MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『糸』

2020-08-30 00:58:51 | goo映画レビュー

原題:『糸』
監督:瀬々敬久
脚本:林民夫
撮影:斉藤幸一
出演:菅田将暉/小松菜奈/山本美月/高杉真宙/馬場ふみか/倍賞美津子/榮倉奈々
2020年/日本

後半のストーリーの慌ただしさについて

 本作を観ている途中で、前にも観たことがあると思っていたら年月の違いはあるものの『弥生、三月-君を愛した30年-』(遊川和彦監督 2020年)と設定がそっくりだった。おそらく別の映画会社が企画したものが似たものになってしまったのだろうと思ったら、どちらも東宝だった。
 本作の出来に関して言うならば、途中あたりまでは悪くはなかったのだが、後半になるとストーリーが雑になってくる。例えば、北海道の美瑛で主人公の園田葵がお世話になっていた「こども食堂」を訪れていた際に、偶然娘の結を迎えに来た高橋漣に声をかけようとするものの、葵の背後から「こども食堂」の設立者の村田節子が漣の妻の香が亡くなったことを告げたことで葵は漣に声をかけられず、その後、漣が「こども食堂」を訪れると節子は葵が函館のフェリーに乗って帰るという話を漣にするのだが、節子が2人をどうしたいのかよく分からないのである。
 そしてラストシーンを迎えるのだが、フェリー乗り場で漣は人混みの中で葵を探し、葵は一度は乗船したフェリーから降りて漣を探し回る。2人は会えないままフェリーは出航してしまい、漣はフェリーを見送るしかなかったのであるが、何故か葵はフェリーに乗っておらず背後から漣に駆け寄ってきて、さらにその時葵は荷物も持っていないのである。この慌ただしい終わらせ方は奇跡というよりももはやスピリチュアルである。


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