先日、スイスの消費者情報誌Ktippに出ていたSEATの車の広告、面白いから見てごらん、と夫が言います。どうせ「でっかい、高い、CO2排出量の多い」が特徴のスイス市場向け自動車が、エコ風に売り出されているんだろう、と想像しながら見てみると、ほほう、これが面白いのです。
車は、スペインに本拠を置くSEAT社のIBIZAエコモティーブというコンパクトカークラスのディーゼル車。燃料消費は100kmを平均3.7ℓ(日本式には欧州複合モードで27km/l)で走り、CO2排出量はkmあたり98g、もちろんフィルター付き。重量は1090kg。スイスで売られているこのカテゴリーの車ではトップ効率です。ディーゼルですが、エコ派市民が待望する3ℓカー(33.3km/l)に随分と近づいてきました。といっても効率向上は、出し惜しみ的な印象を受けます。随分前にフォルクスワーゲンのLupo(3ℓ)があったのですから、本当はもっと軽くして、効率を上げられるのでは、と思います。
前置きが長くなりましたが、SEATスイス販売会社の広告で何が面白かったかというと、大きな緑のハートの中に「マイクライメートにより、無料で寿命の間のCO2オフセット」と、書いてあったこと。マイクライメートはスイスのCO2オフセットNPOで、質の高いオフセット運営により世界的に定評があります。国内外の再生可能エネルギープロジェクトによりオフセットを行っています。
SEATとマイクライメートの協働は2008年に始まったもので、その頃からスイスで販売される全ての車に一年分(2万km分)のカーボンオフセットが無料で付いてくるサービスを行っていました。でも今回のエコモティーブは、相手が企業顧客でも、個人顧客でも、車の寿命の間ずっと無料でカーボンオフセットしてくれるというのだから、驚きです。無料というよりも、込みで、ということでしょうが、何となく得した気になります(笑)。販売価格は21250フラン(約180万円)からとありますから、そのうちのどれくらいがオフセットにあてられているのか、知りたいところです。
どうやって個々の車の寿命の間のCO2排出量を計算するのか、調べてみました。
無料カーボンオフセットの条件は、SEATガレージで定期メンテを行うこと。そこで計った実際の走行Km数に基き、オフセット依頼がSEATからマイクライメートに行くのだそうです!!購入1年目は、次のメンテまでとりあえず1.5万km分のカーボンオフセットが前払いしてあるということ。
ただ、寿命の間のカーボンオフセット、そもそもCO2排出量が少ないから経済的に成り立つサービスなのかもしれません。また、広告が前向きのイメージを与え、説得力がある(?)のも、トップ効率の3.7ℓ車だからこそでしょう。もしもこれが8~10ℓ車(10~12.5km/l)のようなガソリン消費量の大きな車であったら、効率が悪いことへの免罪符としてカーボンオフセットをつけて売っている、というネガティブな印象を(私なら)受けます。だったらその前に、消費量を減らしなさい、と思います。
もちろん、オフセットサービスが付いているにしても、車になるべく乗らないのが一番エコなことは言うまでもありませんが。
Seat Ibiza Ecomotive http://www.seat.ch/seat/ecomotive_microsite/files/de/Ecomotive_Range.pdf
マイクライメート
http://www.myclimate.org/
PS :スイスでは年内に圧縮空気自動車の生産が始まるそうです、そのことについても近々ご報告したいと思っています!
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