明るいときに見えないものが暗闇では見える。

映画を消費モノにさせないための咀嚼用ブログ。自己満足風。
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【ザ・ホード 死霊の大群(2009)】

2011年05月01日 | 映画



さらにもう一つゾンビ作品。こちらはフレンチゾンビ。

ゾンビ映画好きの中では上映前から結構話題になっていた本作。その分上映後は「見掛け倒しだった」と辛口の評価も多数出ている様子でしたが。。。


ボクはコレ、かなり好きですね。
ハードでごっつぅ重たい刑事バイオレンスものとゾンビがこんなに相性いいとはオドロキ。


なんと言っても今回は登場人物達が強い。凶悪な人殺しギャング団と法を犯してでも仲間の復讐をしようっていう無骨な警官達ですから、そもそも身体能力的に弱い人間は一人もいない訳です。そいつらがゾンビと闘ったらどうなるか。。。もう激しい激しいww。これがゾンビが可哀想になるぐらいに激しい。

殴るは蹴るは叩きつけるは、あげくに銃でメッタ撃ちとこんな過激な格闘シーンはこれまでゾンビ映画で観たことがない。また今回のゾンビは『28日後...』シリーズに同じく"走るゾンビ"ですから、相当な凶暴性があってこちらもそう簡単には死なないのです。白人ギャングと女警官の格闘シーンは何度かリプレイして観てしまう程おもしろかったですよ。

また"360度ゾンビ"との闘いも、見掛け倒しどころかゾンビ史上に残る名シーンかと言える出来で、「かかって来いっ!」は単純に鳥肌ものです。


冒頭の葬儀シーンを観たときは人間ドラマが少しめんどくさいかもと心配してたんですが、結局は最低限のキャラ設定に抑え、あとは極限状態における有無を言わさぬ展開へとなだれ込んで突っ走ってくれます。途中で住人のオッサンを投入したのもパワーバランスとして素晴らしいです。

ゾンビに囲まれているという状況設定の上で、ギャングと警官が一時的にタッグを組むというさらなる疑心暗鬼の状態を付与。その上での裏切りや葛藤、差別や過去の遺恨を交えながら登場人物達の立ち位置を確立していく様子はとてもうまい。またオッサンとアホギャングが女ゾンビをいたぶるシーンにみられる人の暗部の照らし出しなどは、ゾンビ映画の王道を踏まえた丁寧な造りで監督のゾンビ愛を感じました。

多彩な銃火器も登場するので造詣が深い人であればたぶんさらに楽しめるのでしょうね。ボクはそこが残念。


ラストが蛋白過ぎるという感じもしますが、「人間同士の極限の駆け引き」と「ゾンビの怖さ」に絞って魅せたいモノはすべて提示し尽くした感があるので、あそこはアレで良いのだと思います。余分なモノを削ぎ落とした脚本、編集に拍手です。


おフランスらしく映像もカット割りもスタイリッシュです。また全編フランス語ってのが、観慣れない感じでさらに緊張感が持続できていい感じです。


"走るゾンビ" 自体はロメロの正当な後継ではないのだけど、それが許せる人なら本作は観て損なしです!
『処刑山』と『ゾンビランド』と観た後でしたので、この過激さ激しさにヤラれました。おすすめです。



■『ザ・ホード 死霊の大群』予告編(Youtube)

評価:★★★★☆


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