活字の海で、アップップ

目の前を通り過ぎる膨大な量の活字の中から、心に引っかかった言葉をチョイス。
その他、音楽編、自然編も有り。

あの歌の魅力の秘密をバラしちゃえ! カーペンターズ(前後編)

2009-08-19 04:25:26 | Webの海
毎日.jp
広瀬香美の大人の音楽の時間 より
第3回 あの歌の魅力の秘密をバラしちゃえ! カーペンターズ前編
第4回 あの曲の魅力の秘密をバラしちゃえ!カーペンターズ後編(新曲付き)


実は。
カーペンターズには、思い入れがある。

もう、四半世紀も前のこと(笑)。
まだ高校生だった僕が好きになった女の子のお気に入りが、
カーペンターズだったのだ。

まだレンタルレコード屋さえなかった時代。
聞きたい曲があれば、

 ・エアチェック。
  まだAMがモノラル放送だった頃。
  音質のいいFMでカセットテープに録りたくって、FMファンや
  FMレコパル等の今は無きFM情報雑誌を必死でチェックしては
  落としていた。
  留守録が出来るよう、タイマーセットもよくやったなあ。
  (SONYのアナログ式のオーディオタイマーが、実に格好良かった)

 ・友人知人から借用。
  レコードを借りた場合、とても気を使った。  
  何せ、針だもんね。
  傷つけると大変だから。
  カセットテープを借りた場合は、ダビングなんで楽チンなんだけど、
  悲しいかな音質が決定的に下がるんだよなあ。

 ・購入。
  確か、LPレコードの値段って、2400円くらいだったような。
  そう考えると、あまりインフレしていないなあ。
  価格優等生の卵のようだ。

といった方法でしか音源に触れることは出来なかった。


カーペンターズについては、2番目。
その子から借りたんだけど、傷つけないように相当緊張して扱った
のを、覚えている。

カレン・カーペンターのやや低めの柔らかな声色と、リチャードの音楽の
ポップな響きが心地よかった。
日本のフォークや歌謡曲(なんか、懐かしいね。この響き)には無い
感覚を感じたことを、今も思い出す…。



さて、今回。
広瀬香美氏の講座にてカーペンターズが取り上げられたのは、先日に
そのデビュー40周年を記念して発売されたベストアルバムが、
目下の氏の大のお気に入りというところに拠る。


氏によると、カーペンターズの音楽の魅力を表わす言葉として、
「海水魚メロディー」という独特の比喩が当てはめられている。

これは、南洋の海をスイスイと心地よさげに泳ぐ海水魚を見ている
時のように、リスナーの心を柔らかく、気持ちよくさせてくれる
効能が彼らの歌には有る、とするもの。

そして、そのメロディーを生み出すのは、優れた作曲家、編曲家
であるリチャード・カーペンター。
彼の卓越した作曲技法とカレン・カーペンターの歌声の稀有な
コラボレーションこそが、カーペンターズの魅力だと氏は喝破
する。

その魅力の深さを持って称する言葉として、「音楽の誘拐犯」
と称する言語感覚も、流石である。
(ここまでが前編)

氏は、この講座の第1回で、自身の曲である「愛があれば大丈夫」
を取り上げ、その音楽的なシノプシスがスペースシャトルにあると
解説してくれた


ずんずんと突き上げるように重畳されていくメロディーラインが、
まるで打ち上げられて天空に刺さっていくスペースシャトルの
ように、聴くもののテンションを高めていく、というもの。

カーペンターズの歌は、その対極とも言えるもので、聴くものを
深海に連れ去ってゆっくりと眠らせるような、そんな穏やかな
心地よさに満ちているという比較は、とても判り易い。


ついで、その魅力が如何にして生み出されているのかを、
リチャードの作曲技法にフォーカスを当てて解説したのが後編。

これもとても納得感の有る、いいコラムだった。

その魅力の秘訣とは、「飲茶メロディー」。

これまた、氏らしい言語感覚による比喩だが、要は特盛牛丼の
ように一品主義ではなく、飲茶のように様々に異なる種類の
小さなメロディーラインを積み重ねていくことで、曲の印象を
多層化している、ということ。

こうした技法は、勿論一歩間違えれば醜悪なキマイラのような、
独りよがりの音楽になってしまうが、そうさせずに美しくまとめ
上げる手腕こそが、リチャードの音楽技法の冴えと、氏は分析する。

そして、あの名作「イエスタデイ・ワンス・モア」を題材にして、
実際に曲を解体することによってその分析を実証していく。

その展開は、お見事!と、唸り声を上げざるを得ない。

正に氏の音楽のように、畳み掛けるように仮説~実証~実践の
プロセスが小気味よいテンポで語られていく。

この文章は、読む音楽だ、とそう思う。


(この稿、了)



(付記)
特に第4回には、飲茶メロディーの実践として、氏が「飲茶ララ」
というオリジナル曲をUP
してくれている。

これは、なんと無料で聴くことが出来るというサービス振りも
素晴らしい。

これを機に、氏のHPを拝見させてもらったが、作詞家養成講座等、
とても充実した内容に驚愕した。

氏のファンの方も、そうでない方も、是非一度お立ち寄り下さい。
サービスが多すぎて、紹介するのが勿体無いほどのページです。




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5 コメント

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Unknown (宇宙ハンター55)
2009-08-19 21:59:24
カーペンターズはいいですね。私のIpodにも入ってます。リチャードの才能はもっと評価されてもいいのではと思っていたので、広瀬氏のコメントはうれしかったです。

MOLTA氏の家や車でカーペンターズを聞いたことはないので、きっとひとりで思い出にひたって聞いておられたのでしょう。

カーペンターズを聞くと、紺の制服を着た女の子が浮かんでくるなんて、うらやましい。
返信する
ありがとうございます (広瀬香美)
2009-08-20 09:35:49
活字の海で、アップップさん、取り上げてくださりありがとう。今、作詞中でネットサーフィンしながら、言葉を集めている最中でした。そんな中、ここにたどり着き、素敵に取り上げてくださっているこの記事に感激しました。
とても嬉しいです!ほめてくれてありがとう!
これから、どうぞよろしくお願いします!
また、どんどん紹介してください!ありがとう。
ビクターミュージックアーツ 広瀬香美

返信する
サプライズ (宇宙ハンター55)
2009-08-21 22:45:17
自分の投稿が出ていると思ってコメント欄を見てみたら、広瀬香美先生だったので、びっくりした。






返信する
Unknown (シャドー81)
2009-08-21 23:53:11
すごいねぇ

ご本人から、コメントがくるなんて。

これもMOLTAさんが数ヶ月毎日続けてきた結果だね。

あらためてネットのつながりのすごさを感じたよ。
返信する
ありがとうございます (MOLTA)
2009-08-22 00:37:26
宇宙ハンター55様
広瀬香美様
シャドー81様

コメントいただき、ありがとうございます。
特に広瀬香美様には、取り上げさせていただいたご本人がご来訪していただけたということで、感激しきりです。

これからも、HPをはじめ更新を楽しみにしています。


宇宙ハンター55様
今日まで出張に行っていたので、ゆっくりとコメント欄のチェック等できず、結果として飛ばしてしまって失礼しました。
ちゃんと順番は正しく反映されたので、何よりです。


シャドー81様
そうですよね。
こうした広がりこそが、インターネットというネットワークの最大の特徴なんだと思います。
それにしても、この更新記録がどこまで続くか、われながらハラハラです。
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