明るいときに見えないものが暗闇では見える。

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【ダイアリー・オブ・ザ・デッド】 デッド6作目に期待

2009年10月16日 | 映画



まだまだ第一線でがんばるロメロ翁のリビングデットシリーズ5作目w

あいかわらずゾンビ映画なのに社会派ホラーというスタンスは変わらない。ロメロにしては小規模低予算のインディペンデント作品なのだが、映像の完成度の高さに驚くことしかり。てか、こんな時代の最先端なところを取り入れたお話を70の声を聴くお年寄りが脚本・監督しているってのに驚く。

映画学校の生徒であるジェイソンは仲間と山奥で卒業作品の撮影をしていた。そこにラジオから世界中で死体が蘇り人間たちに襲いかかっているという信じられないニュースが流れる。半信半疑で彼らが下山するとまさにその戦慄の光景が目の前に繰り広げられていた。そこでジェイソンもこの状況をビデオカメラで記録し始める。

今回は現在のネット浸透社会でゾンビが蔓延したらどうなるかを描いている。事態は沈静化していると虚偽報道を繰り返すTV・ラジオに対し、MyspaceやYoutubeなどではそれに反し次々と凄惨な現場の映像がUPされる。ロメロは規制されたメディアへの反発を示す一方、暴走する新メディアに対しても警鐘を発している。「大丈夫です」としか報道しないTVに対し、最初は「アタマを撃て」というような有益な情報を伝えるネット動画だが、しょせんズブの素人達がUPするそれらの情報は大量の恐怖を煽るただのゴミの集まりとなり結局正しい情報は伝えられない。またジェイソンは友人を助けるよりも映像を残すことに執着する。素人がカメラを持つことによりモラルは暴走し、ついには自身もゾンビの餌食となってしまう。「撮らなければ何もなかったのと同じ」本作を象徴する印象的な言葉だ。

今回はジェイソンの撮影映像を中心としたPOV映画になっている。しかし(わざと入れ込んだ)画像のブレや暗視などのPOV手法が思いのほか少ないため、『クローバーフィールド』や『REC』のような臨場感に欠ける。であればあまりPOVにこだわって作る必要はなかったかも、とも思う。なぜなら中途半端なレンズを通してみるPOV映像はやはり傍観者としての目線になってしまうから。最初から最後まで恐怖の中に入れなかった。やはりPOVは"お化け屋敷"感覚に利用する手法なのだろう。

残念ながら今回は"中途半端なPOV"とさらに"インターネット"という双方バーチャルなものが主題となってしまったせいで、なんだか"現実感"が遠くなっていた気がする。そのため「人間が一番恐ろしい」といういつものオチにも上手にランディングしきれていないと感じられた。最後のハンター達のシーン(『NIGHT OF THE LIVING DEAD』『DAWN OF THE DEAD』に同じ)もそれが分かっているだけに後付けされたように思われてならない。

ただし本作観ておいて絶対損はない。だってそれはロメロだからw ..じゃなくて、新しい目線、新しい試みで作られたゾンビ映画だから。誰もが新鮮な驚きがあると思う。


そしてボクはロメロが好き。またリビングデッドシリーズを見てしまうだろうと思う。

評価:★★★☆☆

アーミッシュのおっさんのシーンが最もロメロっぽくて好きw


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