イヴからのプレゼント セントくん ４

長々と個人的なことを書いてきました。
お付合い下さいまして、ほんとうにありがとうございました。

セントくんが、
「無理でしょう」と言われてから
4ヶ月後に我が家にやってきた理由は、以前書きました。
「やっぱり来たか」というのが正直なところでした。
わたしの心が、イヴちゃんにすまないと思う心が
セントくんを呼んでいたのです。

そして嵐に突入でした。でも、もう嵐のことはいいですよね。

6月でしたか、
ルックとセントくんとで散歩していた時でした。
その頃セントくんは
お留守番になるとワンワン吠えてしまって頭痛の種でした。
そこでルックとセントくんのしつけし直しをしていました。
ちょっとでも前を歩きそうになるとグッとリードを引きます。
それまでのセントくんは、
もう勝手気ままに前へ後ろへ歩いていましたが、
わたしが厳しくなってから、最初は戸惑いましたが、
しばらくすると、ゆったりと落ち着いてわたしの横を歩けるようになりました。
（今は、またそうでもないですけど…）
その時、思ったのです。
「セントくん、あんなに怒られたのに安心して横を歩いているんだね」と。

その時急に、イヴのことが思い出されました。
「ああ、もしかするとイヴちゃん、わたしの足下で安心して寝ていたのかな？」
このところが、うまく理屈で説明できないのがもどかしいのですが、
セントくんの落ち着いた態度に、ふっとイヴちゃんが重なって、
「もしかしたらイヴは、わたしが思うような可愛そうな犬生じゃなかったのかも。
イヴはイヴなりにしあわせだったのかな？」
と思ったのです。初めてでした。
「おかあさん、なんでそんなに謝るの？」という顔で
わたしの中のイヴが顔を上げました。

たぶん、嵐があったからなんです。
イヴへ謝る気持ちで始めたセントくんの介護は、
毎日毎日嵐のようだった。
それがあったから
わたしは自分の気持ちに納得が出来たような気がします。
たぶん、健常な子がうちに来て、普通の犬のいる暮らしをしていたら、
今でもずっとイヴちゃんにすまないと思っていたと思います。
きっとわたしも、そういう子には手を上げなかったと思いますが。

まあ、イヴがですね。
「もう、おかあさんったら、いつまでもそうやって、すまないすまないって
…そんなら少し身体をこき使ってみたら？わたしの思いが伝わるかもよ。」と、
セントくんをプレゼントしてくれたんだと。そんな気がしました。

ありがとうセントくん。
君のおかげだよ。思いっきり手をかけさせてくれてありがとう。
セントくんの介護で、
やっとわたしは、イヴへのすまない気持ちから
自分を解き放つことができたような気がします。
だから、セントくん、
君の存在はそれだけで、わたしにとって素晴らしいのだよ。

4月の段階ではセントくんは、預かりでお引き受けしました。
いきなり里親は、手間の上でも、膀胱炎の治療の上でも
かなり厳しいらしいことが少しわかった時点でしたので。
鍼治療はわたしの一存でやっていることですが、
その他の治療や通院ではcatnapのお力がないと、とても大変で、
実際助かりました。
ありがとうございます。

セントくんを預かることには、
周りからもいろいろなご意見をいただきました。
「仕事少ないのに、なんでわざわざそんな苦労をするんだ」とも言われました。
もちろんわたしのことを気遣ってのお言葉ですからありがたいことです。
けれど、今振り返って、
誰になんと言われても、自分が信じた事はやらないと一生後悔すると、
今更ながら思いました。
意固地になる訳ではありませんが、
その人にはその人にしか解決できない問題があるのです。

セントくん、次々と奇跡を起こして頑張ってくれていますが、
おむつが取れるのはまだ先のことかもしれません。
でも、もうずいぶん楽ですから。気長に行けばいいんだよね。
これからもルッくんといっしょに頑張っていきます。