住宅ローンの返済は猶予申請可能?住宅ローン返済の基礎知識と申請方法
震災などの被害を受けると、経済的損失が大きいです。特に、ローンを組んだ住宅が損壊した場合には、住宅を補修したり新しい住居を確保したりするのにも多大な費用がかかり、ローンの返済どころではないかもしれません。
そこで、当記事では、住宅ローン返済猶予の基礎知識と申請方法について解説します。
住宅ローン返済猶予とは?
住宅ローン返済猶予とは、2009年12月に施行された中小企業金融円滑化法(以下、「同法」とします)に基づく猶予制度です。
同法が成立した背景には、金融機関の「貸し渋り」「貸しはがし」による中小企業の倒産がありました。つまり、制定の過程では、中小企業が金融機関から返済猶予や返済条件の変更を受けられることを狙いとしたものでした。
ただ、実際に成立した法律では、返済猶予の対象として、中小企業だけでなく、個人向けの住宅ローンも含まれることになりました。
また、成立時には、2011年3月末日までが期限と定められていましたが、2010年12月に期限を2012年3月末日まで延長することが決定されました。
同法によっても、中小企業や住宅ローンを借りている個人が、必ずしも返済猶予を受けられるというわけではありません。同法では、あくまで金融機関に対し、返済猶予等に応じる努力義務を課しただけです。
ただし、金融機関は、監督官庁である金融庁に対し、どれくらい返済猶予に応じたかなどを報告する義務があり、金融庁は各金融機関による返済猶予の実施状況を公表することになっています。
返済猶予の対象者
同法により、返済猶予の対象となるのは、自ら居住するため、住宅を建築又は購入する資金を借り入れをしている者です(同法2条3項)。
ただし、返済猶予を認めるかどうか決定するのは、あくまで金融機関側なので、実際に返済猶予を受けられるかどうかは、債務者の資産状況等により、ケース・バイ・ケースです。
例えば、東北地方太平洋沖地震に関して、住宅金融支援機構では、一定の条件をみたす被災者に対しては返済猶予などに応じることを決定しました。
同機構では、返済猶予対象者や猶予内容について、以下のように定めています。
り災割合(被災の程度)によって、次のとおり返済方法の変更を行います。
り災割合が30%未満の場合 払込みの据置又は返済期間の延長 1年
据置期間中の利率の引下げ 0.5%
り災割合が30%以上60%未満 払込みの据置又は返済期間の延長 2年
据置期間中の利率の引下げ 1.0%
り災割合が60%以上の場合 払込みの据置又は返済期間の延長 3年
据置期間中の利率の引下げ 1.5%
上の表にある「り災割合」の算出方法は、以下の計算式になります。なお、Aは「災害発生の日前1年以内の収入額」、Bは「災害発生日以後1年間の収入予定額」、Cは「住宅の復旧費や災害による治療費など」です。
A-B+C
--------------
A
なお、住宅金融支援機構以外にも、被災地に拠点を持つ金融機関の多くが、被災者支援方針を打ち出しています。
各金融機関ごとに詳しい条件等は異なるでしょうが、返済猶予は金融庁の監督のもと実施されていることに勘案すれば、おそらく住宅金融支援機構のものに準ずる条件になるものと考えられます。
返済猶予に応じる姿勢を見せている金融機関一覧やその連絡先(フリーダイヤル)については、こちらのページをご覧ください。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20110325/k10014890211000.html
返済猶予の申請方法
住宅ローンの返済猶予は、まずは金融機関に電話などで相談することから始まります。金融機関ごとに、専用ダイヤルを設けていることもあります。
そのうえで、金融機関の担当者と個別に面談することになるでしょう。
上の住宅金融支援機構の例によれば、返済猶予が受けられるかどうかのポイントは、「災害発生によって収入が減ったかどうか」「住宅復旧費や災害による治療費にどれくらいかかったか」になると思われます。
そこで、被災を理由として返済猶予を受けたい人は、以下のものを準備しておくとよいでしょう。
災害発生前の収入を証明できるもの(源泉徴収票など)
災害により離職することがあればそれを証明するもの(離職票など)
家屋の損害程度を示す罹災証明書
災害により病院にかかった場合は治療費の領収書
その他、災害により経済的損失を被ったことを証明するもの
おわりに
いかがでしょう。住宅ローン返済猶予の基礎知識と申請方法についてご理解いただけたでしょうか。
住宅ローンの返済が厳しい人は、まずは金融機関に返済猶予や返済条件の変更に応じてもらえないかどうか、ぜひ相談してみましょう。
(Photo by http://www.ashinari.com/2010/09/12-340757.php)
2011年03月25日
震災などの被害を受けると、経済的損失が大きいです。特に、ローンを組んだ住宅が損壊した場合には、住宅を補修したり新しい住居を確保したりするのにも多大な費用がかかり、ローンの返済どころではないかもしれません。
そこで、当記事では、住宅ローン返済猶予の基礎知識と申請方法について解説します。
住宅ローン返済猶予とは?
住宅ローン返済猶予とは、2009年12月に施行された中小企業金融円滑化法(以下、「同法」とします)に基づく猶予制度です。
同法が成立した背景には、金融機関の「貸し渋り」「貸しはがし」による中小企業の倒産がありました。つまり、制定の過程では、中小企業が金融機関から返済猶予や返済条件の変更を受けられることを狙いとしたものでした。
ただ、実際に成立した法律では、返済猶予の対象として、中小企業だけでなく、個人向けの住宅ローンも含まれることになりました。
また、成立時には、2011年3月末日までが期限と定められていましたが、2010年12月に期限を2012年3月末日まで延長することが決定されました。
同法によっても、中小企業や住宅ローンを借りている個人が、必ずしも返済猶予を受けられるというわけではありません。同法では、あくまで金融機関に対し、返済猶予等に応じる努力義務を課しただけです。
ただし、金融機関は、監督官庁である金融庁に対し、どれくらい返済猶予に応じたかなどを報告する義務があり、金融庁は各金融機関による返済猶予の実施状況を公表することになっています。
返済猶予の対象者
同法により、返済猶予の対象となるのは、自ら居住するため、住宅を建築又は購入する資金を借り入れをしている者です(同法2条3項)。
ただし、返済猶予を認めるかどうか決定するのは、あくまで金融機関側なので、実際に返済猶予を受けられるかどうかは、債務者の資産状況等により、ケース・バイ・ケースです。
例えば、東北地方太平洋沖地震に関して、住宅金融支援機構では、一定の条件をみたす被災者に対しては返済猶予などに応じることを決定しました。
同機構では、返済猶予対象者や猶予内容について、以下のように定めています。
り災割合(被災の程度)によって、次のとおり返済方法の変更を行います。
り災割合が30%未満の場合 払込みの据置又は返済期間の延長 1年
据置期間中の利率の引下げ 0.5%
り災割合が30%以上60%未満 払込みの据置又は返済期間の延長 2年
据置期間中の利率の引下げ 1.0%
り災割合が60%以上の場合 払込みの据置又は返済期間の延長 3年
据置期間中の利率の引下げ 1.5%
上の表にある「り災割合」の算出方法は、以下の計算式になります。なお、Aは「災害発生の日前1年以内の収入額」、Bは「災害発生日以後1年間の収入予定額」、Cは「住宅の復旧費や災害による治療費など」です。
A-B+C
--------------
A
なお、住宅金融支援機構以外にも、被災地に拠点を持つ金融機関の多くが、被災者支援方針を打ち出しています。
各金融機関ごとに詳しい条件等は異なるでしょうが、返済猶予は金融庁の監督のもと実施されていることに勘案すれば、おそらく住宅金融支援機構のものに準ずる条件になるものと考えられます。
返済猶予に応じる姿勢を見せている金融機関一覧やその連絡先(フリーダイヤル)については、こちらのページをご覧ください。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20110325/k10014890211000.html
返済猶予の申請方法
住宅ローンの返済猶予は、まずは金融機関に電話などで相談することから始まります。金融機関ごとに、専用ダイヤルを設けていることもあります。
そのうえで、金融機関の担当者と個別に面談することになるでしょう。
上の住宅金融支援機構の例によれば、返済猶予が受けられるかどうかのポイントは、「災害発生によって収入が減ったかどうか」「住宅復旧費や災害による治療費にどれくらいかかったか」になると思われます。
そこで、被災を理由として返済猶予を受けたい人は、以下のものを準備しておくとよいでしょう。
災害発生前の収入を証明できるもの(源泉徴収票など)
災害により離職することがあればそれを証明するもの(離職票など)
家屋の損害程度を示す罹災証明書
災害により病院にかかった場合は治療費の領収書
その他、災害により経済的損失を被ったことを証明するもの
おわりに
いかがでしょう。住宅ローン返済猶予の基礎知識と申請方法についてご理解いただけたでしょうか。
住宅ローンの返済が厳しい人は、まずは金融機関に返済猶予や返済条件の変更に応じてもらえないかどうか、ぜひ相談してみましょう。
(Photo by http://www.ashinari.com/2010/09/12-340757.php)
2011年03月25日
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