MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『ファヒム パリが見た奇跡』

2020-08-28 00:58:55 | goo映画レビュー

原題:『Fahim』
監督:ピエール=フランソワ・マルタン=ラヴァル
脚本:ピエール=フランソワ・マルタン=ラヴァル/チボー・ヴァンユール/フィリップ・エルノ
撮影:レジス・ブロンドゥ
出演:アサド・アーメッド/ジェラール・ドパルデュー/ミザヌル・ラハマン/イザベル・ナンティ
2019年/フランス

見えない「移民権」争いについて

 ファヒム・モハンマドは8歳の時にバングラデシュから父親と共にフランスへ不法移住してくるのだが、それはファヒムのチェスの才能を見込んでのことだった。しかしこの実話で興味深いのはファヒムのチェスの才能が開花するトーナメントの過程よりも、移民同士の熾烈な争いである。例えば、難民局におけるインタビューで当初はフランス語が理解できない2人に対して通訳が付くのだが、半年ほど経ってインタビューを受けた時に、既にフランス語を理解していたファヒムは通訳が嘘をついていることを知る。その通訳はインド出身で、バングラデシュ出身の2人を難民認定させないことでインド出身の難民認定を増やそうと企んだのである。このような見えない駆け引きがあるはずだが、日本においてはそれ以前の問題がある。
 因みに12歳以下の部門でチェスのチャンピオンになったファヒムにすぐに在留資格を与えたのは当時のフランス首相だったフランソワ・フィヨン(François Fillon)だと思う。才能のある人間を見逃さずにすぐに「自国民」にしてしまうところが粋だね。


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする