狂ったピラニア?

* * * * * * * * * *
園子温監督に興味を持って本作を見ましたが、
いやあ、覚悟が足りなかった。甘かった。
「ヤなものを見てしまった・・・」、
これが正直な感想です。
小さな熱帯魚店を営む社本(吹越満)。
年頃の娘が若い後妻に反発しグレてしまい、家庭はめちゃめちゃ。
そんな時、やけに人がよく世話好きそうな村田(でんでん)と知り合うのですが、
それが実は、想像を絶する猟奇殺人への入り口だった・・・。

村田ははじめ、いかにも人好きするような、ひょうきんなおじさんっぽいのですが、
あるところで豹変。
そのドスのきき方、存在感が並大抵ではない。
先日見た映画「凶悪」でも、考えられない“凶悪”さを見せつけられましたが、
こちらはそれ以上です。
園監督は“リアル”にはこだわらず、ことさらにグロテスクにデフォルメしてみせるので、
そういうところでは滑稽さも醸し出します。
「地獄でなぜ悪い」ではその滑稽さがもう少し前面に出ていて、まだ見やすいのですが、
本作は、悲惨と不気味さMAX。
ただただ口をあんぐり・・・。

社本は気が小さく、家族に思ったこともなかなか言えません。
けれどまあ、たいていの人はそうなのではないかと思うのですけれど。
しかしそういう社本の内面を村田が鋭く突くのです。
「おまえはグレた娘に何もできない。
壊れた家庭を立て直すこともできない。」
それまでどうにもならずに、田村の言いなりで
悲惨な立場に立つしかなかった社本の鬱屈が爆発していくのは、
この言葉の後だったように思うのですが、いかがでしょう。
ほとんど狂気の世界に突入していく、それぞれの人々。
そのエネルギーに圧倒されるのみ。
人々の内面にこのような怒りや狂気が実は内包されている・・・
だからこそ、ただの絵空事、架空のストーリーとして見捨てることができないのでしょうか。

実に強烈なインパクト。
「冷たい熱帯魚」などとクールな題名に騙されませんように。
むしろ、「狂ったピラニア」とか、命題したいところです。
決して二回は見たくない・・・。

「冷たい熱帯魚」
2010年/日本/146分
監督・脚本:園子温
出演:吹越満、でんでん、黒沢あすか、神楽坂恵、梶原ひかり
凶悪度★★★★★
満足度★★☆☆☆

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園子温監督に興味を持って本作を見ましたが、
いやあ、覚悟が足りなかった。甘かった。
「ヤなものを見てしまった・・・」、
これが正直な感想です。
小さな熱帯魚店を営む社本(吹越満)。
年頃の娘が若い後妻に反発しグレてしまい、家庭はめちゃめちゃ。
そんな時、やけに人がよく世話好きそうな村田(でんでん)と知り合うのですが、
それが実は、想像を絶する猟奇殺人への入り口だった・・・。

村田ははじめ、いかにも人好きするような、ひょうきんなおじさんっぽいのですが、
あるところで豹変。
そのドスのきき方、存在感が並大抵ではない。
先日見た映画「凶悪」でも、考えられない“凶悪”さを見せつけられましたが、
こちらはそれ以上です。
園監督は“リアル”にはこだわらず、ことさらにグロテスクにデフォルメしてみせるので、
そういうところでは滑稽さも醸し出します。
「地獄でなぜ悪い」ではその滑稽さがもう少し前面に出ていて、まだ見やすいのですが、
本作は、悲惨と不気味さMAX。
ただただ口をあんぐり・・・。

社本は気が小さく、家族に思ったこともなかなか言えません。
けれどまあ、たいていの人はそうなのではないかと思うのですけれど。
しかしそういう社本の内面を村田が鋭く突くのです。
「おまえはグレた娘に何もできない。
壊れた家庭を立て直すこともできない。」
それまでどうにもならずに、田村の言いなりで
悲惨な立場に立つしかなかった社本の鬱屈が爆発していくのは、
この言葉の後だったように思うのですが、いかがでしょう。
ほとんど狂気の世界に突入していく、それぞれの人々。
そのエネルギーに圧倒されるのみ。
人々の内面にこのような怒りや狂気が実は内包されている・・・
だからこそ、ただの絵空事、架空のストーリーとして見捨てることができないのでしょうか。

実に強烈なインパクト。
「冷たい熱帯魚」などとクールな題名に騙されませんように。
むしろ、「狂ったピラニア」とか、命題したいところです。
決して二回は見たくない・・・。

「冷たい熱帯魚」
2010年/日本/146分
監督・脚本:園子温
出演:吹越満、でんでん、黒沢あすか、神楽坂恵、梶原ひかり
凶悪度★★★★★
満足度★★☆☆☆