MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『アンチグラビティ』

2020-08-23 00:50:39 | goo映画レビュー

原題:『Koma』 英題:『Coma』
監督:ニキータ・アレグノフ
脚本:ニキータ・アレグノフ/アレクセイ・グラヴィッキー/ティモフィー・デキン
撮影:セルゲイ・ディシュク
出演:ライナル・ムハメトフ/アントン・パンプ―シュニー/ルボフ・アクショノーヴァ
2019年/ロシア

マトリックスの「壊れ具合」について

 一言で言うならば本作はロシア版『マトリックス』(ラリー・ウォシャウスキー/アンディ・ウォシャウスキー監督 1999年)という感じだが、主人公のヴィクトールが迷い込んだ世界は人々の集団的記憶をベースに形成されているために、例えば、エンパイア・ステート・ビルディングとビッグ・ベンが並んで立っているなど映像の「壊れ具合」は悪くない。
 しかしトーマス・アンダーソン(=ネオ)がコンピューターのプログラマーであるのに対してヴィクトールは建築家であることは重要な点で、要するに本作ではコンピューターと人間という対立の構図は存在しないのだが、いつの時代でも世界がある限りそれを征服しようと企む者はいて、本作ではヤンと呼ばれる新興宗教の教祖なのである。
 「死神(リーパー)」と呼ばれる怪物集団も巻き込んだ権力争いに発展するのだが、主人公の建築家としてのラストのオチが効いていると思う。


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