活字の海で、アップップ

目の前を通り過ぎる膨大な量の活字の中から、心に引っかかった言葉をチョイス。
その他、音楽編、自然編も有り。

作陶■HAYABUSA、いのちの物語(その4)

2011-05-23 23:57:21 | 宇宙の海
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HAYABUSA、いのちの物語
開催日時:2011年5月5日(木) 14時~ 約1時間半
会場:すばるホール 2階ホール
主催:財団法人 富田林市文化振興事業団
協賛:宇宙航空研究開発機構(JAXA)
講演者:上坂浩光氏(HAYABUSA BACK TO THE EARTH監督)



■模索(2)

作品のコンセプトをどこに据えるのか、という論理的な問題と。
フルドームシアターならではの高解像度をどのように御して
いくのか、という物理的な問題と。


監督の中では、これらが双璧となって立ちはだかっていた。


そのうち。
前者においては。

最終的には。
ご存じのように、HBTTEは画面に映る登場人物?をはやぶさ
のみに絞り込むことにより、ストーリーの純化を果たした。

これは。
はやぶさを飛ばし続けているものは、奇跡でも超自然的な力でもなく、
一重にはやぶさを支えるスタッフ達の渾身の努力があってこそという、
当初の監督の思いとは一見矛盾するようであるが、約45分という
プラネタリウム番組の時間的制約を考慮する中においては、唯一と
いってよい解だったかもしれない。


はやぶさが宇宙を飛び続けた期間は、約7年。
その構想の劈頭から含めると…。
実に約25年の期間、はやぶさという存在は人々の中で飛び続けて
きたのである。

当然のことながら、彼に関わった人は膨大な数に及ぶ。
その一人ひとりに、濃度の差こそあれはやぶさとの物語は存在する。

そのような状況下にあって。
特定の人物にフォーカスをあててはやぶさの物語を繰り出すことは、
かえって全体を矮小化してしまいかねない危惧を持つ。


一方。
最終形態のように、登場するのはあくまではやぶさのみという形
であれば、視聴者はナレーションに自らの思いを重畳することで
はやぶさとの同化を果たすことができる。


こう、監督の中で思いが得心されたとき。
HBTTEのコンセプトは確定した、と思ってよいだろう。


また。
監督の、はやぶさの旅路を支えてきたすべての人に対する思いは、
作品の最後に投影された

 「この作品を、はやぶさプロジェクトに係わった
                  すべての人にささげます」

という一文に凝集された。

後の帰還Verにて。
この一文は、文章はそのままに、更に大きな意味を持たせられる
こととなるのであるが。

それはまた、のちの話である。


こうして。
監督の中で。
映画のコンセプトは、確定した。


次なる課題は、4K(正確に言えば、4096×4096ピク
セル!)というハイビジョンの8倍もの途轍もない解像度を持つ
フルドームシアター向けのCGをどうやって制作していくか?
という問題である。

#全天周映像の制作については、「ORIHALCON 
 PROJECT」のページに、その概要が素人にも分かりやすく
 記載されている。
 興味のある方はご参照を。


高解像度という点を除いても。
平面投影用のCGとフルドーム向けのそれとでは、製作ソフトも
かかる手間も全てが変わってくることだろう。

監督ご自身も。
2008年当時では、とよた科学体験館の注文による「宇宙の旅人」
というフルドーム向け映像作品の一部を製作されていたが、まだ
フルドームシアターのコンテンツ全てを製作はされていなかった
と、講演でも言及されていた。

それ故に。
約1時間の映像作品を完成させるには、一体どれほどのCPU
パワーが、労力が、そして何より時間が必要なのか。

全てが、模索しながら始まったとも言えるのではないだろうか?


ちなみに、この「宇宙の旅人」は残念ながら未見であるが、監督は
原始太陽系の雲海から地球が誕生するシーンを担当した
のだと、
監督のブログ「星居Webブログ」にて述懐されている。

HBTTEにあるあのシーンも、これがグレードアップしたもの
なのかも。

そう思うだけで、なんだかLiVEの映像進化史を追っている
ようで、楽しくなってくるではないか。



■作陶

作品のコンセプトは、決まった。

映像化技術については、過去の作品の経験値も活かしながら
トライしていくこととする。


だが。
それはまだ、HBTTEが世に出るためのほんの一里塚に過ぎない。

何せ。
どのように優れたコンセプトを持つ作品であれ。
その製作がスポンサーに受け入れられて、初めて着手出来るのだから。

だから。
この時点では、まだ正確には”監督”ではないのである。

でも。
だからこそ。

この作品を、なんとしても自分の手で生み落としたい!

その監督の思いが。
脳内にある映像を、絵コンテの形で落としこんでいく。


(この稿、続く)



(付記)
昨日紹介したけれど、まだ募集中なようなので。
はやぶさ帰還1周年を記念した講演会が、株式会社リブラも協賛
する中で準備中である。

講演会では川口教授や監督、その他の豪華な顔ぶれが予定されて
いる。

お申し込みは、上記のリンク先にある要項からどうぞ。









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