高槻成紀のホームページ

「晴行雨筆」の日々から生まれるもの

バードストライク

2019-03-06 23:08:06 | 研究
2019年3月6日、友人の棚橋早苗さんから電話が入りました。それによれば国立駅前のビルにハトがぶつかって死んでいる、どうするか?ということでした。貴重なものなので受けることにしました。体重は296gの若いドバトのようでした。



 骨格標本にするために体を開きましたが、ナイフが首のところに達したとき、びっくりしました。トウモロコシなどの穀類が溢れるように出てきたのです。とり出してみるとトウモロコシ、コメ、オオムギ、コウリャンなどがありました。分からなかったものはサフラワーのようです。コメントを下さった皆様、ありがとうございました。




ハトの食道部分から出てきた穀類。格子間隔は5mm


 それにしても、このハトはどこでこれを食べたのでしょう。国立駅界隈は都市化したとはいえ、少し離れれば畑もあるし、ハトの飛翔力からすればもう少し田園的な場所から飛んできた可能性もあります。ただ、トウモロコシ畑からトウモロコシを食べ、田んぼからコメを食べたというようなことでないことは確かです。というのは穀類はイネ科であり、その果実は穎(えい)をつけています。もし茎の先についていたものを食べたら必ず穎が出てくるはずですが、これはそうではありません。つまり脱穀されたものを食べたということです。しかも複数種のミックスです。これはおそらくニワトリ用の餌として配合された飼料があって、それをこのハトが食べたと考えるのが一番ありうる推理です。いや、もっと直接的には、これが飼育されているハトで、ほかの飼い鳥の餌をくすねたのではなく、与えられたものを食べた後にビルのガラスに激突したのかもしれません。大腿骨がまともに折れており、肋骨にも内出血があったので、胸でぶつかり、地面に落ちた時に脚の骨が折れたのかもしれません。

追記:標本にしてみました。確かに若い個体で、骨がまだ未完成で、作りにくかったです。


ドバト 2019.3/6 国立市 棚橋早苗、高槻成紀作

コメント (4)
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