのです・・・。



大人気の“Let It Go”の歌は、
もっと心弾むシーンで歌われるのだと思っていました。
確かにエルサが自分を解き放つ曲なのですが、
本作の場合、それは同時に孤立をも意味します。
自分らしくあろう、ありのままで・・・、
だけれどありのままであることの代償があまりにも大きい。
そういう覚悟をも秘めた壮絶な曲でもあるのです。
そう考えながらあの美しいシーンを見ると、
ものすごく胸に迫ってきます。



またこの作品は、普通のファンタジーの定石を
あえて外しているところがまた心にくいですね。
エルサとアナは「善」と「悪」の立場で対立するわけではないし、
「真実の愛のキス」という言葉は出てくるけれども、
一筋縄ではいかず、意外な方法で解決します。
王子様との出会いも皮肉な結果になるし、
三角関係なんて、普通のファンタジーには出てこない。
・・・まあ、あったその日に婚約なんて、やっぱりダメですね・・・。


人物配置からするとクリストフとアナが結ばれる?と思うのに、
いきなり王子様が登場してアナと婚約したりしてしまう。
その成り行きもまた気になります。
そして、トナカイのスヴェンや雪だるまのオラフが心を和ませてくれる。
実に、引きこまれ、時を忘れて楽しめる一作でした。



さてこの猛暑の夏、エルサがいてくれたらいいのに・・・、
そう思うのは私だけではないのでは?
ありのままでも大歓迎・・・

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イディナ・メンゼル,ジェニファー・リー,ジョン・ラセター
ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社


「アナと雪の女王」
2013/アメリカ/102分
監督:クリス・バック
出演(声):クリステン・ベル、イディナ・メンゼル、ジョナサン・グロフ、サンティノ・フォンタナ

意外性★★★★☆
音楽性★★★★☆
満足度★★★★★