原題:『#ハンド全力』
監督:松居大悟
脚本:松居大悟/佐藤大
撮影:谷口和寛
出演:加藤清史郎/醍醐虎汰朗/佐藤緋美/磯邊蓮登/岩本晟夢/芋生悠/鈴木福/坂東龍汰
2020年/日本
ハンドボールと「見かけ」について
2016年の熊本地震の3年後、仮設住宅で暮らす高校生の清田マサオが親友のタイチの写真を加工してSNSに投稿したことをきっかけにハンドボールと関わることになるのだが、「見かけ」の良さから入ったマサオたちは実際に試合には全く勝てない。当然のことながら周囲の期待を裏切ることになり、さらに投稿していた写真の捏造もバレて復活したばかりの男子ハンドボール部は崩壊寸前に至るのであるが、よくよく考えるならばマサオ自身も既に「見かけ」に裏切られており、例えば男子バスケットボール部の顧問を務めている担任教師のガッツが、震災時に実家に侵入していた空き巣狙いだったことに気が付いたり、あるいは女子ハンドボール部のエースの七尾と一緒にいた時にマサオは「春の雪」に見舞われるのであるが、それは実際には雪ではなく中国から来た黄砂なのである。
植野行雄が演じるコンビニの店員が自身の「見かけ」を利用して店で大暴れして「バイトテロ」を意図的に起こしてマサオに関する炎上を「鎮火」させてくれたことは「見かけ」を逆に利用した行動であろう。個人的には本作にハンドボールよりも「見かけ」に関する批評を感じた。