豊後梅の枝にはまだつぼみしかないのですが、
庭先の梅には花びらが咲きました。
昔の機関誌に次のような文章が載っていました。
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もう二十年も前の事になるが、
先住職がわが娘を嫁がす時に、その結婚披露の席で、
婚家に対して次のような挨拶をしていたのを思い出す。
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縁あって私の庭で育ったこの苗木(娘)は、
種々のめぐみを受けて自然のまま伸び伸びと成長致しました。
私はあまり手を加えておりませんので枝葉の形は良くありませんが、
その分だけ素直に丈夫に育ってくれました。
この苗木も本日良縁にめぐまれ、
皆様のお庭に植え替えさせて頂くことになりましたが、
どうぞしっかりと根付くように見守って頂き、皆様のお力添えで皆様の家風にあうように、
歳月をかけてその枝ぶりを整えてやって頂きたいのです。
そしてとても厚かましい想いなのですが、
この苗木が、しかるべき場所を得て、ついには皆様のお庭になくてはならないような
名木に育ってくれることをひたすらに念じているのです。
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この挨拶の話を聴いた時から、
私の中には人と庭木が重なって見えるようになりました。
今、このかけがえのない私達の大切な地球は森林破壊が進み、
すでに瀕死の状態に追いやられているといいます。
樹木を切るのはたやすく、それを育てるのはむずかしい。
人を育てるのはたやすく、人に心を育てるのはむずかしい。
耐雪梅花麗(雪に耐えて梅花うるわし)
梅の花は寒い冬を耐え忍ぶことで、春になれば一番麗しく咲く。