悪魔に魂を売り渡した男

* * * * * * * * * *
予告編の時から、激しくも美しいパガニーニのヴァイオリンの音色に魅了され、
絶対見ようと思っていました。
1830年イタリア。
敏腕マネージャーウルバーニ(ジャレッド・ハリス)の働きで
富と名声を得た天才ヴァイオリニスト、ニコロ・パガニーニ(デイビッド・ギャレット)。
ロンドンの指揮者ワトソン(クリスチャン・マッケイ)の尽力で、
ロンドン公演を行うことになります。
ロンドンに来たパガニーニはワトソンの娘シャーロット(アンドレア・デック)の
美しく清廉な歌声にうたれ、心を通わすようになりますが・・・。

本作はもちろんパガニーニその人を描く作品ではありますが、
パガニーニの気まぐれ、わがままに振り回され、
財産をも失ったワトソン一家の物語でもあります。
音楽を愛する善良な、そしてまたある意味凡庸なワトソンの、
滑稽なほどの一生懸命さ。
こういう部分がなければ本作はもっとつまらないものになっていたでしょう。

でもラストは結構したたかな面もみせます。
とはいえ、ここのところは返ってホッとしてしまうのですね。
パガニーニに踏みつけにされるばかりでは気の毒になってしまいます。
パガニーニの人並み外れたヴァイオリンの技量は
「悪魔に魂を売って得た」などと当時噂されたそうですが、
本作、マネージャーのウルバーニ(ジャレッド・ハリス)こそが
その悪魔でもあるような描き方をしているのも興味深いところです。
初めてウルバーニがパガニーニの部屋を訪れた時、
「3回come inと言われないと入らない」などと言っていましたし、
契約を交わすシーンもやけに意味深。
いつも黒いマントを身にまとう。
もっとも実際は「悪魔に魂を売った」ことを
あえて吹聴しウリとしていたようなのですが。
パガニーニのコンサートでは彼の影が悪魔のシルエット。

ヴァイオリンコンサートをこのようにエンタテイメントのショーに仕立てたというのが、
成功の秘訣だったのかもしれません。

当時の穏やかで美しく流れるような音楽こそが「音楽」と思われた時代に、
パガニーニの曲はあまりにも革命的だったのでありましょう。
「ロック」が誕生した時に
それを熱狂的に受け入れた人と、白眼視した人がいた。
そういうことと似ています。

さて、シャーロットとパガニーニの恋。
ウルバーニは言っていました。
「初めて真実の恋をしたと思っているかもしれないが、そうではない。
これまでの堕落した自分を否定したかっただけだ」と。
女・酒・ギャンブルにまみれたパガニーニは、
彼女がそうした世界から自分をすくい上げてくれるような気がしたのかもしれません。
が、「悪魔」はそれを許さないのです。
「契約」がありますから・・・。
まさに卑劣・悪魔の技としか思えない
汚い手を繰り出すのです・・・。

さてさて、そのパガニーニを演じたのは独のヴァイオリニスト、デイヴィッド・ギャレット。
これがまたカッコイイのですわー。
彼がいたからこそ成り立った映画のように思えますが、
本作のサウンドトラックはもちろんですが、彼個人のCDもほしくなってしまいますねー。
クラシックばかりでなくロックとコラボしたものなど。
「image」シリーズファンの私としては最も好きなジャンルの一つ。
「パガニーニ 愛と狂気のヴァイオリニスト」
2013年/ドイツ/122分
監督:バーナード・ローズ
出演:デイビッド・ギャレット、ジャレッド・ハリス、アンドレア・デック、クリスチャン・マッケイ
音楽性★★★★★
ストーリー性★★★★☆
満足度★★★★☆

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予告編の時から、激しくも美しいパガニーニのヴァイオリンの音色に魅了され、
絶対見ようと思っていました。
1830年イタリア。
敏腕マネージャーウルバーニ(ジャレッド・ハリス)の働きで
富と名声を得た天才ヴァイオリニスト、ニコロ・パガニーニ(デイビッド・ギャレット)。
ロンドンの指揮者ワトソン(クリスチャン・マッケイ)の尽力で、
ロンドン公演を行うことになります。
ロンドンに来たパガニーニはワトソンの娘シャーロット(アンドレア・デック)の
美しく清廉な歌声にうたれ、心を通わすようになりますが・・・。

本作はもちろんパガニーニその人を描く作品ではありますが、
パガニーニの気まぐれ、わがままに振り回され、
財産をも失ったワトソン一家の物語でもあります。
音楽を愛する善良な、そしてまたある意味凡庸なワトソンの、
滑稽なほどの一生懸命さ。
こういう部分がなければ本作はもっとつまらないものになっていたでしょう。

でもラストは結構したたかな面もみせます。
とはいえ、ここのところは返ってホッとしてしまうのですね。
パガニーニに踏みつけにされるばかりでは気の毒になってしまいます。
パガニーニの人並み外れたヴァイオリンの技量は
「悪魔に魂を売って得た」などと当時噂されたそうですが、
本作、マネージャーのウルバーニ(ジャレッド・ハリス)こそが
その悪魔でもあるような描き方をしているのも興味深いところです。
初めてウルバーニがパガニーニの部屋を訪れた時、
「3回come inと言われないと入らない」などと言っていましたし、
契約を交わすシーンもやけに意味深。
いつも黒いマントを身にまとう。
もっとも実際は「悪魔に魂を売った」ことを
あえて吹聴しウリとしていたようなのですが。
パガニーニのコンサートでは彼の影が悪魔のシルエット。

ヴァイオリンコンサートをこのようにエンタテイメントのショーに仕立てたというのが、
成功の秘訣だったのかもしれません。

当時の穏やかで美しく流れるような音楽こそが「音楽」と思われた時代に、
パガニーニの曲はあまりにも革命的だったのでありましょう。
「ロック」が誕生した時に
それを熱狂的に受け入れた人と、白眼視した人がいた。
そういうことと似ています。

さて、シャーロットとパガニーニの恋。
ウルバーニは言っていました。
「初めて真実の恋をしたと思っているかもしれないが、そうではない。
これまでの堕落した自分を否定したかっただけだ」と。
女・酒・ギャンブルにまみれたパガニーニは、
彼女がそうした世界から自分をすくい上げてくれるような気がしたのかもしれません。
が、「悪魔」はそれを許さないのです。
「契約」がありますから・・・。
まさに卑劣・悪魔の技としか思えない
汚い手を繰り出すのです・・・。

さてさて、そのパガニーニを演じたのは独のヴァイオリニスト、デイヴィッド・ギャレット。
これがまたカッコイイのですわー。
彼がいたからこそ成り立った映画のように思えますが、
本作のサウンドトラックはもちろんですが、彼個人のCDもほしくなってしまいますねー。
クラシックばかりでなくロックとコラボしたものなど。
「image」シリーズファンの私としては最も好きなジャンルの一つ。
![]() | 愛と狂気のヴァイオリニスト(初回限定盤)(DVD付) |
デイヴィッド・ギャレット,スティーヴ・モーズ | |
ユニバーサル ミュージック |
「パガニーニ 愛と狂気のヴァイオリニスト」
2013年/ドイツ/122分
監督:バーナード・ローズ
出演:デイビッド・ギャレット、ジャレッド・ハリス、アンドレア・デック、クリスチャン・マッケイ
音楽性★★★★★
ストーリー性★★★★☆
満足度★★★★☆