MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『思い、思われ、ふり、ふられ』

2020-08-15 22:18:57 | goo映画レビュー

原題:『思い、思われ、ふり、ふられ』
監督:三木孝浩
脚本:三木孝浩/米内山陽子
撮影:柳田裕男
出演:浜辺美波/北村拓海/福本莉子/赤楚衛二/上村海成/三船海斗/古川雄輝/戸田菜穂
2020年/日本

「愛の物語」の「構造」をなぞる意味について

 両親の再婚により姉弟になってしまった山本朱里と山本理央に同級生で同じマンションに住んでいる市原由奈と由奈の幼馴染みの乾和臣との「四角関係」は複雑そうに見えるが、映画的な「構造」が垣間見える。
 ある日、由奈は愛読書である『眠れる森の美女(Sleeping Beauty)』の王子とそっくりな男性を見かけるのであるが、それは引っ越してきたばかりの理央だった。当初2人の気持ちはすれ違っていたのだが、高校の文化祭で理央が王子様のようなコスチュームを着て由奈に改めて告白する時、それは有名な「愛の物語」をなぞることになって成就するのである。
 一方で、朱里と和臣の関係が上手くいかない原因は、朱里は「通訳者」を、和臣は映画の制作者を目指しており、つまりそれは「主人公」ではなく「主人公」たちを繋ぐ「裏方」であるために「愛の物語」をなぞれないのである。それでもラストで朱里と和臣が結ばれた理由は、親に自室にあったDVDを全て捨てられてしまったことで「裏方」であることを拒まれた和臣が朱里に2通のラインを送ったことにある。それは本作の冒頭で理央が朱里にしたことと同じことで、その時は朱里は家族を想って「裏方」に徹したことで失敗したのであるが、今回は失敗しないようにすぐに朱里は和臣が待っている場所に向かう。それは本作そのものである「愛の物語」をなぞることになり、「裏方」だった2人も愛を成就することになるのである。


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