goo blog サービス終了のお知らせ 

映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

武士の献立

2014年07月25日 | 映画(は行)
自分の進みたい道を変更せざるを得ないとき



* * * * * * * * * *

本作、単に武家の料理方としての成長物語と思ってみたのですが、
意外と骨太。
楽しみながらも結構見入ってしまいました。
実在した加賀の料理方をモデルにしています。



江戸時代加賀藩。
料理方の舟木家に春(上戸彩)が嫁いできます。
彼女の優れた味覚と料理の腕を見込まれたのです。
そこの跡取り息子・安信(高良健吾)はしかし、
全く料理に身が入らない様子。
というのも彼は次男。
だから家の後を継ぐ必要はなく、もっぱら武芸に励みそれなりの成果を上げてきていたのでした。
しかし急に長男が病で亡くなってしまったのです。
となると話は変わって、次男である彼が料理方を継がねばなりません。
しかも彼には想い人が居て・・・。



春の指導で安信の料理の腕は上がっていくのですが、
やはり今ひとつ心が入っていない感じ。
そんな時、歴史にも残る加賀のお家騒動が・・・。



いきなり家の後を継がなければならなくなった次男坊の事情というのが、切ないですね。
その心情は十分納得できます。
また、そのことを胸の奥にしまいながら起こす春の最後の行動には胸を突かれます。
こんなにも夫や家族の幸せを願う芯の強い女性像・・・、泣けました。
“戻り鰹”だの“古狸”だの言われてたんですけどね。
夫婦はあまりにもよそよそしくて、
これでは子ができないのも無理はない・・・と思いましたが、
それはまあ、最後で盛り上げるためでしたか。





春の作る日々の食事も美味しそうですが、
作中メインで出てくる「饗応料理」というのが素晴らしく美味しそうでした。
今どきでもとてもかなわぬグルメです。
当たり前ですが化学調味料・添加物なし。
和食が世界遺産というのもうなずけますね。
でもあの量はどう見ても食べきれない。
もったいない・・・。

武士の献立 [DVD]
上戸彩,高良健吾,西田敏行,余貴美子
松竹


「武士の献立」
2013年/日本/121分
監督:朝原雄三
出演:上戸彩、高良健吾、西田敏行、余貴美子、夏川結衣

グルメ度★★★★☆
歴史折込度★★★★★
満足度★★★★☆