横溝正史ミステリ短編コレクションは、2→3→1集と読み進め、今回第4集「誘蛾燈」
を再び図書館からお借りしてきました。
第1集は最初期の18歳でのデビュー作を含む、雑誌編集者との兼業時代までの作品集で、
文章がこなれていないものも一部には見受けられるなど、さすがにやや出来不出来があり、
のち専業作家として独立し、第2集に収録の『鬼火』で耽美的、怪奇趣味へと傾倒すると、
開眼したかのように筆がのり始め、戦中の探偵小説への飢餓を一気に爆発、開花させるのが、
戦後直後時代の作品を集めた第3集です。
3集収録の短編作品は、名作とされる長編の『本陣殺人事件』や『蝶々殺人事件』
などと共に並行して書かれ、発表されていることに驚かされます。江戸川乱歩が
そうであったように、雑誌の連載を複数抱え、締め切りに追い立てられるような
精神状態だったときにこそ筆が進み、名作が生み出されているのが不思議だし、また、
ご両名、どんな複層的な優れた頭の構造されているのか、改めて畏敬の念を覚えます。
そもそも、本陣~と蝶々~が同時に書かれ、各々雑誌に連載されていたことをこの前
読んだ本「江戸川乱歩と横溝正史」で初めて知り、これには驚愕しました。私は
蝶々~を読んだことなくて、ただし、置いてある図書館を知っているので、次回
再訪の際にはぜひとも読んでみたいと思います。本陣~は手元にあるので、次回の
旅のお供に繰り上げ当選させようかなと考えています。
第4集ではどのような作品が私を迎え、楽しませてくれるのでしょうか。今から
読むのをワクワクしているんです。