旅にしあれば

人生の長い旅、お気に入りの歌でも口ずさみながら、
気ままに歩くとしましょうか…

江戸川乱歩と横溝正史

2020-12-27 19:23:00 | 図書館はどこですか



興味深い本をまた見つけてしまい、図書館で借りてきました。
「江戸川乱歩と横溝正史/中川右介著」がそれで、中川さんはこの前ご紹介した
「アニメ大国 建国紀」もお書きになられた方で、どうやらわたくしと趣味嗜好が
激しく重なっているようです。

そういう同じ空気感を持っている人っていますよねえ。たとえば
俳優の佐野史郎さんなどもそうで、ついこの前も「怪獣映画ヒロイン特集」の
司会をされていました(私も思わず見てしまった)し、はっぴいえんどの絶大な
フリークでもあるしで、ベクトルが同じ方を向いているのは間違いありません。

中川さんや佐野さんと一緒にお酒を飲めたらさぞかし愉快なことでしょう。
文章に書けない、テレビで話せないような裏話がいっぱい伺えると思うんです。
もちろん私は、お二人ほどマニアックな知識は持ち合わせていませんから、
もっぱら聞き役専門でしょうけど。


さてこの本も私にはドストライクで、乱歩、横溝両名に親交があったことはそれなりに
知ってはいましたが、どのような経緯で年少の横溝が年上の乱歩を編集者として
支えたり、また同じく、どのようにして横溝が編集者から専業作家として独り立ちするのか、
時系列的な事柄を含め、あまりよくわかっていなかったし、二人の交流がどんな様子
だったのか、とても興味があったのです。

横溝全集をいったん横(溝)に置いて、さっそくこちらを読み始めましたが、期待通り
大変おもしろく、この先読み進めるのがとても楽しみですわ。二人の傑作作品が
どのような時期に、どのようなタイミングで発表されたのか、その背景なども含め
よくわかり興味津々ですし、また期せずして、出版社の興亡の記録も並行して記述される
ことにもなるのがとても興味深いのです。もちろん同時代のその他の探偵小説執筆者も
多数二人に絡んでくるでしょうから、入れ代わり立ち代わり登場するのも楽しみです。

読み始めてまず中川さんに共感したのが二人の呼び方で、江戸川と横溝、または、
乱歩と正史でもしっくりこず、やはり乱歩と横溝で落ち着くんですよね。私のこのような
ブログ記事ですら、できるだけ表記は統一したい(整合させたい)と思いながら、
これまでも中川さんと同じような使い分けをしてきたはずです。ミステリ界の両巨匠、
恐れながらやはり私も、江戸川さんは乱歩、横溝さんは横溝と呼ばせていただきます。


ちょうど今、横溝の初期の短編集を読み進めているので、二人の出会いや、乱歩が先に売れ、
刺激されるように横溝も再び自ら筆をとるあたりが、シンクロするように生々しく描き出されます。
このあと二人の作家人生がどのようにクロスしていくのか、興味は尽きません。

コメント
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