原題:『La Fille au bracelet』
監督:ステファン・ドゥムースティエ
脚本:ステファン・ドゥムースティエ
撮影:シルヴァン・ヴェルデ
出演:キアラ・マストロヤンニ/ロシュディ・ゼム/メリッサ・ゲール/アニー・メルシエ
2019年/フランス・ベルギー
DNA鑑定で無くなる推理劇の「味わい」について
主人公で高校生のリーズ・バタイユが親友のフローラの殺害容疑で警察に連行されたのは2016年6月7日で、同年12月21日に仮釈放されてからリーズは片足首にモニター用無線送信器(bracelet)を付けて実家で暮らし、事件から2年後にようやく裁判が始まる。
個人的な感想ではあるが、リーズはフローラを殺していないと思う。裁判が始まってリーズが終始不機嫌なのは、両親の前では「良い子」を演じていたリーズが実は娼婦も驚くほどのとんだあばずれで、それが両親のみならず公にされてしまうからだと思う。だから無罪を勝ち取り「ブレスレット」を足から外してもらっても、家族が抱えることになった「十字架」を考慮する時、リーズは身に付けていたペンダントを足に巻かざるを得ないのである。
ところで本作はリーズが真犯人かどうかあやふやにしようとしたあまり致命的な間違いを犯している。リーズの弟のジュールがガレージで見つけた赤い柄のナイフがフローラを殺害した際に使用されたものかどうか裁判で議論になるのだが、何故かそのナイフをDNA鑑定しないのである。今の鑑定技術ならば2年経っていてもDNA鑑定は可能ではないだろうか?