goo blog サービス終了のお知らせ 

あなたも社楽人!

社楽の会の運営者によるブログです。社会科に関する情報などを発信します。

中村遊郭 -3-

2025-07-02 07:25:06 | 取材・旅行

中村遊郭 -3-

2025年6月29日(日)、愛知ウォーキング城巡りクラブ(AWC)【番外編】 名古屋市中村区の中村遊廓跡と周辺史跡見学会 へ行ってきました。 講師は、七種英康先生です。その様子を数回にわたって紹介しています。今日はその3回目。

今シリーズで紹介するところです。

この部分が中村遊郭。亀の甲のような形と覚えておいてください。

昭和15年ごろの中村遊郭(名楽園)の様子です。

画像出典 https://ikiru.site/oomon/


「公認遊郭」と「非公認(私娼窟)」の違いは?

公認遊郭とは?

正式に許可(免許)を受けた貸座敷営業地 のことです。
 法的根拠として

  • 江戸期:幕府・藩が許可(例:吉原・島原)

  • 明治期:内務省「貸座敷営業取締規則」(1872年)に基づきます。

 その特徴は

  1. 一定の区域だけで営業許可

    • 「郭外」で営業はできない

    • 区域は塀や門で囲われることが多い

  2. 営業者は「貸座敷業」許可を取得

    • 遊女屋の経営者は登録制

  3. 遊女は「籍」に登録される

    • 本籍・氏名・年齢・契約年期など台帳で管理される

  4. 監督官庁が管理

    • 警察が監視・指導

    • 遊女検査(性病検査)を定期的に実施

  5. 営業税・貸座敷税を納付

   これにより認可する側も潤いました。

 例は前回も紹介した、東京 吉原、大阪 松島、名古屋 中村、京都 島原など、都市中心に大規模遊郭がありました。


非公認(私娼窟)とは?

許可を受けずに営業した性産業区域や個人の娼家
 特徴は

  1. 法的には「違法営業」

    • 遊廓区域外で無許可営業

  2. 管理台帳がない

    • 身元・契約の届出なし

  3. 警察の黙認・摘発の繰り返し

    • 見逃されることも多い

  4. 検査体制なし

    • 性病検査・営業届出を行わず衛生リスク高い

  5. 区域指定がない

    • 路地・寺町・川沿い・裏通りなどに分散

 例として、吉原外の「夜鷹」、大阪新町外の散娼、横浜野毛の私娼街、貧困層が利用する「辻売り」


公認と非公認の違いをまとめると

比較項目 公認遊郭 非公認私娼窟
法的地位 内務省や地方警察が許可 無許可(違法)
営業場所 指定区域のみ どこでも(黙認地含む)
遊女管理 名簿登録・年期契約 登録なし
性病検査 定期検査義務 検査なし
税負担 営業税・貸座敷税あり 非課税(脱税)
規模 大規模・組織的 小規模・個人営業多い
社会的認知 正式な産業扱い 下層・犯罪扱い
  • 公認遊郭は一種の「都市の顔」(風俗観光地)

  • 非公認私娼窟は「スラム・衛生問題」として扱われました

社会的差別も大きく、遊女自身の境遇や選択の幅も公認と非公認でかなり異なったそうですが・・・・


今回の参加者の多くは、

この本を読んで参加しています。

【目次】
序章 名古屋中村「新金波」にて
1章 中村遊廓との遭遇(遊廓を知らない世代のロマン/名古屋駅裏の猥雑さ/巨大な遊廓建築の群 ほか)
2章 道具からみた「成駒屋」(玄関まわりの風景/客引きの呼吸/帳場に残っていた『花山帳』から ほか)
3章 娼妓たちの人生(無理強いができない/松山の居酒屋で/娼妓たちの家庭環境 ほか)
終章 遊廓の終焉

前掲の資料を見ると、公認と非公認とでは、社会的差別も大きく、遊女自身の境遇や選択の幅もかなり異なったそうですが、この『聞書き 遊廓成駒屋』を読むと、中村遊郭の遊女の悲惨な状況が記されています。

追々紹介していきます。

中村遊郭の街割り

遊郭には組合組織があり、街ごとにグループができています。

そのグループは、四角いブロックではなく、道路を挟んでグループができています。

中村遊郭は5つの道路で街が作られたので、五町街などと呼ばれていました。

確かに、顔を合わせるので合理的ですね。

例えば、下の赤い四角は、寿町グループ、黄色の四角は、大門町のグループ、青い四角は羽衣町のグループです。

そのグループとグループの境界は?

矢印1、右が羽衣町、左が大門町

矢印2、右が大門町、左が寿町になります。

ちょうど、某ソープランドの裏入り口が青い看板のところです。


矢印3寿町通り。かつて、「新館美の長」の跡に建てられた某ソープが見えます。


同じく矢印3の北側。「白馬」「美の卯」「待合三輪家」の跡地はピアゴの駐車場になっています。


「鶴の家」が、この「春福」。戦前妓楼建築と戦後赤線カフェー建築が並んでいます。今は民家です。

「TSURUNOYA」と「鶴の家」の屋号を残しています。


これが、「豊田家」の跡地から見た「鶴の家」の横顔。

ここが「鶴の家(春福)」の裏口。訳あって、裏口から出入りした人も多いのでしょうね。

矢印5。東の方向には名古屋駅前の高層建築物が見えます。

矢印6の方向を見ています。かつては堀があり、歩く幅は狭いものでした。

次回に続きます。

中村遊郭 -1- -2- -3- -4- -5- -6-


このブログでの他のシリーズは・・・(航空写真はGoogleMapからお借りしています)

ベトナム・ホーチミン みてある記 -1-  タイ・バンコク 見てある記-1-  シェムリアップみてある記 -1-  香港に来ています  台湾レポート-1-  平成25年度北方四島交流訪問事業 -古釜布湾-  職場旅行(1)  なごや探索 出雲 函館 京都散策  さわやか中欧 見てある記 -1-   美濃 見てある記 -1-  東京散策 みちのく三陸海岸 見てある記-1- 滋賀探訪 新城FWに参加しました-1- 碧南FWへ行ってきました -1- 安城へ行ってきました1 -本證寺- 「勝鬘寺と大久保氏ゆかりの上和田城址」(岡崎市)-1- 北陸探訪 -1- 剱神社 近江FW  長久手FWへ行ってきました -1- 遠州FW -1- 小牧FW -1- 末森城周辺FW-1- 「宮宿」-1- 大野城・大草城-1- 「鳴海宿」-1- 富士周辺五名城と諏訪の旅-1-  犬山城周辺 -1- 近江FWⅡ 安祥城周辺-1- 「有松宿」-1- 堀川七橋めぐり-1- 松平郷周辺FW -1- 桑名城 -1- 「池鯉鮒宿」-1- 名古屋城-1- 「岡崎宿」-1- 東美濃FW -1- 刈谷小牧羽柴軍陣跡 -1-近江FWⅢ-1-三河山中城-1-小口城周辺史跡-1-安芸の秋-1-美濃路・清州宿-1- 中村公園-1- 美濃路・稲葉宿-1- 加納城・加納宿-1- 萩原宿・起宿-1- 吉備・播磨の旅 -1- 中区南部史跡-1- 姫路城探訪 -1- 津島街道・萱津 -1- 岩倉街道と岩倉城址-1- 豊川稲荷と牧野氏史跡 -1- 中川区史跡-1- 可児四城巡り -1- 津島街道・あま -1- 恵那巡り -1-   大垣城・大垣宿-1- 大阪・関西万博-1- 津島街道Ⅲ-1- 中村遊郭 -1-

社楽の会」HP:中国ODAみてある記 韓国研修その2 ブリスベン


コメントを投稿

サービス終了に伴い、10月1日にコメント投稿機能を終了させていただく予定です。
ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。