明るいときに見えないものが暗闇では見える。

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【隣の家の少女 (2007)】 not avex

2010年10月24日 | 映画


■『隣の家の少女』予告編 (Youtube)


題名からだけだと中坊が股間を熱くするフランス映画のような香りもしますが全くハズレ。少年時代のひと夏の出来事を描いたいわゆるジュブナイルものですが、方向としてはものすごいネガティブ系。スティーブン・キング御大いわく「ダークサイド版『スタンド・バイ・ミー』だ」と言うのもうなずける。


母親とその息子たちに一人の少女が監禁拷問されているというその画は、それだけで十分な地獄絵図と言っていい。しかし流行りのトーチャーホラーのような直接的な映像表現はほとんど見せないことで見世物的な面白さに陥ることを回避、人間の暗部にのみフォーカスすることにみごとに成功している。

特に子供たちが迷うことなく嬉々としてそれに参加しているという「無自覚で盲目的な大人への従属」に寒気が走る。まだ年端もいかない息子に目の前で娘を強姦させ、次はどうしたいかと冷静に煽る母親ルースのその姿は恐ろしいほどの鬼畜。

集団における暴力のエスカレートとそれに迎合する人の心理が気分悪くなるほど描かれており、その所業は近年の映画では1,2を争う後味の悪さ。これが based on a true story というのだから人間を信じたい人は観ない方がいい。


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ただ残念なことに本作はボクの想定からは少しはずれていた。それは主人公であるディビッド自身が結局良い子すぎたこと。

この作品の本当の恐ろしさというのは、ルースの子供たちだけでなくその友人であり本作の主役であるディビッドが、いかにこの異常な状況の中でそれに感化されていってしまうという一点にあるのだと思っていた。

性にも興味深々となってきたその12歳という年頃で、少女の地下室への監禁という非日常に立ち会う。そこには親友の少年やいつもの仲間もいて、以前から子供たちの兄貴的存在のルースおばさんまでがいる。そんな中、間違っているとわかっていながらも、弱き者を甚振(いたぶ)ることの一抹の楽しさや美しいものが汚されていくことの淫靡への陶酔、大人の命令だからという言い訳で好奇心に負けてしまうというような本人の心の葛藤が描かれるのだとばかり思っていた。

そして大人になった今も良心の呵責に苛まれるという、そういう話なのかと。

あわせて本作ではルースの内面や過去がほとんど描かれない。確かに男にも逃げられたっぽい、かわいい若い女はみんなアバズレだ的なセリフから観客の想像力にそこは任せることが制作者の意図だと思われるがそれが逆効果に感じられる。彼女がこんな鬼畜に堕ちていった必然が感じられずただの「悪いオバサン」に見えてしまった。またその子供達も「バカに育てられたバカ息子」に感じられ、”良い子のディビッド”との対比がそれをより強調してしまう。


たぶんケッチャムの原作ではボクの想定したような部分が深く描かれているのでないかと思う。普通の人が悪人となってしまうその“魔が差す瞬間”こそが真の恐怖なのではないか。それがイマイチ伝わらなかった。

読んでないけどなw。違ったらメンゴw


とりあえず小説読んでみる。
それともう一つの「インディアナ 少女虐待事件」映画であるエレン・ペイジちゃんの『アメリカン・クライム』も観てみます。


評価:★★☆☆☆


ちなみに avex の音楽ユニットとは無関係でした。アタリマエ



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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (地獄少女同人誌 画像)
2010-10-25 12:40:57
いいblogですね
読んでしまいました
ありがとう


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Re: Unknow (takakuss)
2010-10-25 18:08:19
ありがとうございます。
またお寄り下さいませね。
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