明るいときに見えないものが暗闇では見える。

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【28週後...】 ヘリでバリバリ

2009年05月05日 | 映画


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感染すると人間を凶暴化する“レイジウイルス”が猛威をふるったイギリス。感染発生から28週後、米軍主導のNATO軍監視のもとロンドンでは復興作業が始まっていた。軍の厳重な監視下に置かれている第1街区ではスペイン旅行中で難を逃れた姉弟も父親ドンと感動の再会を果たす。しかしその場に母アリスの姿はなかった。
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『スラムドッグ$ミリオネア』がアカデミー総なめでしたね。ボクはまだ未見で観たいとは思っているのですが、2年前にインドへ行った時のスラム街の強烈さが記憶にまだ残っており、ちょっと食傷気味なところあり。

そこで同じダニー・ボイル監督が撮っている最上級ホラー映画をご紹介。



前作『28日後...』は10億円たらずの低予算ながら世界的なスマッシュヒットとなったアクションホラー。初めて(?)「走るゾンビ」を登場させたことで、圧倒的スピード感を持ったゾンビ映画として新たな魅力を開拓した。この手のウイルス感染もの映画としては『バイオハザード』シリーズなど多数あるが、この『28日後...』は、現代性・現実性と人間や社会へのシニカルな皮肉がとてもよくできた良作であった。

さて、もちろん今回の「28週後...」もその皮肉が超きいている。

今回の皮肉の矛先は"世界の警察"アメリカ軍。感染後のロンドンで治安維持にあたる特殊部隊。飛び交うヘリ、ビルの上には特殊狙撃隊。圧倒的火力でゾンビたちを制圧(虐殺)していく姿はまるでテロ対策の掃討作戦さながら。さらに感染者と未感染者の識別ができないとなると即座に全員を殲滅の対象とするなどのシチュエーションが妙にリアルである。
。。。さてこのシーンには見覚えがあるだろう。そう、数年前にTV、ニュースで見ていたヒゲの大統領率いる中東の"あの国"、そのものなのである。

そして、その冷酷なアメリカ軍の中にも子供達を助ける良心的なメンバ達がおり、彼らの脱出劇が後半のメインストーリーとなる。しかしそんな彼らのもたらす結果がまたおもしろいほどに皮肉に終着していく。。。


映像レベルからみて前回に比べ明らかに資本も増えており、主演もロバート・カーライルなんて有名どころを使ってしまっている。そのためホラーとして万人が楽しめるように大味化していないかの心配もあった。しかしその心配は冒頭の10分でものの見事に払拭された。前回同様ハンドカメラによる圧倒的ライブ映像はより洗練され、凶暴化したゾンビ達が走る走る全力で走る!そして観ている観客を含め追われる人間達は次々とその餌食となりあっという間に惨殺されていく!じわじわと恐怖が迫ってくるようなホラーも好みではあるが、本作の魅力はこのスピード感とガッツリ感なのだ。さらに終盤でヘリが感染者を一掃していくシーンはホラー界に残る名シーンと言えよう。目を背けずにはいられない息を飲むとはこのことだ。とにかく一度体験して欲しい。ゾンビ映画のイメージを一変させる威力がある。

そして最後30秒でさらに絶望を見せる(魅せる)スタイリッシュさが、かのダニー・ボイルたる所以か。

人間の弱さ、優しさ、傲慢さなどてんこ盛りに盛り込んだ大人のホラー。
なかなか観られないレベル。個人的には前作以上の出来。

評価:★★★★★

初めての方は前作とともにどうぞ。



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