米大企業の海外利益、12年は過去最高の188兆円=調査会社
ロイター 5月9日(木)6時51分配信
5月8日、米大企業が2012年に海外で稼いだ利益が15%増加し、過去最高の1兆9000億ドルとなったことが明らかになった。北京のアップルストアで4月撮影(2013年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)
[ニューヨーク 8日 ロイター] 米大企業が2012年に海外で稼いだ利益が15%増加し、過去最高の1兆9000億ドル(約188兆円)となったことが明らかになった。
米国での課税を回避するため利益を国内に戻さず、海外に留保する構図が浮き彫りとなった。
調査会社オーディット・アナリティクスがラッセル3000指数構成企業を対象にまとめた。
過去5年間では、海外利益は70%増加しているという。
米国に拠点を置く企業は、海外で稼いだ利益を国内に還流しない限り、米政府に法人税を納める必要はない。
米企業は議会に対し、非課税もしくは少額の課税で海外利益を定期的に国内に移すことがきるよう法改正するか、あるいは海外利益への課税を一時免除する「タックスホリデー」を実施することを求めてきた。
民主党議員の多くはタックスホリデーについて、ブッシュ政権下で実施された際に、国内に還流された資金が実際には雇用や設備投資に活用されなかったとの調査結果があるとして反対している。
一部ロビー団体からは、海外利益への課税を繰り延べる現行制度を廃止すべきとの意見も上がっているが、政治家の支持はほとんど集まっていない。
企業の間では、海外利益を還流する代わりに国内債券市場で資金を調達する動きも出ている。
アップル<AAPL.O>は前週、株主還元策の資金を手当てするため170億ドルの社債を発行した。海外に留保している1020億ドルの資金を還流する代わりに社債を発行したことで課税を回避した。
マイクロソフト<MSFT.O>も前月、27億ドルの社債を発行。同社はキャッシュや短期投資などおよそ740億ドルの資金を保有しているが、大半は国外にある。