11月5日(日) 晴れ
未明、満月に煌々と照らし出され、周辺かなりの明るさであった。おそらくこれが今回のラストショットと、
阿蘇山上に向かった。しかし、まず当てが外れたのが強風。天候は回復しても、山の上はまだ強い風が
残り、水面にはさざなみが立っていた。そうすると、月に照らし出された山並みの写真は、日中撮影するのと
あまり代わり映えしない描写となり、すこぶる面白味のないものなので、すぐに撮影を切り上げてしまった。
おまけに用意していたハクキンカイロは、寒さのためか燃焼が止まり、まったく役に立たず、まいった。
これくらいの寒さに絶えられないとすると、厳冬期にはとても使い物になりそうになく、これも当てが外れた。
また一から、防寒対策を考えねばならないのか?
東の空にきれいな満月が輝いていたのに、結局、それをうまく活かせる写真は撮れず、スゴスゴと
下山した。結果だけみたら、昨日のうちに帰宅の準備をして移動し始めればよかったのだが、まあ懲りずに
あきらめず粘れたと、自分をほめてあげるしかない。
道の駅で身支度、朝食をとり、すぐに出発した。三連休の最終日、途中、それなりの渋滞は覚悟しなければ
ならない。だが、臼杵港までの道のりは、交通量は多かったものの、ひどい混雑はなく、そうするとナビの
到着予定時刻はどんどん早くなって、うまくすると予定よりも一つ早い便に間に合いそうな気配が漂った。
もしそれに乗れたら、あとの行動がずいぶん楽になる。しかし焦って事故を起こしたり、スピード違反で
捕まったりしたら元も子もなく、はやる気持ちを抑えた。
結局、あと10分くらいで間に合わず、あきらめ、臼杵市内のスーパーで弁当を買ってから港の駐車場で
待機した。次の便まで2時間半ほどあって、待合所はすべてのシャッターが下りひっそりしていた。
それでもほどなくし、乗船券の販売が始まると、売店や食堂なども開店し、少し活気が出てきたようだ。
私のお目当ては、売店でお土産の「ザビエル」を買うことであったのだが、ない! なぜかザビエルは
船内の売店でしか販売していないそうなのだ。別府港を頻繁に利用していた頃、土産用に購入するのは、
もっぱらこのザビエルか「ひよこ饅頭」か「ひよこサブレ」であった。値段も手ごろ、味もまずまず、すなわち
これ、無難なのである。港のポスターには「ザビエル復活!」なんて文字もある。一体全体、ザビエルに
なにがあったというのだ?!
結局、この売店ではザビエル以上の品にはめぐり合えず、土産購入を断念、船内の売店に期待した。
11:35 臼杵港出航。メチャ込みというほどでもないが、船内はかなり混雑、おそらく午後から夕方の便は
この比でなかったことだろう。
まず売店に直行してザビエルを手に入れた。職場用と家用(小×3)である。まさか購入にここまで
苦労するとは思わなかった。今では別府港でも販売していないのだろうか?
それから体を横たえるスペースを確保して休養した。前後運転姿勢が長く続くので、横になれるのは
助かる。
船内の食堂(売店)の「フェリーチャンポン(620円)」が気になっていた。「大人気!」なんて書いてあるし。
乗船前に「からあげ弁当」を平らげていて、しかもおそらくこれが旅の最後の食事となり、帰宅するまでの
時間を考えたら、できるだけ食べるのはあとにした方がいいと考え、下船30分くらい前に売店に行ってみると、
これが営業中止時間ギリギリだったみたいだ。
かろうじで時間には間に合ったが、なんとチャンポンはまさかの売り切れ! ホントに人気あったんやな。
次回はかならず喰らってやる!との決意と怒りを込めて代わりに挑んだのは「大判きつねうどん(510円)」
だった。うどんの本場四国だけあってこれもおいしかったとはいえ、やはりチャンポン食べたかったな。
そういえば下船する八幡浜は、「浜チャンポン」を売りにしているらしい。こんどタイミングが合えば、
これにも挑戦してみたい。13:55 到着。
これから先は運を天に任せるしかなく、高速道路の混雑は、これもある程度は覚悟せねばなるまい。
先に南海フェリーを予約して、乗船を確約させたかったが、道路の混み具合がまったく予想できず躊躇、
結局予約せず向かうことにした。せっかく時間までに到着できても乗船可能かどうかがわからず、
道中かなり不安だった。その便に乗れなければ、帰宅は日付が変わってからになってしまう。
当然高速道路はかなりの交通量で、何箇所かノロノロ運転になり、その都度、ひどい渋滞に巻き込まれたかと
ヒヤッとした。何度かそういった事態を繰り返したものの、幸い大事には至らず、予定時間よりもやや早く
徳島港にたどり着くことができた。出航1時間半くらい前に到着し、これまた幸い、予約なしでも
乗船を受け付けてもらえた。
しかしそれから続々と車がやってきて、おそらく積み残しで次の便に回るだろう車が、別レーン×2に
溢れかえっていた。18:55 徳島港発。やはり船内はメチャ混み。かろうじて横になるスペースを確保し、
一度場所を離れたら二度と戻れないだろうから、そのまま下船近くまで横たわっていた。
21:05 和歌山港着。他府県ナンバーの車は、まだこのあと1時間か2時間かかるかは知らないが
自宅まで走らねばなるまい。舞鶴港に着いた際、京都や神戸ナンバーの車がすごくうらやましくて、
逆に和歌山の人間が少しだけ優越感に浸れるのは、せいぜいこの港くらいだろう。
ちょっと長めの楽しい週末が終わり、再び悪戦苦闘の勤労奉仕がすぐにも始まろうとしていた。私としては、
もう二度と戻るまいと考えていた世界に、またのこのこ舞い戻って働いていることに違和感を覚えつつ、
しかし現実問題そうしなければ仕方ないことに半分あきらめたりしている。あれだけ、破滅したらしたで
それでかまわないとの決心が、すっかり緩んでしまったのだ。やっぱり、怖いんだな。
嫌なことは極力せず、好きなことだけして生きていくつもりだったのに、実際、すべてそううまくゆくはずもなく、
スローライフは思いがけず、少しスピードを速めてしまっているようだ。生きてゆく限り、最小限に抑えている
つもりでも出費はとどまることを知らず、このままだとわずかな資産はあっという間に底をつくのは目に
見えている。しかしながら徐々に軌道修正して、次第にスピードを緩めたならば、近い将来、今度こそ本当の
終末旅行に出かけられるように思うのだ。
♪ だから ワン・ツー・スリーで歩き出せ
今日も 明日も 昨日も 変わらない
ならば ワン・ツー・スリーで歩き出せ
まわる 世界と 逆向きに
(少女終末旅行・主題歌より)